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繁殖牝馬考察 デアリングタクト

今回の血統研究所は、繁殖牝馬考察と銘うって、繁殖牝馬の考察を行いたいと思います。まず、繁殖牝馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる仮想配合(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。

では、今回は、デアリングタクトです。

デアリングタクト(エピファネイア×デアリングバード by キングカメハメハ)・生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:6 結:5 土:4 弱:1 影:2 集:5 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I 〇 C △ L ×
ダ:S × M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

〇 短評

主導は、サンデーサイレンス4×3を呼び水にした、Hail to Reason5・6・7×5の系列クロス(父父内8代目Hail to Reasonは、やや世代がずれた為、クロスとしてカウントはしていない)。次いで、Northern Dancer5・7×5・6・6・8の系列クロス。この両者は母母デアリングダンジグ内に存在し、Nearcoで強固に連動している為、主導勢力とみなしてよいが、サンデーサイレンスを呼び水にしている点を考慮すると、連合勢力とみなすにはやや不満が残る。できる事ならば、Northern Dancerを中間断絶クロスにした方が良かったと言える。また、Nijinsky-Northern Dancerの位置の問題も抱え、その意味においてシンプルな配合であるとは言い難い。反面、血統全体の連動性はなかなかに強固で、7代目Buckpasser.Olympiaなど結合をアシスト。ただし、父の血統内で強い主張を持った、Princequillo-Prince Roseが前面でクロスを多用した配合であるにも関わらず完全に離反したのは見逃せない点で、これらを踏まえると器用な競馬をこなせるタイプに育つ可能性は低いと考えられる。しかしながら、Sadler’s Wells.Nureyevの呼応によりSpecialをクロス。父父内シンボリクリスエス内に存在するGold Bridgeを連動させ、Nasrullah.Hyperionにより、そのスピードを主導勢力へと結合させた点は、当馬にとって武器になる可能性がある点は指摘しておきたい(蛇足だが、Sadler’s Wells.Nureyevの相性の良さは血統が1/4ずれる事によりSpecialのクロスを作成できる点にある。ただしこれをより良く生かす為には、Gold Bridgeのクロスはほぼ必須)。以上を踏まえると、詰めの甘さを見せる点は否定できないものの、父産駒としてはスピードや切れ味に良さがある配合だと言えるだろうか。本質は芝向きの中距離タイプ。距離延長は対してはさほど適性が高いとは言えないが、前述のスピード再現が上手くいけばマイルまでは適応可能。

以上が、デアリングタクトの血統評価になります。これが繁殖牝馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思います。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、まず上げていきましょう。

・スピード系

Hail to Reason.Spcial.Nearctic.Almahmoud

・スタミナ系

Nijinsky.Princequillo

・バランス系

Northern Dancer.Nashua.Native Dancer.サンデーサイレンス

これらを踏まえて、種牡馬側に求める条件を考えてみたいと思います。

・自身は、サンデーサイレンスの中間断絶を呼び水とした、Hail to Reasonを主導にした配合だが、Nearcticからクロスを継続させたNijinsky-Northern Dancerの影響も強く、主導が不明瞭になった配合であり、この部分の補正は必要。具体的には、Northern Dancerを主導勢力とするのは位置的に無理がある為、サンデーサイレンス-Haloを主導とする方向性が望ましい。

・自身で世代ズレをおこし、血統内において孤立したPrincequilloの扱いを考える必要がある。具体的にはMill Reefや、Sir Gaylordのクロスが有効で、産駒にはこのクロスを作成したい所。

・前述のようにNorthern Dancerを主導に据える事は困難な配合であるが、その父Nearcticからクロスを継続させ、スピードに良さがあるNorthern Dancerとなっており、この継続は是非続けたい。位置の関係から極端にNorthern Dancerが前面にある種牡馬を配さなければ、この再現は容易。

・また、代が進むため、やや価値が薄まるものの、Specialのスピードをできるならば活用したい所。

このような繁殖牝馬としての特徴を持つ、デアリングタクトですが、アトランダムな配合においては、サンデーサイレンスを呼び水とし、Hail to Reasonを主導とした自身の傾向を引き継ぎ易く、産駒の勝ち上がり率は悪くないと想定される。ただし、本質的には欧州系主体の血統構成となっている点には留意が必要で、極端な米系主体の種牡馬を配した場合は、母の能力再現が弱くなり、勝ち上がりに苦労する可能性は指摘しておきたい。

仮想配合

(イクイノックス×デアリングタクト by エピファネイア)-・-生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:9 結:5 土:5 弱:1 影:3 集:5 質:4 再:4 SP:4 ST:3 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(43+1/60)点 クラス:1A+
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M ◎ I 〇 C △ L ×
ダ:S × M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:高め 成長型:早め

〇 短評

主導は、その父系であるHalo-Hail to Reason-Turn-to-Royal Chargerと継続させた、サンデーサイレンス4×4・5の系列クロス。次いで、母の傾向を引き継ぎ、Specialを伴うNureyev-Northern Dancerの系列クロスで血統を構成。非常にシンプルな血統構成となっており、この配合の最大の長所はこの部分にあると言える。また、孤立しがちなPrincequillo系をSir Gaylord7・7・8×7により、主導と連動。この部分も見るべき部分である。惜しむらくは、母のスタミナ源となったNijinskyの落失や、世代の後退によりBuckpasser.Le Fabuleuxのスタミナが主導と連動しなかった点で、血統全体の連動性は高いとは言い難い部分である。また、サンデーサイレンスを4代目に配した際に問題になりやすい、Wishing Well内の弱点の派生だが、当馬もこの問題を解決できておらず、安定感にはやや欠ける可能性は指摘しておきたい。とは言うものの、前述のPrincequilloや、Nasrullahの影響によりそのスタミナ勢力としての要素が減退しているものの、Hornbeamを6代目でクロスさせ、決して長距離向きのそれでは無いものの、スタミナの核とした点は見るべき部分であり、長く脚を使える可能性を秘める点は指摘しておきたい。本質は、芝向きのマイル~中距離タイプで、ダート・重馬場はこなせる程度。主導となったサンデーサイレンスのスピード再現にはかなりの良さがあり、父イクイノックス、母の父エピファネイアの相性の良さを良く生かした配合で、早期のスピード対応可能な血統構成。更に、影響度バランスを(6-6-6-8)とし、強調された母の母デアリングバードにある程度の血の集合が見られる事から、仕上がった際には決め手ある競馬を見せる可能性も合わせて指摘しておきたい。

最後になりましたが、これがデアリングタクトの、繁殖牝馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

(taku.O)
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