この度ご依頼いただきました、繁殖牝馬Maajidaの配合考察を行いたいと思います。まず、繁殖牝馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、また、ご希望頂きました種牡馬との相性を診断させて頂きます。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。
また、そのような方はいらっしゃらないと思いますが、関係者の皆様への問い合わせ、それに類する行為は厳に慎んでいただければと思います。
距離適性は、ミオスタチン遺伝子をC/T型と想定して算出しております。当該のサラブレッドのミオスタチン遺伝子が、C/C型であれば一項目左へ、T/T型であれば一項目右へずらして、ご閲覧頂ければ幸いに思います。
では、今回は、Maajidaです。
Maajida(Saxon Warrior×Artisanale by Oasis Dream)牝・20生
有効世代数:9代目
Ⅰ 主:7 結:6 土:2 弱:1 影:2 集:6 質:4 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(41/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M 〇 I 〇 C × L ×
ダ:S □ M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:高め 成長型:遅め
〇 短評
主導は、血の濃さがあるものの、Danzig-Northern Dancer-Natalma-Almahmoudと継続させた、デインヒル4×3の系列クロス。その父Danzigを血統の3ブロックに配し、かなり明瞭に血統をリードしている。次いで、同様にNorthern Dancerの系列である、Lyphard5×5・5や、Sir Ivor6×5の系列クロスで血統を構成。また、Busted5×6の中間断絶の影響も強い。従って、主導・結合と言った競走馬の血統の背骨を形成する評価は、比較的良好。反面、質の高い血であるものの、扱いの難しい、父の母内Allegretta内に弱点を派生した点や、Ribotが世代ズレにより落失しており、この部分が惜しまれる部分である。とは言うものの、強調された、母の母Aquarellisteに血の集合が見られ、デインヒル内において、Buckpasser-Tom Foolを生かす等、主導内充足率も良好で、仕上がった際には鮮やかな競馬を見せる可能性を秘める。本質は、芝・ダート兼用のマイル~中距離タイプで、重馬場は慣れればこなせる程度。父の父であるディープインパクトのキーホースでもあった、Turn-toをしっかりと生かしており、切れのある末脚を望めるタイプ。クロス種が9代目までに57と多く、能力発揮には時間を要すると考えられる。
以上が、Maajidaの血統評価になります。これが繁殖牝馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思います。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、まず上げていきましょう。
・スピード系
デインヒル-Danzig.Turn-to
・スタミナ系
Lyphard.Busted.Wild Risk.Buckpasser
・バランス系
Northern Dancer
これらを踏まえて、種牡馬側に求める条件を考えてみたいと思います。
・自身は、デインヒル4×3の系列クロスを持つ血の濃さがあるものの、母として考えた際には、世代が一代後退する為、できる事なら、この継続を狙いたい。デインヒル4×4・5あたりを考えるのがベターだと言える。
・また、孤立しがちなPrincequillo系を連動させる為、Sir Ivorのクロスの継続を狙いたいところ。
・スピードの血の確保の為に、自身では眠っているMr.Prospectorのクロスは世代的にも有効になりうる。
・スタミナの確保の為に、Buckpasserの継続を狙いたいが、加えて自身では眠っている、Mill Reefをクロスさせることは有効で、Princequillo.Count Fleetの連動性に良さが出るため、積極的に考えていきたい。
・また、Maajidaを母として見た際に、デインヒルがハートライン上でクロスしている為、その優秀な心臓を引き継ぐ可能性を秘める点は指摘しておきたい。
このような繁殖牝馬としての特徴を持つ、Maajidaですが、アトランダムな配合においては、Northern Dancerの系列クロスを継続させ、スピードに良さが出るというような産駒が多くなると考えられます。また以下にご依頼頂きました、種牡馬との配合診断を掲載させて頂きたいと思います。
(Fierce Impact×Maajida by Saxon Warrior)-・-生
有効世代数:9代目
Ⅰ 主:6 結:5 土:2 弱:2 影:3 集:4 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:3(母伴性血縁牝馬・デインヒル)
合計:(39+3/60)点 クラス:3B+
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め
〇 短評
前面でクロスした、ディープインパクト2×3は単一クロスの為、主導はNorthern Dancer-Natalma-Almahmoudと継続させたDanzig4×5・5・6の系列クロス。次いで、ディープインパクト内、Lyphard5×6・6・6の系列クロスや、Turn-toを伴う、Hail to Reason5・9×6・8の影響が強い。このディープインパクトクロスは血をまとめる上では、比較的有効に作用しているが、できる事ならば無い方がシンプルな血統構成を形成でき、良かったと考えられる。とは言うものの、主導内Petitionの系列クロスから来るスピードや、Busted.Sir Ivorの継続などを踏まえると、父母の血の再現性は良好で、この部分が当馬の能力の源泉。本質は、芝向きの中距離タイプで、ダートは慣れればこなせる程度だが、重馬場は得意なタイプ。9代目までに、クロス種が46と少なく、血の濃さがある為に能力発揮は早いタイプで、早期の中距離対応が可能。また、母では眠っていた、Mr.Prospectorにより、Count Fleetが連動した点や、スピードに良さが出た点はみるべき部分である。
(King Colorado×Maajida by Saxon Warrior)-・-生
有効世代数:9代目
Ⅰ 主:6 結:7 土:2 弱:1 影:2 集:5 質:4 再:5 SP:5 ST:3 特:3(母伴性血縁牝馬・デインヒル)
合計:(40+3/60)点 クラス:3B+(1A)
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M ◎ I □ C × L ×
ダ:S □ M □ I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:高め 成長型:早め
〇 短評
主導は、いまだ珍しくあるが、Danzig-Northern Dancer-Natalma-Almahmoudと継続させ、Sir Ivor.Never Bendの系列クロスを内包した、Green Desert4×4の系列クロス。その父Danzigを血統の3ブロックに配して、血統をかなり明確にリードしている。次いで、Hail to Reason-Turn-toと継続させた、Halo4×4、Lyphard.Never Bendの系列クロスや、Busted-Crepello.Princequilloを内包したHope4×4、Mr.Prospector5・6・6×7の中間断絶で血統を構成。惜しむらくは、母の父Saxon Warrior内、Wishing Well内に軽微ながらも弱点を派生した点で、血の濃さがある為に、若干不安定な競馬を見せる可能性を秘める点か。とは言うものの、かなりしっかりとした血統構成であり、特にスピードの血の生かし方は非常に良好。本質は、芝向きのスプリント~マイルタイプで、ダートはこなせる程度だが、重馬場は得意なタイプ。9代目までにクロス種が49と比較的少なく、早期のスピード対応可能な血統構成。無事な開花を望みたい一頭。
(Jonker×Maajida by Saxon Warrior)-・-生
有効世代数:9代目
Ⅰ 主:10 結:7 土:3 弱:1 影:3 集:6 質:4 再:5 SP:5 ST:3 特:4(主導牡牝を通じたクロス 母伴性血縁牝馬・デインヒル)
合計:(47+4/60)点 クラス:1A+(2A)
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S ◎ M ◎ I △ C × L ×
ダ:S □ M □ I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:高め 成長型:早い
〇 短評
主導は、Danzig-Northern Dancer-Natalma-Almahmoudと継続させた、デインヒル4・5×4・5の系列クロス。この主導は、血統の4ブロック全てに配され、非常に明確に血統をリードしている。ここまで明確な主導を形成する血統構成は、現代的な血統を考えた場合は稀であり、主導内においてもBuckpasser.Petion.Alibhaiとクロスさせ、その充足率も高い。次いで、Never Bend6×7・7・8、Sir Ivor6×6・7の系列クロスや、Miswaki5×6の中間断絶で血統をリードしている。孤立しがちなLulun.Princequilloをこれらクロス内の、Nearco.Mahmoud.Native Dancerでしっかりと主導たるデインヒルと結合させており、競走馬の血統の背骨を形成する、主導・結合と言った評価は非常に高い。惜しむらくは、母の結合をアシストしていた、Lyphardの欠落や、父の母内Imposingにおいて軽微ながらも弱点を派生させた点だが、これは重箱の隅をつつくレベルである。本質は、芝向きのスプリント~マイルタイプで、ダートや重馬場はこなせる程度。9代目までにクロス種が44と少なく、非常にシンプルな血統構成となったうえに、隠し味的に生きた、Turn-to8・8・9×7・8・9・9・9の系列クロスを踏まえると、切れのある末脚や、器用な競馬を見せる可能性を秘め、血の集合も強調された、母の母Artisanaleに存在し、仕上がった際には鮮やかな競馬を見せるタイプ。是非とも無事な開花を望みたい一頭。
最後になりましたが、これがMaajidaの、繁殖牝馬としての考察となります。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。
(taku.O)
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