穴狙い、ほんの冗談のつもりでメイショウタバルを本命にしようと思った。
冗談というと失礼だが、どうにも競馬に熱がのらない。
去年までの俺なら、どこまでもメイショウタバルを追いかけていただろう。
なにより、発売後のオッズが気に入らなかった。
俺だけが気づいてる、だからこそ美味しい配当となるのだ。
まあ外れたら何もないのだけど…
メイショウタバルの勝利については、いろんなところで、いろんな人が語ってる。
武豊、石橋守、松本オーナーの縁も。
良い時代になったのだろう。
昔なら、新聞やニュースやラジオでしかわからないとか、レース中継だけとか、それぞれの時代を経てきて、いまやすぐに現地の様子が拡散される。
感動のポイントもそれだけ増えてるのだろう。
感動の質や量はどうかはわからないけど。
競馬は点ではなく線だといわれる。
一つのレース、その瞬間だけを見てもあまり意味がないと。
新馬戦からとは言わないが、大目標に辿り着くまでに物語は綴られていく。
それぞれの物語が交差するからこそ、喜びと悲しみが入り混じり感動を呼ぶのだろう。
ここ数年、追いかけた馬といえばドウデュース。
ダービーはパドックから素晴らしかった。
彼もターフを去り、私の熱はボートレースに奪われつつある。
そこにある物語も素晴らしい。
予想も楽しい。
6艇で争われ、エンジンや腕もそうだが、まずどんな展開かを考える。
競馬も展開は大切だが、頭数が大きく、力が拮抗していると考えることが多すぎる。
答えは一つしかないのに、どんどん買い目は増えていく。
以前の俺なら、競馬も丁半に持ち込んでた。
買い目は一つ、当たり目も一つ。
きっちり踏んでいけるかどうか？
それだけが自分との戦いだった。
けど今はどうだ？
なんとなくデータを見て、それぞれの専門家っぽい人の言うことを参考にして、ガラポンしてるだけじゃないか？
この騎手で、この馬で馬券を取りたいんじゃ！
そんな気持ちもないだろう？
お前は何年競馬をやってきたんだ？
象徴的なレースが宝塚記念の前にあった。
東京11レース、パラダイスステークス。
冷静になった今の俺ならこう言うだろう。
◯ラダイスキステークスてなら…「カリ」ボール。
相手は…やはり「カリ」か？
ならば、べ「ガリ」スか？
本来のピロ理論的アプローチなら、冗談でワイドは入れてたはず…
ほんと、俺はいったいどうしちまったんだ…
がっ「かり」だよ…
このレースの前、宝塚記念を軽く仕込んだあと、9レースくらいからパドック見て少し遊んでた。
これがまた軸がズレるわ、間は抜けるわ、前に行く馬が後ろからだわ…
嫌になってパラダイスステークス買うのやめた。
いちおうは考えたが、前日に痛飲して二日酔いで気力が続かなかった。
ちなみに、カリボール以外に考えてたのは…
1枠にハクサンバードだから、白枠で白山！
白山てことは…相手は3？山？
山っぽいのはいないから…3番？グレイイングリーン？
ぜんぜん白くないじゃん！
やーめた！てなもんだった。
結果は…最低14番人気カリボール激走で1着！
2着は…4番人気ベガリス！
3着は…7番人気ハクサンバード！
3連複は23万、3連単は239万！
どうだ！みたかピロ理論！とはならなかったよね…
宝塚記念の馬券の方も少し。
まず最初に買ったのが、ベラジオオペラとロードデルレイの2頭軸3連複。
もちろん相手に、ジャスティンパレスもショウナンラプンタもいましたよ。
だけど、そんなにつかないだろうから3連単も買いたかった。
少ない予算で夢を見るなら、絞って絞って絞って…となる。
手始めの3連複をフォーメーションにして、2列目にヨーホーレイクとメイショウタバルを入れるのも悩んだ。
ただそれだと、3列目が広がらない…
貧乏人の思考はそんなもんじゃい！
なんでもかんでも3列目総流しとかできるか！
喧嘩は数でするもんじゃねぇ！
すいません、嘘です。
博打と喧嘩と戦争は数です。
負け犬の遠吠え、貧乏人の僻みです。
自己評価が低く、卑屈で自虐的で、負けず嫌いが私です。
ま、べラジオオペラ１頭軸なら問題なかったですけどね。
ロードデルレイにもカッコつけて欲しかったんよねぇ…
なんせ上におるのは川田やけん…
わしはバカじゃ…
人の為と書いて偽りじゃ言われたばっかりじゃろうが…
川田に男になって欲しい、笑顔もええが涙もええ…
そうなんよ、そんな気持ちやったんよ。
やけん、外れてもどうちゅうことないよな。
たかだか3連複2万やろ？
そんとにわしゃ安い男じゃないわい。
すいません、また嘘をつきました。
2万円あったら、かわいいかわいい俺に、何か美味いものを食べさせてやることができました。
生活にも余裕が出て、精神にも身体にも良かったでしょう。
なぜ俺はアホに生まれてしもうたんや…
当たりもせん馬券や舟券、させもせん女、飲めもせん酒に入れ込んで…
なぁーんにも残りゃせんじゃないの…
宝塚記念、人間国宝武豊の名人芸と、メイショウの縁と絆、苦しい坂を越えたタバル。
レース後に俺はいったいなんなんだと自問自答。
答えは出るはずもなく…
２日酔いで家から出てない身体を陽に当てようと外へ。
明日は仕事、迎え酒、ヤケ酒もできない…
こんな時はどうするか？
轟音、爆音で吹き飛ばせ！
とかなんとか、けっきょくボートレース多摩川。
エンジンの音を聞けば、少しは気が晴れるかと思うたが…
軽くなるのは気持ちではなく財布…
馬もダメなら船もダメか…
こんな日はこんなもんだよなあ…
あそこで2点買い足してれば、２つで150倍あったのに…
土曜はSG連続優勝、佐藤隆太郎におめでとう言いに行って、2点で60倍だったのに…
プラスは少しだったけど、それを競馬にオールインしたのに…
酒じゃ！酒持ってこーい！
いけんいけん、それだけはダメじゃ…明日は仕事ど！
最終レース、何をどう考えてもイン逃げで安そう。
ガミでもなんでもええわと買った。
レースはスタートし、無事にイン逃げ当たってもガミと思われたが…
え？向正面で競ってる？
2マーク勝負？差した？まぢ？リアリー？
君は高憧四季ちゃんていうの？すぐインスタフォローするわ。
ん？3着なに？2？5？
ちょい待ち、1-3→1-3→なら4-5-6と外しか持ってない気がする…
お！5か？やるなあ！
君は刑部亜里沙ていうの？新婚さん？
ん？今節は旦那さんも一緒？
みんなありがとう！
入線順を確認し、場外の方で払戻することにして歩き出す。
思わず拳を突き上げるとこやった…
ま、ゆーても安いやろうけどね。
万舟はないし、50倍もないやろう。
それでも最後に一矢報いた。
負けたけれど倒れなかった、１つは良いの入れた…
そんな気分で帰路へ。
自転車で坂を上がりながら、夏競馬はどうするかな…
見かなあ…競艇場も指定席入らんと暑くて耐えられん季節になったなあ…
府中開催も来週で終わりか…
多摩川やってないし、暑いやろうけど競馬場行くかなあ…
その前に金の算段せないけんのう…
越すに越されぬ田原坂
越えていったは名将とタバル
越えた先に何がある
男の苦闘、苦悩はつづく
そうか、薩摩武士の子孫とタバルか…
俺、コラムにそんな話書いてたような…
そこで岩国藩生まれのもんの話とかするけん、タバル１頭軸にできんのやろなあ…
俺の財布も、中国地方全域から防長二州に減封や…
ま、メイショウタバル１頭軸で外したわけじゃないけんよかろ。
まさかそんな買い方で外す人なんておらんやろ…
と思ったら、レース後に「つのちゃん」が気が狂いそうな買い目を上げてた。
勝馬軸で2着は2列目、3列目に4着はあるけど3着はない。
これがプロの外し方やね。
オムツして競馬見ないけんわ。
わしなら絶対に漏れる！
しかし見事な3連複フォーメーション18点やったわ。
記念にここに書いとこうて。
12→1-9-13→1-2-9-11-12-13-15-16
タッチの名シーンが浮かぶやろ？
嘘みたいだろ。
外れてるんだぜ。
それで…
どんまい！あんたが大将や！