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血統診断基準⑦弱点・欠陥項目について

閲覧者の皆様、こんにちは。競馬総合サイトG-ZEROへようこそ。また、血統研究所へもようこそおいで下さいました。今後ひとまずの、血統研究所のコンテンツとして、主要11項目のそれぞれについて、優秀な配合をそれぞれピックアップしていきたいと思います。今回は弱点の項目についてです。

 

引き続き、弱点・欠陥と一口に言っても、なかなかに分かりにくい部分があると思いますので、今回も実馬を例に上げて、説明を行いたいと思います。では、今回は無念にも、菊花賞前の故障により無冠に終わった、幻の名馬ビッグバイアモンを例として説明を行いたいと思いますので、お付き合いの程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

なお、ビッグバイアモンの血統構成の説明に入る前に、非常に簡単ではありますが、弱点・欠陥の項目について高い評価を得るためのポイントをいくつかあげてみたいと思います。

 

・血統の5代目を基準とする32ブロックに分割し8代目までにクロスを存在させる事(8代目までに存在しない場合を弱点、9代目になってもクロスが存在しないことを欠陥と呼ぶ。ただし、有効世代数が10代目以降の配合馬に関しては32ブロックの基準は変化させないものの、弱点・欠陥の基準世代自体は連動し1代下げて考える)。

・この各ブロックにおいてクロスが存在するだけでなく、主導勢力と直接結合する血を配置する事。

・前面で複数のクロスを存在させる事によって、弱点・欠陥が存在しにくくなるが、この場合の評価を高くすることはない事(ただし、それぞれが連動している場合においてはさほどのマイナスにはとらない)。

・仮に、弱点が存在しても9代目において複数のクロスが形成され、かつ主導勢力と結合が強固する事(さほどのマイナスにはとりませんが、一応マイナスとしてカウントします)。

・逆に、8代目からクロスが存在しても、主導勢力との連動が弱い場合は、過分に評価はしない為、結合が重要である事(過分のマイナスにはとりませんが、プラスとしてもとりません)。

 

簡単ではありますが、この5項目がしっかりと守られていれば、それだけ弱点・欠陥の評価が上昇すると考えて頂いてかまいません。ただし、現代的な血統において、この弱点・欠陥の項目をさほど重要視していないのも事実です。しかしながら、真の名馬である為の条件としては、必要不可欠なものだと言えるでしょう。

 

ビッグバイアモン(バイアモン×ブラダマンテ by Roberto)牡・93生

有効世代数:9代目

 

Ⅰ 主:8 結:6 土:3 弱:3 影:3 集:6 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:1(主導牡牝を通じたクロス、母産駒複数活躍馬)

合計:(46+2/60)点 クラス:1A

Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇

Ⅲ 距離適性

芝:S × M □ I 〇 C ◎ L 〇

ダ:S × M □ I 〇 C □ L ×

芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□

Ⅳ 開花率:普通 成長型:普通

 

〇 短評

 

主導はNasrullah4×5・6の系列クロス。血統の4ブロック全てにおいて、その父Nearcoを配し、その位置も5代目以降とバランスが良い。次いで、Mahmoudの系列クロス。6代目までに存在するクロスである、Mahmoud.Hyperion.Sir Gallahad(=Bull Dog).Pharamond.Man’o WarとはPhararis.Chaucer.Blenheim.Speamint.Sainfoin等を通じ直接結合を果たしている。惜しむらくは、米系のBlack Toneyとの結合が間接的にも果たされていない点で、この部分が当馬の血統的限界を端的に示している。しかしながら、主導内Nasrullahの生かし方はかなり良く、母方であるMumtaz Mahal-Lady Josephine(The Tetrach)-Sundridgeとスピードを最大限引き出しており、Pharamond.Mahmoudのアシストもあり、このスピードは注目に値する。また、スタミナはSir Gallhad(=Bull Dog).Rabelais.Hyperion.Man’o Warと、かなり強靭。血統全体においてこれといった弱点すら存在せず、前述の米系の結合の弱さから完璧とは言えないものの、非常に安定感ある血統構成。代々配された血の質も高く、血の集合、再現度ともに良好で、まさにこの母にして、この父ありと言えるような配合である。本質は、厳しい流れに向く芝向きの中~長距離タイプ。

 

これが、ビッグバイアモンの血統構成に対する考察になります。明確な主導に導かれた配合で、非常にスマートな配合だと言えるでしょう。足元の不安からデビューが遅れ、春を棒にふるものの夏にレコードタイムで重賞を制覇。秋の飛躍を期待された名馬の一頭でした。もし、無事に開花することが叶えば、古馬の中~長距離路線を牽引するべき一頭となる可能性を秘めていたと言えるでしょう。では、このビッグバイアモンの血統構成を、弱点・欠陥の項目に絞って考えてみましょう。

 

・血統の5代目を基準とした32ブロックにおいて8代目までクロスが存在しない箇所は皆無である。それどころか7代目にクロスが存在しない部分でさえ2ヶ所しか存在しない。

・32存在する各ブロックにおいて、主導勢力と連動しないクロスで固められた箇所は、父内Mata Hari、母内Blue Swords.Bleebokのみである。ただし、母方の2ヶ所については7代目にMan’o Warが存在し、父内6代目Man’o War内Saifonを通じて結合する為、実質的にはノーカウントで良い。

・主導勢力が存在する5代目において、他のクロスは皆無で非常にスマートな血統構成を形成している。

・前述の通り、弱点は存在せず、非常に安定感ある血統構成だと言える。

・前述の通り、弱点が存在せず、32ある各ブロック中31ブロックにおいて主導勢力としっかりと連動がはかられている。

 

こうして見ると、ビッグバイアモンの血統構成は非常に優れた内容を示しており、未完成の状態であろう夏の時点で見せたラジオたんぱ賞のレコード勝ちは、能力のほんの片鱗であったと考えられます。こういった配合の真の良さが出るのは3歳秋から古馬にかけてであり、その能力が全開した際には、いかばかりの活躍を果たしたのかと、想像してしまいます。半妹であるスティルインラブ(3B)が、牝馬三冠を成し遂げましたが、兄はそれ以上の血統構成をしていたと言えます。また、この弱点や欠陥の無さを過去の名馬と比較しても、非常に優れた内容だと言え、90年代の血統環境を考えると、これほど安定した配合も珍しいと言えるでしょう。それだけに、夢の途中でありその先を見たかったサラブレッドの一頭でありました。

 

簡単ではございますが、主要11項目における弱点・欠陥についての説明を終わりたいと思います。まだまだ分かりにくい部分も多々あると思います(血統表を併記しない点等)。ですので、ご質問等あれば気軽にご連絡頂ければと思います。

 

今後とも競馬総合サイトG-ZERO共々、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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