競馬総合サイトG-ZEROでコラムを書かせてもうようになり、再上京してきて5年くらい。
今調べてみると、競馬総合サイトG-ZEROも5年目。
始まった年の秋に、再上京してきたみたい。
いろいろなことが重なり、まあ仕事がなくなっただけという噂はあるが、田舎に戻ることを決めた。
これも縁というか、潮目というか、G-ZEROを始め意気揚々と生きようと再上京したが、ここでは生きていけなくなった。
再上京と書いたが、21歳から30半ばまで首都圏を転々とした。
中央線で居候から始まり、仕事や私事で京王線からの山手線、京王線に戻りウロウロ、最後は常磐線というか新京成…新京成は名前変わったんだっけ?
短くて半年、長くても更新は2回まで、いろんな街に住んだ。
とにかく酒浸りで、何度も失職し、よく生きてたなと自他共に認める日々だった。
今もそれはあまり変わってないのかもしれない。
血統的に酒乱。
親父も俺も、酒を飲むと気が大きくなる。
記憶をなくし、人に迷惑をかける。
理想と現実の差に耐えられないのだと思う。
競馬の競艇の街、府中市に暮らして思ったのは、当たり前の話だが、公営競技が好きで住んでる人は少ない。
多くの人が、生まれたところだから、仕事の都合でとかだろう。
独り者なので、街の人との関わりが少ないからかもしれない。
府中市も広いし、散歩がてらに競馬場、競艇場というエリアもそんなにないのかもなと思う。
多くの人が電車に乗って、わざわざ来るところなのだろう。
もちろん、競馬が終わった後に街へ出れば、祝杯をあげている人、反省会の人たちにも出会う。
ただ、なんで言うんだろ…お祭りに来たみたいな感じで、みんな遊んでどこかへ帰って行く人たちだ。
「どこいんの?府中?多摩川?」
「今日は多摩川。」
「んぢゃ、今日は競艇打つか…着いたら連絡する。」
「了解。今日は差し傾向かも?」
なんてことを、この歳になってもやってるのは俺たちくらいなのかも?
競馬場に幻想を抱くこともなくなり、喧騒と広さに耐えられなくなってきてる。
この街を離れれば懐かしく、また欲することになるのかもしれない。
コロナ禍が終わり、入場制限の時代、人も歓声も少なく、少し寂しい気もしたが、あの時は本当に楽しかった。
じっくりパドックを見て最後の答えを出し、指定席に座りゆっくりと観戦する。
レースが終われば、またパドックへ歩いていく。
先にパドックに着いた俺を見つけ、編集長がどう?と声をかけてくる。
幸せな時間だった。
府中に住んでる最後の東京開催。
人の少ない土曜日に行こうかと思ってた。
ただ、多摩川も初日だし、福岡でSGやってるし迷っていた。
週中、編集長からジャパンカップ見たい、入場券取っての連絡。
了解し、俺はジャパンカップだけ見て、終わり次第福岡のSG買いに多摩川と伝えた。
今の俺は買うなら競艇。
競馬サイトでコラムを書かせてもらってるのにね…
一節の流れ、推理が面白い。
最近は、編集長と競馬に行っても反省会はしない。
飲みながらネットで競艇を打つ。
あっという間に時間が過ぎる。
編集長はとにかく打つことが好き。
競艇も俺に付き合ってくれてるのかと思ってたが、今は打つことは俺以上だ。
ジャパンカップ当日、昼過ぎからゆるゆると多摩川へ。
愛しの渡邉優美2着万舟は頭違いで逃し、編集長から競馬場着いたとの連絡があり向かった。
15時前には着いたと思うが、もう電話の電波が怪しくて、スマッピーに入れてたジャパンカップ買ってから馬頭観音へ。
パドックはすでに人だかり。
生で見ることを諦めモニターを見つめる。
クロワデュノールも悪くなさそう、ダノンデサイルはえらい絞れとるな…
ん?セイウンハーデスが良さげ、カランダガンも良さげだし、マスカーレドボールも。
ちょっと買い足すかな…と、スマッピーを開こうとするが…繋がらない。
編集長に連絡するも出ない…
時間も迫ってきた…合流できないかな?なんて思いながら、いちおう4コーナーに向かうとメールして歩き出す。
この5年で1番人が多いかも…やれやれ…
東京2,400メートルはスタンド前発走。
何年か前のダービーが頭をよぎる。
ゲート入りで歓声に入れ込み、暴走した馬がいたことを。
ここはライブハウスじゃない。
なぜ、好きな競馬を、愛しい馬を静かに見守れないのか?
あなたが買って、応援してる馬に不利になるかもしれない、事故や怪我に繋がるかもしれないんだよ?
4コーナーに着いて程なくして編集長と合流。
とにかく周りがうるさい。
俺はこれが嫌で競馬場に来ることが少なくなったのだなと改めて思う。
去年は乗馬の格好をした少年2人がいたな…
騒ぐ片方を、静かにしなくちゃダメなんだと、もう片方が宥めてたな…
ゲートに向かう馬たちが目の前を駆けていく。
歓声があがり始める。
口から自然に、「静かにしてくれ、お願いだから。」
全人馬に不利のない、全人馬無事なレース。
そこがスタート地点だと思う。
良いレースだったか、つまらないレースだったかは問題ではない。
上がる歓声のせいで、レースが壊れてしまうのは見たくない。
ゲートが開く、一頭落馬、カラ馬が…
歓声がすごくて場内実況が聞こえない。
ビジョンも遠く、状況がよくわからない。
ペースも、有力馬の位置も、誰が逃げてるかもわかない。
馬番を確認しようにも、レーシングプログラムも新聞もない、スマホは固まったまま動かない。
そのうち、目の前を馬群が通過し、ゴールの方を見ると2頭が叩き合ってるようだった。
青い帽子?8番?カランダガン?
8→15→14で入線?
3連単は外れたな…欧州馬かよ?
ん?レコード?そんなレースだったの?
編集長とそんなやりとりをしてると、近くにいた若者が興奮しながら入線順を聞いてきた。
これ当たってますよね?と購入画面を見せてくる。
編集長が当たってるよ、おめでとうと言うと、さらに興奮していた。
俺は、今出れば多摩川で福岡SG優勝戦の展示に間に合うかもと思っていた。
払戻に並ばず、編集長を促してすぐに出た。
多摩川に着くと、ちょうど展示。
2コースだが、広島の山口剛の船の向きが良さそう。
昨日のインタビューでは、2コースのツケマイは好きじゃない、握るかどうかは身体の反応に任せるとかなんとか。
準優勝戦、3コースから勝ち上がった関が再びの3コース。
SG優勝戦フライング罰則はキツイが、ここは攻めるしかないやろう…
展示時計が出て、やはり山口剛は良い。
魔法使い茅原悠紀は6コースで遠い…
馬場貴也も4コースから突き抜けるほどの足ではなさそう…
展開は5コースの佐藤翼にもありそう…
しかし、1コースはスーパースター池田浩二。
何人で攻めかかっても跳ね返されそう…
買い目はすんなり決まった。
池田浩二が関の攻めに反応しつつ先マイで逃げきり。
相手は、差し山口剛、まくり差し佐藤翼、最内差し茅原悠紀。
本線は1→2-5-6→2-5-6。
買ったのは、魔法が見たくて1→6→流、広島もんの根性に期待して、1-2→1-2→3-5-6、おまけで1-2→1-2-6→1-2-6。
買い終わって編集長を待つ。
中の大きなモニターで見ようかと思っていたが、なかなか出てこない…
タバコ吸いにいってたから、締め切られたんじゃないの?とか思ってると出てきた。
もうピット離れてるぞ!
入口通路のモニターに人が集まってくる。
進入は展示のまま、枠なりだ。
ピッ、ピッ、ピッ、ピー!
「スタート揃うぞ!」
「外が遅れ気味?」
「関はいけん。」
「池田浩二か?」
「差さった?」
「差ったやろ?」
「山口か?」
「かかってる!山口だ!」
「いや、まだわからん。」
2マークの攻防から2週目、2→1→5→6と回っていく。
すごい…山口剛…池田浩二を差した…
池田浩二が負けるなら、捲り系かと思ってた。
いま、改めて調べるとスタートは内から、.04、.09、.12、.19、.22、.23。
レース後池田浩二は、「うねりがあったがインなら大丈夫と思ったけど。」と語った。
山口剛の素晴らしいターンだったということだろう。
「くー、1→2→5なら当たりなのに…」
編集長が舟券を見せてくる。
俺は順々に外れから見せていく。
「なるほどね。そこから行ったか。」
アレ?この人気付いてない…
もう一度、最後の1枚を見せる。
「ん?これ当たってんじゃん?」
「じゃけゆーたじゃん?山口剛の船の向きがええよて。」
「これ万舟じゃん!」
「そんなつくの?」
「うわあ、これからうるさくなるな…」
「そんなことないよ。山口剛の船の向きが…」
「よし、次のレース買おう。」
その後、編集長も万舟取ったと思う。
腹も減ったし、喉も渇いたので頃合いでいつもの焼鳥屋へ。
矢沢永吉を観に行くために、外から高配当の舟券を狙うマスターのとこ。
しばらく飲んでると、忘年会シーズンで飲み続けの編集長がシャットダウン。
隣の席で素敵な女性たちが、熱く語るのをぼんやりと聞いていた。
なんとなくだが、判定やレフリングみたいな話。
なんらかの競技の審判かな?
チャーミングな人たちだし、ひょっとしたら業界では名の知れた元競技者かもなあ…
あまりにも話が面白くて、勇気を出して話しかけてみた。
フットサルの審判をした帰りのようで、いかに試合をコントロールするか?が主題だったよう。
素人の浅はかな質問にも丁寧に答えてくださり、競技者でも観戦者でもない視点が面白く、こんな縁があるから都会はすごいよなあと思った。
競馬サイトでコラムを書いてたりするんですよと話すと、競馬行ってみたいと仰られていた。
僕はもう、ここを離れるし、今年の東京開催は終わったので、ご案内、ご一緒できないのが残念ですなんて…
コラム書いてるというと、すぐにサイトを調べてくれたり、俺がもう少し若くて金を稼いでいれば…なんて、思わなかったというと嘘かな?
しかし、これも縁と流れなのだろうなと。
これを機にではないかもしれないが、彼女たちと競馬に素敵な縁があるように祈るだけだ。
行ってみたいけれど、きっかけがないという人たちもいるのかな?
SNSとかでつぶやくと、誰かが誘ってくれたりしないのかな?
女性の場合はトラブルが怖いか…
友達と何も知らなくて行っても、JRAで初心者セミナーみたいなのやってたりするけどね。
ああ、なんで競馬場来るようなもんが…と横目に見てたけど、案内する人がおらんと何が何だかわからないのかもなと思った。
地方の人、俺みたいな田舎もんの感覚にはないけど、たまたま誘われて競馬場に行ってハマるなんて人もいるんだろうな。
G-ZEROで、「編集長と行く、初めての競馬場!」とかやればよかったかな?
いやいや、俺たちみたいなうるさい、内気なお喋りがおると楽しめんやろ。
2人とも妙なサービス精神あるし。
ま、ご要望があればかな?
中学の同級生と遊んだダービースタリオン。
8代血統理論に出会ったのは高校入ったくらい?
上京し、たまに競馬場に行くようになったのが20代中盤。
再上京し、散歩に競馬場に行くようになった現在。
この街を離れるだけ。
全国どこにいても競馬も競艇もネットで買える。
馬も船も現地でしか味わえないものがあるのはわかった。
逆に現地にいるとわからないことも。
そろそろ、肩の荷を下ろすというか、気を張って無理をしなくていいのかなと思う。
頑張るのをやめて、世間から外れようと、今の精神と身体で出来ることをやる。
田舎に戻れば娯楽は少ないし、収入もこちらで就職するよりは低いだろう。
でも、もう大きく見せることもないのだろう。
大酒を飲み、持ってる金は全部打つ。
そんなのは本来の自分の性質、特性ではないのかもしれない。
田舎にいると情報が入ってこない。
今までのように、人と出会うこともない。
編集長は今はネットワークあるし、SNSもあるしなんて言うけど、田舎者しかわからないと思う。
自分の大好きだったアーティストの訃報に半年くらい経って気づいたり…
都会にいれば、誰かに会って話が回ってくるのに…
だけど、今の生活を捨てるから得られることもあるんだろう。
少し離れたところから競馬を見て、今より好きになるか嫌いになるかわからないけど。
馬券も買わなくなって、結果だけ追いかけることになるかも知れない。
そのせいで、なにも書く事がなくなるかもしれない。
ただ、競馬総合サイトといっても、takuさんの語る血統がメイン。
編集長も事業に手がかからなくなれば、また自慢げに…この言い方は良くない?
予想や買い目を上げるだろう。
この場所を離れるから見えてくるものもあるだろう。
この場合にいるから見えないものがあるのだろう。
去る事がわかれば、惜しんでくれるが、うちに来たら良いじゃん?てな女はいない。
始まりがあれば終わりがある。
出会いがあれば別れがある。
それだけのことで、また何かが始まり、何かに出会うのだろう。
風を切り、坂を下っていくのが好きだった。
坂を右に行けば競馬、真っ直ぐ進めば競艇。
おしゃれをしていくわけでなく、普段着で1レースだけ。
そんな街で暮らした。
そんな日々があった。
あともう少しだけ、このままで。
