2020年・高松宮記念(G1)レース回顧

2020年・高松宮記念(G1)レース回顧

走破タイム1:08.7は、2017年のセイウンコウセイが勝った年と同タイムで、過去10年で7位タイという時計。
前後半が34秒台だった年は無く、稀な展開と言える。

12.1 – 22.9 – 34.2 – 45.6 – 56.8 – 1:08.7
12.1 – 10.8 – 11.3 – 11.4 – 11.2 – 11.9

平均11.4というラップタイムから見ると、3コーナー手前で一瞬速くなるも、コーナーに入ると平均値に近いスピードで進み、ラスト1Fまでは、ほぼそのまま。
最後は、ややダウンするという流れになった。

昨日からの雨の影響が大きいと見え、スプリント能力というよりは、重馬場適性、総合力の勝負となった。

勝ったモズスーパーフレアは、昨年のこのレースでは2番人気に支持されていたが結果は15着。
カーバンクルS(OP)、オーシャンS(G3)を快勝した勢いを買われてのものだと思うが、実際は、おつりが無かった。
その教訓を活かし、北九州記念(G3)を叩いてのスプリンターズS(G1)では、0.1秒差2着と好走。
その後、自らの仇討ちのために挑んだ京阪杯(G3)では、1番人気ながら0.8秒差8着と大敗。やはり、おつりが無かった。
この時点で、陣営は、「連戦は2戦まで。」に確信を持っただろう。
これが、ただ勝つためにだけレースを使うということではなく、次に繋がるレースということになる。
その後は、休養に入り、今年は、シルクロードS(G3)を叩いて、本番へ。
作戦通りの運びとなる。

レースは、絶妙のスタートから、自分の形に持ち込み、後は、自分との闘い。
自身初の重馬場でのレースとなったが、これは、むしろプラスと出た。
特に競りかけてくる逃げ馬不在だったことも大きな勝因の一つ。
レース間隔に注意すれば、引き続き、スプリント路線で勝負になることは証明した。
体調に気を付けて、最後まで、逃げ切ってもらいたい。

2着のグランアレグリアは、やはり、相当の能力を秘めている。
先行勢が鼻面を合わせる叩き合いの中、ただ一頭、大外を上り一番時計33.1秒で強襲。
勢いは、差し交わしたように見えるほどだった。
今回が、まだ7戦目というキャリアの浅さで、4.1.1.1。
前走、阪神C(G2)というローテーション、ディープインパクト産駒という2つの傾向外からの連対は、素晴らしいの一言。
馬体も、徐々にスプリンターに寄ってきているように見えた。
今後のG1戦線でも、引き続き、注意が必要で、特にローテーションについては、この馬の場合は特例としても良いかも知れない。

3着のダイアトニックは、前走同様、またも不運に見舞われた。
抜群のスタートからウィニングポジションを確保。
道中の行きっぷりも問題なく、良い手応えで直線へ入ったが、クリノガウディーに寄られて、北村騎手がやや立ち上がるような不利を受けた。(が、「リュウジー!」とは叫ばなかった。)
競馬にタラレバは禁物だが、突き抜けていたような脚色は見えただけに、残念。
1400mのベストパフォーマンスから計るに、マイルよりは、スプリント戦向きだが、秋のスプリンターズS(G1)は、コース形状が合わなそうなので、場合によっては、海外も含めて別を展望するべきかもしれない。

人気のタワーオブロンドンは、これと言って大きな不利も無く、馬場が原因と考えるべきか、それとも乗り替わりか、その両方か。
まるで別馬のように、全く振るわなかった。
京王杯SC(G2)勝ちがあるように春に走らないというタイプでもないが、ジックリ休養して、スプリンターズS(G1)連覇を目指すべきかと思う。

ダノンスマッシュも同様。
こちらも、これと言って大きな不利は見られなかった。
重馬場に堪えるタイプでもないので、やはり「左回り」が原因と見た。
スプリント重賞4勝馬が前走であのパフォーマンスとなると、さすがにバッサリは難しいが、以後は、左回りなら無条件でバッサリ行きたい。

1着入線後、直線の斜行、接触により、4着降着となったクリノガウディーは、天候も含めて好走条件が重なっていただけに残念。
パトロールビデオを見ると、もうベテランとなった和田ジョッキーには、もう少し、どっしりと乗ってもらいたかった。
1勝馬なので、まずはハンデ戦をステップに重賞を制覇して、再びG1路線へ戻ってきてリベンジしてもらいたい。

何度も書くが、日本の競馬は馬券が付き物だが、馬券=競馬ではない。
近年、稀に見る好メンバーで行われたこのレースが無観客という残念な中、新ルール以降、初の降着。
当たったの、外れたのということではなく、とにかく「良いレース」が見たい。
そう願う私達ファンが、モニター越しに、無観客の中京に虚しく鳴り響くG1ファンファーレにどんな気持ちでいたか?

このレースの名、高松宮記念は、高松宮宣仁親王から優勝杯が下賜されたのを機に、レース名を改名し、今に至る。
勝ちたい気持ちは、誰でも一緒。
騎乗するジョッキーには、心と姿勢を正してレースに臨んでほしい。

(編集長・katsu)
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