競馬総合サイトG-ZERO

府中に競馬が戻ってきた。

「行くの?指定席取るなら俺のもお願い!」

「たぶん行く。当日でも良い?」

「ぜんぜんOK!」

「了解!」

なんだか年明けから仕事が忙しく、週末にどれくらいの疲れがあるかわからない日々。
府中に競馬が戻ってきた!
行くぜ!てなテンションにはならない。
行くだろうな…行く気がするな…くらいのもんである。

当日の朝、電車に乗っていた。
ガタンゴトン、ガタンゴトン…
寝不足、わりと深くて不快な二日酔い。
男にはいろいろある…
避けて通れないことも、戦わなければならないことも…
道に沿うか、義理人情か、それとも己の意地か。
行くか戻るか…行くしかないのが辛いところ。
どれだけ我慢できるかが男の値段か…

なんてな、難しいことは置いといて…
当日、指定席、2階?3階?
久々すぎてよくわからん…
えいやっ!とポチって、編集長にQRコード分割。
一度部屋に戻って着替えて出陣だ!
おっと、その前に月末の支払いたちを済ませなければ…

皆さん競馬資金はどうしてますか?

「ちゃんと使っちゃいけない金でしてるぜ!」

「お小遣いの範囲で!」

それぞれに事情がおありだろう。
私は御賃金から、最低限生活していけるお金を引いて、余ったお金でしています。
なぜなら、競馬場に行くと財布にあるお金は全部使うというデータが出ているから。
直近3年のデータなので、かなり正確な数字だと思われます。

遊びというのは、長くなるほど、深くなるほど面白いものなので、無理なくというのが長くやる秘訣だと思います。
特に競馬という物語は点では捉えられません。
点で捉えたと感じている人は、本質が見えてないのではないかと思います。
点を一つ、二つ、三つといくつも重ねていくと線になります。
線の風になって競馬場を舞うのです。

物語は重ねれば厚くなります。
目の前の1つのレースに熱くなるのも良いですが…
歴史があり、文化となり、己一代で完結せず、身は滅びても人の記憶に生き続け、またそれを誰かが目にして語り継ぐ。
そんな終わらない詩が競馬かもしれません。

なぜこんなことを言い出したのか?

「負けたからだろ?」

そうです。
ただ負けてはいません。
お金がなくなっただけです。
認めたくなくてもお金はなくなりますが、認めなければ負けはありません。
私は不敗です。
私の脳は腐敗で、馬券を不売と不買はNOです。

話はあちらこちらに飛びます。
私は旅の人なので。

ところで、皆さんはどう考えていますか?

「競馬資金は余裕があった方が勝てる!」

「当てりゃあ良いんだから、持ってくのはいくらでもかまわない!」

私はどちらも正解な気がします。
余裕があろうがなかろうが、当たらないものは当たらないし、持ってるものがなくなれば帰るだけです。
となると、やはり楽しむことが最良かと。
私は競馬を楽しむ名人になりたい。

ここまで書いてきて、鋭い酔いどれ競馬ファンは気づいたと思います。

「普段より余裕な資金持って行ったのに、一つも当たらないで帰ることになったんだな。」

正解です。
問いは一つでも、答えは無数にあります。
犬も歩けば棒に当たるといいますが、私が歩いても箸にも棒にも引っかからないのです。
それでも私は楽しみました。
なので私の勝ちです。

パドックとコースを往復する日々が戻ってきました。
写真を撮ることもないし、レース前に歓声を上げることもありません。
ただ心を無にし、目の前で起こることを受け入れるだけです。
外れるということは、馬の能力を見抜けなかっただけ、その騎手を買った自分が悪いだけ。
誰も恨むことはありません。
心頭滅却すれば火もまた涼し。
ただ私は人格が分裂ぎみなので、私でない私が叫んでいるのを見ることがあります。

「出遅れたし…すでにハズレじゃん!」

「アホか?そのペースでそこにおったらどもならまいが!」

「やけん、今日は外回したら無理やろ?」

「男やったら中で勝負せぇや!外に出すのは責任回避か!」

「おどりゃええかげんせぇよ!このクソアホが!」

人間というのは不思議なものですね。
酒と博打は人が出ます。
人は醜いが故に美しくなろうとするものです。
美しいものは美しいので、美しくなろうとはしないものです。
愚かさもそうでしょう。

「今日はフジビューなの?」

「ん?いつもフジビューじゃないっけ?」

「そうだったっけ?」

「たぶん、いつものとこで合っとると思うよ。」

礼をし、正門を抜ける。
黙っていても右の方へ歩いてく。
まずは馬頭観音へ全馬の無事を。
スタンドの方へ向かうと、久々の高揚感。
これだよ、これ。これなんだよ。
この感じ、我らの府中、東京競馬場。

「あれ?いつもは2階だったのか…」

「今日は3階だろ?」

「久々で間違えたわ。」

「まあそんなに変わんないだろ?」

座るといつもより少し高い目線。
右手を見ると日本晴れに富士山。
左手に顔を向けると4コーナー。
自然と頬が緩む。

「帰ってきたよ。」

「帰ってきたね。」

「またよろしくね。」

「こちらこそ。」

「そろそろ始まるよ。」

「さあ、いこう!」

馬券が外れ続けると、頭がおかしくなって競馬場と脳内で会話するようになる。
違う、違う。
たぶん、競馬場も生きてるんだよ。

「東京競馬場さん、今年もよろしくお願いします。」

さあ、スタートだ!

pirocks

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