「前人未到」を常に達成してきた、日本競馬界のレジェンド・武豊。
平地G1完全制覇達成まで、あと2つ。
それが、今週末の朝日杯FSと来週のホープフルSだ。
これだけのジョッキーが、何故、朝日杯FSを勝てないのか?
完全制覇は達成できないのか?
競馬ファンなら「そんな当たり前なことは、今更言われなくても分かっている。」という当然のことなのだが、改めて、その理由を考えてみた。
1984年にグレード制が導入されて以降、このレースを勝ち、且つ、翌年のクラシック三冠のいずれかを制した馬は、以下の6頭しかいない。
1986年メリーナイス(日本ダービー)
1987年サクラチヨノオー(日本ダービー)
1989年アイネスフウジン(皐月賞、日本ダービー)
1991年ミホノブルボン(皐月賞、日本ダービー)
1993年ナリタブライアン(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)
2012年ロゴタイプ(皐月賞)
1993年までは、2年に1頭のペースで登場するが、それ以降は19年も開き、更にそれ以降は、出ていないという状況。
全体で見ると16.6%、1994年以降で見ると3.8%という数値。
これはもう、朝日杯FSに勝った馬は、クラシックでは大きく割引きというデータになってくる。
では、翌春の皐月賞、日本ダービーを勝つ馬達は、どのような路線を進んでいるのか?
これは、本当に多種多彩で、「これ」というレースが無い。
2017年以降、ホープフルSがG1に昇格し、クラシックを展望する馬達は、こちらに回る傾向が強まっているが、それでも、ホープフルSを勝ち、クラシックを勝ったのは、2019年サートゥルナーリア(皐月賞)、2020年コントレイル(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)の2頭。
最大の目標とされる日本ダービーという事で考えると、1頭しか出ていない。
オーナー、生産者、調教師、調教助手、ジョッキーと、サラブレッド育成に関わる全ての人間が、日本ダービーを目指していると仮定すると、2歳冬現在の完成度比べは、さほど重要な事とは思えず、当然、上記のような数値に至っていると推測できる。
過去に、「何度でも勝ちたい。」と言っているように、武豊自身の目標も、勿論日本ダービーだろう。
朝日杯FSには失礼だが、これは、もはや、G1であっても「目標」ではなく、流れの中でそうなってしまっているだけレースなのではないだろうか?
確たる目標を持って進んでいる者とは、全く別の流れにあるレースということなのではないだろうか?
だとすると、ここを勝つには偶発的な「運」的な要素が大きく働かないと難しい。
自身は日本ダービーを目標にしているのに、クラシック勝率16.6%しかない馬に夏くらいから乗っている。という矛盾した偶然。
それ以外では、「武豊に朝日杯FSを勝たせたい!」という強い意志を持って、金に糸目を付けぬというオーナーが登場する。とか。
ファンとしては、平地G1完全制覇は達成してもらいたいし、その瞬間を見たいと思うが、それよりも自身が日本ダービーを勝ちたいと思っている以上、この恋は、我々の片思いで終わりそうだ。
(編集長・katsu)