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種牡馬考察 パンサラッサ

今回の血統研究所は、種牡馬考察と銘うって、今後産駒がデビューする種牡馬の考察を行いたいと思います。まず、種牡馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる産駒(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。

では、今回は、パンサラッサです。

パンサラッサ(ロードカナロア×ミスペンバリー by Montjeu)牡・17生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:4 結:6 土:4 弱:3 影:1 集:3 質:5 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(37/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:低い 成長型:遅め

〇 短評

主導はかなり不明瞭な配合で、Native Dancerを伴うRaise a Native.Northern Dancer.Mill Reefの中間断絶で血統を構成。また前面のこれらのクロスはNorthern Dancerを通じて結合こそしているものの、7代目以降の連動性は高いとは言い難く、ここが当馬の配合の限界点を端的に示している。できるならば、Raise a Nativeのクロスは無い方が良かった。とは言うものの、前面のクロスの結合は強固であり、きめ細かく血を生かした配合である為、その意味では底力が期待できる配合ではある。更に、土台構造をNearco23連で構成。この部分は評価に値する。血の集合が散漫な点も踏まえると、詰めの甘さを見せる可能性は否定できないものの、クロスの内容から長く脚を使えるタイプ。また、Gold Bridgeを生かしたSpecial(=Thatch)のスピードはかなり魅力的である。本質は、芝・ダート兼用のマイル~中距離タイプで、同父産駒としては、距離適性の幅は比較的広いタイプ。重馬場はこなせる程度。開花には時間がかかるタイプと想定される。

以上が、パンサラッサの血統評価となる。これが種牡馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思う。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、上げてみよう。

・スピード系

Raise a Native.Special(=Thatch)

・スタミナ系

Mill Reef. Charlottesville. Val de Loir.

・バランス系

Northern Dancer

これらを踏まえて、繁殖牝馬側に求める条件を考えてみたいと思います。

・自身は、明確な主導を作り上げる事が叶わなかった為、この部分の補正は必要。具体的には、Northern Dancerの仔であるSadler’s Wellsや、Storm Birdが候補に挙げられる。ただし、Storm Birdの場合は、産駒内においてその父Northern Dancerと5代目に並列する為、母方での補正が必要。

・また、Native Dancerを伴うRaise a Nativeを自身のスピード源としており、産駒の血統内おいて、Mr.Prospectorを5×4程度で作成し、スピード型の産駒を出す事も可能。また、主導としてではなくとも、そのスピードは是非とも利用したい所。

・スタミナの確保としては、自身の強烈なスタミナ源となったMill Reefを再利用したい。具体的にはその仔であるShirley Heightsが第一候補か。また、その可能性はかなり低いものの、母系の生かし方が良いMill Princessを上手くクロスできれば、強靭なスタミナ源として機能する可能性は指摘しておきたい。

・自身でクロスしたRibotを一歩進めて、His Majestyをスタミナの核とする方法も考えられる。

・スピードの確保の為に、Haloが持つAlmahmoudの血は是非とも欲しい所。幸い自身はサンデーサイレンスフリーであり、Mr.Prospectorが産駒の5代目に位置するという、非常に間口の広い種牡馬となっており、サンデーサイレンスを、産駒の3代目に配したい所。

・また、米系の結合の為に、Hail to Reasonのクロスも欲しい所で、ノンサンデーサイレンスでありながら、Hail to Reasonを産駒の7代目に配する事ができるのは、大きなアドバンテージを当馬に与えていると言える。

このような種牡馬としての特徴を持つ、パンサラッサだが、アトランダムな配合においては、スピードの引き出しにやや苦労するものの、結合面に良さが出やすく、スタミナ面においても良さがある産駒を出す可能性が高く、使われつつ良さがでる産駒が大多数を占めると考えられる。自身もそうであったが、産駒の傾向もやや晩成型を示す可能性は指摘しておきたい。

パンサラッサはこれから種牡馬入りいたしますので、こうした配合なら、というものを、僭越ながら考えてみたので、参考になれば幸いであります。

(パンサラッサ×シゲルピンクルビー by モーリス)-・-生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:8 土:4 弱:1 影:2 集:6 質:4 再:6 SP:3 ST:5 特:0
合計:(48/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:◎
Ⅲ 距離適性
芝:S × M × I 〇 C ◎ L 〇
ダ:S × M × I □ C □ L △
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:遅め

〇 短評

主導は、血統内において4ブロック全てに配され、全体で12連存在するNorthern Dancerを伴うSadler’s Wells4×4・5で明確。次いで、父のスタミナ源であったMill Reefを継続させた、Shirley Heights5×6の系列クロスや、Nashua7×6・8の系列クロス。Bold Rulerが落失するものの、その母であるSomethingroyalからクロスを継続させた、Syrian Sea(=Secretariat)6・7×8、同様に、父のスタミナ源のひとつであったRibotを一歩進めたGraustark(=His Majesty)6・8×7や、Top Ville5×7の中間断絶がスタミナの核を形成。非常に質の高い血で固められた血統構成であり、主導たるSadler’s WellsがLalun.Djbel.Bimelech.Specialを、Shirley HeightsがPrincequillo.Count Fleet.Umidwarを、Top VilleがCourt Martial. Charlottesville.Tantiemeといった、重厚な欧州系の血をしっかりと生かし、主導と連動させており、それらが再現したスタミナ勢力は、遥かに父を凌いでおり、このスタミナ勢力を引き出すことに成功できれば、芝12Fを堂々と走り切る事が可能。惜しむらくは、Natalmaの欠落と、軽微ながらも弱点を2ヶ所派生させた点だが、影響度バランスを(4-12-3-9)とし、ややバランスが悪いながらも、強調された、父の母ミスペンバリーに集合させており、仕上がった際には鮮やかな競馬を見せる可能性を秘める。本質は、芝向きの中~長距離タイプで、ダートは不得手で、重馬場はこなせる程度。この秘めた能力が再現できたのであれば、欧州の一流レベルでも十分対応できるレベルを誇っており、生かされた血の内容から、決して国内向きのスピードタイプでは無く、キレのある脚は望めないものの、父を彷彿とさせるような逃げ脚を見せる可能性もまた指摘しておきたい。

 

最後になりましたが、これがパンサラッサの、種牡馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

(taku.O)
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