今回の血統研究所は、種牡馬考察と銘うって、先日国内での種牡馬入りが発表された、ポエティックフレアの種牡馬考察を行いたいと思います。まず、種牡馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血（これをキーホースと言います）がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる仮想配合をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。
では、今回は、ポエティックフレアです。
ポエティックフレア（Dawn Approach×Maria Lee by ロックオブジブラルタル）牡・18生
有効世代数：10代
Ⅰ 主：８ 結：６ 土：４ 弱：２ 影：３ 集：６ 質：４ 再：５ SP：４ ST：４ 特：０
合計：（46/60）点 クラス：1A
Ⅱ 日本適性：□ 成長力：〇
Ⅲ 距離適性
芝：S □ M ◎ I 〇 C △ L ×
ダ：S × M □ I △ C × L ×
芝適性：〇 ダート適性：△ 重馬場適性：〇
Ⅳ 開花率：低め 成長型：遅め
〇 短評
主導はNorthern Dancer５×５・５・５の系列クロス。その父母Nearctic.Natlmaとクロスさせ、有効世代数が10代目となったのもあって強力に血統をリードしている。次いで、Ribotを伴うHis Majestyで結合をアシストしながらスタミナの核を形成。更に、Buckpasser７×６が米系の結合をアシストするという、非常に隙の少ない血統構成。更に血の集合を母父ロックオブジブラルタルにはかり、好調期には強い競馬を見せられるタイプ。惜しむらくは、父のスタミナ源となったDjbel系を無視した点で、その父Tourbillonがクロスする為、そこまで致命的ではないものの、父の血統の再現度という点ではやや不満が残る点や、７代目以降の連動性が弱い点か。本質は芝向きのマイル～中距離タイプ。ダートは不得手だが、重馬場はこなせるタイプ。是非とも無事な開花を望みたい名配合である。
以上が、ポエティックフレアの血統評価となる。これが種牡馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思う。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血（キーホース）とはどのようなものか、上げてみよう。
・スピード系
Nearctic.Natlma
・スタミナ系
Buckpasser.His Majesty-Ribot
・バランス系
Northern Dancer
これらを踏まえて、繁殖牝馬側に求める条件を考えてみたいと思う。
・自身に強いNorthern Dancer-Nearctic-Nearcoを継続する為に、母においてもNorthern Dancerが強い血統が望ましい。
・ただし、自身血統内においてはNorthern Dancerが６代目に位置する為、その仔世代を主導とする事が望ましい。具体的には、Sadler’s Wells.Danzig。
・また、更に一世代進めて、デインヒル、Galileoを主導とする形も望ましくはあるが、前者はともかく後者は難しいか。デインヒルを系列クロスにした場合、Buckpasser.His Majestyを傘下に収められる点は非常に有利。
・スピードの補給の為に、サンデーサイレンス、Haloの血は欲しい所。Almahmoud.Pharamondのスピードが国内においては有利であり、このスピードの補給を考えたい。ただし、母の父にサンデーサイレンスを持ってくると世代ズレにより、そのスピードが半減する点は注意が必要（その意味ではハービンジャーと似た特徴を持つ）。また、Mr.Prospector-Raise a Nativeのスピードも利用したい所。
・本質的にスタミナに不安が残る血統構成だが、スタミナ補給の為に自身のスタミナ源となったBuckpasser.His Majestyを再利用したい所。
・スタミナ源となる血が自身においては６代目以降に後退する為、距離延長は母の血統次第の所があり、その意味では配合が難しい部分を持つ。ただし、マイル～中距離においてはその限りではない。長く脚を使える産駒を輩出する可能性は高い。
・前述のデインヒル、Galileoを主導とする形は確かに望ましく、かつ困難であるがシンプルな血統構成である点が相まって、デインヒル、Galileoの４×４ないし４×３を作りNorthern Dancerを主導とする形態でも良さがでる血統構成をしており、サンデーサイレンス-Haloフリーの血統構成も相まって、国内においては非常に間口の広い種牡馬であると言える。
このような種牡馬としての特徴を持つ、ポエティックフレアだが、アトランダムな配合においては、Northern Dancerの仔世代を主導とし、血統を構成する形が大多数を占めると予測される。また、どのような繁殖牝馬につけても、自身のバランスが非常に整っている配合である点が有利に働き、バランスの崩れた産駒が出にくく、弱点の派生も少ない為、安定感が高く、かつ能力の高い産駒を多数輩出する種牡馬であると予測される。つまり、紙面上の考察においては名種牡馬としての資質を十分に秘める種牡馬であると言えるだろう。種牡馬としての本質は、芝向きのマイル～中距離タイプであると考えられる。ダート・重馬場は配合によってはこなせるタイプもだせるだろう。また、外交的な配合になりやすい為に、開花はどちらかと言えば遅いタイプの産駒が多く、古馬になってから良さを見せる産駒が多くでると予測される。
当馬においては、当然のことながらまだ産駒がいない為に、ここで仮想配合を考えてみた。この配合なら、距離の壁はあるものの、世界で通用するレベルにあると考えるものである（また、この配合は自分が考えたものでは無く、私の友人が考えたものである事を明記しておきたい）。
※この仮想配合に関して、関係者への問い合わせ等はしないでいただくようお願い申し上げます。そのような事がもしあった場合、投稿そのものを削除させて頂きたいと思います。
仮想配合
（ポエティックフレア×ブルーミスト by スクリーンヒーロー）－・－生
有効世代数：９代目
Ⅰ 主：８ 結：８ 土：４ 弱：３ 影：２ 集：６ 質：４ 再：５ SP：４ ST：４ 特：０
合計：（48/60）点 クラス：1A
Ⅱ 日本適性：〇 成長力：◎
Ⅲ 距離適性
芝：S △ M ◎ I ◎ C △ L ×
ダ：S □ M 〇 I △ C × L ×
芝適性：◎ ダート適性：〇 重馬場適性：〇
Ⅳ 開花率：普通 成長型：遅め
〇 短評
母は、ブルーシンフォニー（3B）全姉。主導は、系列クロスを形成したデインヒル４×４。その父Danzigを血統の３ブロックに配し血統全体を明確にリードしている。次いで、Sadler’s Wells５×５及び、Mr.Prospector６×５の系列クロスで血統を構成。また、６代目までに強い影響を持つクロスである、His Majesty-Ribot.Petitionは主導傘下のクロスであり、Sadler’s Wellsは全体で９連存在するNorthern DancerでVictoria ParkはFighting Fox(=Gallant Fox)で、Mr.Prospectorは全体で20連存在するNative Dancerで、Hail to ReasonはSadler’s Wellsを介しながら、土台構造を23連で形成するNearcoで強固に連動している。更に７代目以降のクロスである、KlarionはDjeddah-Djbelを介し、Grey SoverignはNearcoでそれぞれ連動するという念の入れようである。加えて、これと言った弱点も無い配合であり、４代目にサンデーサイレンスを配した場合、その母であるWishing Wellが弱点を形成しやすい血統構成をしているものの、当馬はStymieをクロスさせ、見事に補正している。また、主導内は、His Majesty-Ribot.Alibahai.Petition.Sun Teddy.Buckpasser-Tom Fool.Menow.War Admiralとクロスさせ、非常に充足率が高く、本来は短距離スピード型であるデインヒルを、中距離スピード型へとシフトさせている。同じように、Sadler’s Wells内もKlarionのアシストを受けたDjeddahをクロスさせスタミナ面をより強化している。惜しむらくは、米系であるRelic.Man o’War.Princequilloの連動が果たされていない点だが、これは重箱の隅をつつくレベルであり、全体で少数派である点も踏まえると、さほどのマイナスとは言えない（Relic.Man o’Warは10代目で連動するように些細な問題であると言える ）。以上から、非常に隙の少ない血統構成であり、まさにこの父にして、この母ありと言える配合である。本質は芝・ダート兼用のマイル～中距離タイプであり、ノーザンテーストの影響によりクロスした加系のアシストもあり、重馬場もこなせる全天候型。更に付け加えるならば、これだけのポテンシャルを秘めた種牡馬であり、個人的に近い将来のリーディング候補であると考えている。是非、当該配合が実現して欲しいと心から願うものである。
最後になりましたが、これがポエティックフレアの、種牡馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。
(taku.O)
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