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その時が来たら思い出す。それまでは忘れてよう。

「あー、思い出した。黄金町だ!あの辺で馬券買えるよね?」

「ん?ちょっと違うかも知れないけど、あの辺にWINSあるのかな?」

「昔の男に馬券買いに行かされてた。あの辺はやばい雰囲気だった。」

「あー、それは悪い男だねぇ。」

「おかげでパチンコも覚えちゃって…」

そんな話を某所でしてた。
実に健全な競馬との出会いである。
誰にでも若い頃があり、若気のイタリーなら大きな傷にならない。
悪い男のおかげで、今はまっとうな暮らしができているのだろう。
いつか余裕ができた時に、また競馬の世界を覗いて欲しいものだ。
今も昔も夢が走っていることに変わりはないのだから。

ところで、軽すぎる枕の後にいきなりだが、15%。
この数字を見てどう思うか?
すぐにピンときた人もいるかもしれない。
高いか低いか?
皆さんはどう思われるだろうか?

答えはメジロアサマの受胎率。
種付け頭数は126頭で産駒は19頭。
ちなみに種牡馬の平均受胎率は80%くらいだとか。
そんな種牡馬をなぜオペラ賞を勝った馬に付けたのか?
メジロアサマの母母ブルーアイドモモはバックパサーの母ブサンダと同血。
遡るとアメリカの名牝ラトロワンヌだ。

自分のとこの天皇賞勝馬だから?
それだけ?
ほんとに?
まあとにかくオペラ賞勝馬シェリルはメジロアサマを受胎し、その子はメジロティターンと名付けられ天皇賞を勝つ。
そして、メジロの基礎牝系アサマユリからのメジロオーロラとメジロティターンの子がメジロマックイーン。

まったく意味がわからない。
父系3代続けて8大競争を勝つなんて…

あ、予め言っとくけど数字のソースを出せ!正確な数字じゃない!とかはなしね。
みんなと同じようなネット環境で検索したものを拾い読みしてるだけだから。
その辺のちゃんとした数字が知りたい人は、ちゃんとしたとこ調べてね。

さて、続きだ。
受胎率とかではわからないと思って、中央競馬での出走頭数を見てきた。
大種牡馬、リーディングサイアー、今でも見かける血をいくつか書いてみる。

テスコボーイ 490頭
ノーザンテースト 864頭
マルゼンスキー 608頭
ブライアンズタイム 1,285頭
サンデーサイレンス 1,351頭

ちなみに

パーソロン 627頭
メジロアサマ 16頭
メジロティターン 90頭
メジロマックイーン 389頭

勝ち上がれなくとも、中央競馬で出走するということは大変なことだと思う。
期待がなければ出さないだろうからね。
走らせてみたらダービー馬ってこともあるかもしれないし。

皆さんはこの数字を見て何を思うだろう?
もちろん、地方競馬で活躍して種馬になるものもいるが、やはり中央競馬の大きなレースを勝った馬の血が多く残り、次世代に続いていくことがほとんどだろう。

残念ながら、メジロの悲願はメジロマックイーンで途絶えてしまった。
父内国産で3代続いたのだから、それ以上は望むのは無理なのかもしれない。

ただまだメジロアサマの父系は途絶えてはいない。
皆さんには、「ギンザグリングラス オーナー」で検索してみて欲しい。
やはり当人からの話を聞くのが1番だろうから。

本業は別にあるのだけれど、ギンザグリングラスのお嫁さん探し、産駒の情報発信に非常に熱心にされていると感じる。
種牡馬入りの経緯もそうだが、持続する熱量と資金がなければできない。
一瞬のなら、俺にもできるかもしれないが、継続して熱を持ち続けられることに、本当に頭が下がり、上手く言えないが感銘を受ける。

ん?金のないお前じゃ説得力がない?
よけぇなお世話だ!ほっとけ!
色男に金と力はないように世の中出来てんだ!

ギンザグリングラスのオーナーは、産駒で中央競馬勝利を目指しているという。
オーナーの願いが叶う日が来るといいなと思う。

ただ、奇跡と呼ぶにはあまりにも不思議なことが起きる可能性は0じゃない。
ギンザグリングラスの産駒が生まれ、走り続ける限り。

繁殖入りしてからずっとギンザグリングラスが交配されてる牝馬がいる。
ラナチュールという。
たぶん、オーナーが関係している馬だったと思う。
詳しくは検索して。

個人的な思い出から、奇跡のようなことが起きるなら、こんなとこからじゃないかなと思う。
あくまでもこれは俺個人のだけどね。
1頭の馬には、その馬を見た人の数の夢と思いがあるだろうから。

その時も思ったけど、もしその時が来ても同じように思うだろう。
今まで学んできた血統観の天地がひっくり返ってもいい。
8代系でどんな血統評価が出ていてもかまわない。

ラナチュールの母はダイイチアピール。
兄にホクトスルタン。

前にも書いたかもしれないが、何度でも書かせてもらおう。

あの日、俺は仕事を終わらせて新宿にいた。
南口から真っ直ぐにWINSを目指す。
たくさんの人がいたが、すでに音は消えていた。
自分の鼓動だけが聞こえる。
震える手で書き込んだマークシートと金は、なんの抵抗もなく機械に吸い込まれていった。
俺の手には単勝馬券と頭固定馬単2点の戻ってきた。
すぐにポケットに入れ、その場を離れた。
なけなしの金、これがなくなると今月は終わる。
どこかで競馬中継が流れてないか、南口の雑踏を歩き回る。
頭のどこかが痺れていて、上手くものが考えられない。
ふらふらしてると天井からモニターがぶら下がり競馬中継が流れていた。
パチンコ屋だった。
奥歯を噛み締め、唸り声をあげていた。
それは音にはならなかった。
3分後にパチンコ屋を出た。
家に帰ろうとするが、身体に力が入らない。
振り絞った力で外れ馬券を写メに取り悪友に送った。
そして、なんとか歩き出した。
電車に乗って壁に寄りかかり、過ぎていく景色を見るともなく見ていた。
携帯にメールが届いた。
開いた画面には菊花賞、単勝、ホクトスルタンと書かれた馬券と「いいもん見させてもらった。これが競馬愛だな。」という返信があった。

だから俺は

「その時が来たら思い出す。」

「それまでは忘れてよう。」

そう思った。

pirocks

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