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酔生夢死

馬券が当たらなすぎて、昼酒を飲みすぎてしまった。
白毛がどうなるか?ちゃんと見ていようと思ったけれど、気がついたら酔いは進んで戻らなかった。
このコラムはそんなフラフラした中で書いている。
短くなるかもしれない。
ラップ、展開、そんなものはちゃんと見てないし、もう見返す気もない。

それでもいいだろう。

世間的には、「総帥の夢が…」とかなんとからしい。
血統的には、母母の血、ゴールドシップでロベルトクロス持ちがオークス馬の看板を持った。

いろんな捉え方があるのだろうけど…

桜花賞終了時点で、「ん?この運命はダービーまで続いてるのか?」そんな思いも持った。

血統的にどんと来いとは言わないが、サトノレイナスが出てきていても勝負になると思っていた。
3歳春のオークスなら。

馬券的には桜花賞馬は距離不安からの3着。
そんなことも考えていた。

だがしかし…
なんなんだ?この喪失感のようなものは?

祭りは終わった。
馬券も外れた。
それなりの寂しさがあるのは当然だろう。

もちろん、勝馬を、馬券内、勝負圏内にいた馬を腐す気はない。

だがなんなんだ?
このやるせなさは…

俺の好きな作家の1人、伊集院静のタイトルで、「愚者よ、お前がいなくなって寂しくてたまらない」というのがある。
このコラムでも何回か引用した気はする。

今の俺は…

「白毛よ、おまえが負けてしまって寂しくてたまらない」

ホクトスルタンの菊花賞、単勝を握りしめて震えていた短小の俺。
今までの経験、血統観が全部嘘だったとしてもかまわない。
本気でそう思って、新宿にいた。

レースは正直、アルコールの靄がかかったなかで見ていて、いろいろはっきりしない。

でも、かかったよね?
1頭だけ、明らかに毛色の違う馬がイヤイヤして…

レース前に逃げるのもあるかも?
そんなこと言ってなかったっけ?

だから見返したくない。
ちゃんと確認、認識してしまいたくない。

芦毛ですら目立つ。
まして白毛は…
同じような毛色の馬が走る中で…

言葉がないな。

もちろん、陣営、騎乗した吉田隼人が1番悔しいと思う。

今、つけっぱなしにしてたグリーンチャンネルを消した。
これを書いてる今、オークスのVTRなど見たくない。

何も聞こえないし、何も聞かせて欲しくない。
もう誰も、もう何も傷つかなくていい。

さみしい。
時が解決してくれるものだとわかっていても、今は寂しい。

引っかかってリズムを損ねるくらいなら、どんなきついペースでも先頭を走って散っていって欲しかった。

俺の心はそうだったのだろう。

ただの我儘。
でも、俺の心の答えはそうだったんだろう。

散るなら…
散るからこそ美しいのかもしれないが…
どうせ散るなら、日本で1番の場所で見たかった。

永遠に語り継がれたろうことは、永遠に語られることはなくなった。

それはifになった。

誰にも会いたくない。
この事を喋りたくない。
否定も肯定もいらない。

この胸の思いをそのままにしておくため、家系ラーメンを食べに行って大蒜と豆板醤をぶち込んで、歯磨きをせずに眠りたい。
そうすれば、明日くらいは誰も俺に近づけないだろう。

「夢を見るなら、叶う事のないようなでっかい夢を」

とにかく今、俺は寂しくてたまらない。
酔っていたかったが、もう酒もいらない。
すべてを眠りの中に忘れてこよう。

府中の風に散った綿毛が、やがて獅子の牙となり、すべてを切り裂くその日まで。

意味を求めず、答えもそのままにしておく。

pirocks

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