それは11月だった。
あやしい季節だった…わけもなく、そんな有名豚骨ラーメン屋のようなグループの歌の始まりなぞ、このコラムを見てくれているであろう、ナウなアンガスなニールなヤングたちは知るはずもなく…
きっと、このコラムを熱心に、楽しみに待ってくれている人たちは、ジャーニズ系か、ファンション雑誌になぜ乗らないのか?不思議でたまらないようなルックスの人達だろう。
けして、やっぱ女は30過ぎてからだなあ、熟れて垂れそうなパイオツがセクシャルバイオレットNo.1だよなあ…とか、小糠雨降る御堂筋であなたはどこと、訪ね歩くような人ではない気がする…
目を閉じておいでよ、それじゃコラム読めぬから!
そう、それは11月だった。
もうすぐ冬…冬がはじまるよ、俺の横でたちまちビールと言い、「くーっ!たまんねぇなあ!」とか知らない笑顔のおっさんがいる、そんな冬のはじまり。
あれは祖父の一周忌だったと思う。
確か、前日仕事を終わらせて夕方に帰省し、翌日午前に一周忌。午後からまた東京に戻り、翌日は仕事というような慌ただしい日程だった。
その当時、某SNSで競馬コミュニティに参加していて、毎週メインの予想を上げていたはず。
ん?今と一緒じゃねぇか!
週末に行われるのは、第30回ジャパンカップ。
こんな予想を上げていたと記憶している。
1着 2 6
2着 2 6 16
3着 2 6 10 13 16
八代クロス理論で高評価の3歳馬を中心にした予想だった。女王は血統評価で下に見た。
その当時は基本的に土日は仕事だったので、メインだけ買っていた。予算はその時の懐具合次第だ。
この時は給料日直後で、吉田照美くらいやる気満々だった。少なくとも3千円くらいは入金しようと思ってて、手持ち次第で6千円いっちゃうか?とか思ってた。
だがしかし、だがしかし、だがしかし…
人生とは上手くいかないものだ…
某駅につき、帰りの新幹線まで時間が少し空いたので、近くにある某スタジアムまで、散歩がてらグッズを買いに行った。
送ってくれ、時間潰しに付き合ってくれた母親と祖父の思い出を話しながら歩いた。
その途中に青い某コンビニの赤い地域限定店舗があった。
俺のネット口座はウルトラマンの3番目くらいのシリーズのコンビニでしか入金できなかった。
どこにでもあると思って生活していた。
グッズを購入し、上機嫌で駅に戻った俺は気づいた。
入金できるコンビニは反対に行かなければない。
しかし、もう反対まで行く時間はない。
穏やかな冬の日を新幹線は都会へ向け走る。
ああ、また明日からは日常が戻る。
感傷に浸る時間もなく、仕事に追われる日々がまたはじまる…
流れゆく景色から目を手元に戻す。
ぼんやりとした頭に情報が入ってくる。
その瞬間にタイトルのような声が出てた。
帰省で奇声であり、ヌとヲの間である。無理やり表記すると…
「にゅうおっ!」
思わず周りを見渡す、どれくらいの声を上げてしまったのか?
迷惑になるようではなかったようだ。
ほっとして、また手元に視線を戻す。
1着 6 ローズキングダム
2着 16 ブエナビスタ
3着 2 ヴィクトワールピサ
払戻 3連単 25,110円
ん?25,000?
「にゅっおっ!」
まぢか?マジーニョか?ジョルジーニョか?ロナウジーニョか?
なんてこった、パンナコッタ…
あの三頭でなぜこんな配当になる?
なにが某球団カラーの真っ赤な街のホットステーションローションだ!
コンビニで1番多いのはどこだ?
なぜない?なぜなんだ…
駅に着くまでに、あんなにたくさんあったじゃないか…
いい気分になれなかったじゃないかぁ!
わたしはすっかり疲れてしまい
生きてることさえ嫌だと泣いた…
物語はここで終わり。
と思われたが、また私は死んではいない。
物語には続きがあったのだ…
あれから何年経っただろう…
またジャパンカップがやってきた。
その秋は馬券の調子が良くなく、投げやりな気分で、その年を盛り上げてくれていた馬と心中しようとしていた気がする。
詳細な買い目は記さないが、1着固定の3連単12点勝負だった。
その時は仕事だったわけではないと思うが、レースを見た記憶がない。
ただ、レース後にパットを開くと、0になるはずだった数字が、ぎりぎり6桁くらいに増えていた。
「ああそうか、今日の府中は祭りだったか…」
演歌といえば北島三郎。
競馬といえば武豊。
ありがとうキタサンブラック!
(pirocks)