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種牡馬考察 イグナイター

今回の血統研究所は、種牡馬考察と銘うって、これから産駒がデビューする種牡馬の考察を行いたいと思います。まず、種牡馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる産駒(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。

 

距離適性は、ミオスタチン遺伝子をC/T型と想定して算出しております。当該のサラブレッドのミオスタチン遺伝子が、C/C型であれば一項目左へ、T/T型であれば一項目右へずらして、ご閲覧頂ければ幸いに思います。
では、今回は、イグナイターです。

 

イグナイター(エスポワールシチー×ビアンコ by ウォーニング)牡・18生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:5 結:7 土:4 弱:2 影:3 集:4 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(41+1/60)点 クラス:3B+
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C △ L ×
ダ:S △ M 〇 I □ C × L ×
芝適性: ダート適性: 重馬場適性:
Ⅳ 開花率: 成長型:

〇 短評

主導は、Turn-to-Royal Chargerと断絶するものの、血統の4ブロック全てに配されたHail to Reasonを伴い、当馬の血統構成上、重要な役割を果たしているNasrullahの系列クロスを内包したRoberto4×4。ただし、そのNasrullahの仔であるNever Bend5・7×6の系列クロスや、Northern Dancerを伴うNijinsky6×5の影響も強く、その位置関係や、Turn-to-Royal Chargerの落失からくる不備により決して明確な主導となり得なかった点が惜しまれ、ここが、当馬の血統構成上の限界点を端的に示している。とは言うものの、Robertoの主導であったSir Gallahad(=Bull Dog)を19連かかえ、その能力再現に成功した点や、土台構造をPharos=Fairway23連形成し、その仔であり、21連存在するNearcoを核とした結合力の強さや、血の流れの良さにはかなりものがあり、ここが当馬の能力の源泉であると言える。また、Roman6・7×8の系列クロスから、ダート向きのスピードを十分にアシストされ、前述のNijinskyがスタミナの核を形成した点は見るべき部分である。本質は、芝・ダート兼用のマイル~中距離タイプで、重馬場も得意な全天候型。本来スタミナ色の強いRoberto主導の配合でありながら、スピードのアシストにはかなりの良さがあり、開花は比較的早いと推測される。キレ味はやや劣るが、粘りあるスピードを武器とするタイプだと言えるだろう。

 
以上が、イグナイターの血統評価となります。これが種牡馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思います。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、上げてみましょう。

・スピード系

Hail to Reason.Almhamoud.Never Bend.Roman

 
・スタミナ系

Roberto.Nijinsky

 
・バランス系

Northern Dancer.Native Dancer

 
これらを踏まえて、繁殖牝馬側に求める条件を考えてみたいと思います。

・自身は、Turn-to-Royal Chargerが落失するものの、Robertoを主導とした配合で、Roberto自身の主導であったSir Gallahad(=Bull Dog)19連かかえ、アシスト役となっていたNearcoを21連存在させ、血の流れや再現性に良さがある血統構成であった。この流れを継続できる繁殖牝馬が理想的である。

 
・Robertoを再度主導にすることにより、その継続性はたやすい。具体的には更に一代進めて、ブライアンズタイム.Slightly Dangerousを主導とする事を考えたい。ただし、ブライアンズタイム.Slightly Dangerousを主導とした場合においてスピードの確保の為に、自身では落失しているTurn-to-Royal Chargerをクロスさせる事を考えたい。

 
・前面でサンデーサイレンスがクロスしやすい血統構成ではあるが、クロスさせたとして致命的に悪いわけでは無いものの、シンプルさに欠けやすくなる上、サンデーサイレンスの本質を構築するHyperion.Mahmoudの少なさから考えて、基本的には不要である。

 
・更に、スピードの確保の為にNever Bendの継続を狙いたい。具体的にはブレイヴェストローマン.Rivermanだが、前者は自信を構築したNarco.Sir Gallahad(=Bull Dog)の血を生かす意味で有効であり、後者は孤立しがちなPrincequillo系を連動させる点に注目したい。また、自身では眠っているRaise a Native.Tom Foolのスピードは確保したい。

 
・また、自身のスタミナ源となっていたNijinskyの継続が望ましい。このクロスはスタミナの確保に有効に機能すると考えられる。これを一代進めてCaerleonをクロスさせる事も有効だが、主導の明確性を乱す可能性には留意が必要。

 
・アトランダムな配合において、自身5代目までにクロスしやすい血は、サンデーサイレンス-Halo.Nureyev-Northern Dancer.ブライアンズタイム-Roberto.ブレイヴェストローマン-Never Bend.Caerleon-Nijinsky.Lyphard.Rivermanと、比較的多く、この取捨選択は必要な血統構成であり、煩雑な血統とならないよう吟味する必要性が高い。

 
このような種牡馬としての特徴を持つ、イグナイターですが、アトランダムな配合においては、国内でありふれている血を多く抱えている為、やや主導が不明瞭になりやすく、詰めの甘さを見せる可能性が高い種牡馬であると言えます。反面、自身の血の流れであるSir Gallahad(=Bull Dog).Nearcoの継続はしやすく、勝ち上がり率自体は高い数字を期待できる種牡馬と言えるでしょうか。ただし、自身において国内でいまだ優位を誇るHyperionを10連しか抱えていない点は懸念点で、芝向きの産駒を出す可能性はやや劣ると考えられます。

 
これから種牡馬入りする為、まだ実際の産駒は誕生しておりませんが、こうした配合なら、という仮想配合を考えてみましたので、皆様の参考になれば幸いであります。

 
(イグナイター×ゴッドパイレーツ by ベーカバド)-・-生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:6 土:5 弱:1 影:2 集:5 質:4 再:4 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス)
合計:(43+1/60)点 クラス:1A+
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M ◎ I 〇 C △ L ×
ダ:S □ M ◎ I 〇 C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:高め 成長型:早め

〇 短評

主導は珍しくあるが、Roberto-Hail to Reason-Turn-toと継続させた、Slightly Dangerous4×4の系列クロス。その父Robertoを血統の3ブロックに、父の父であるHail to Reasonを4ブロック全てに配し、位置の関係からも明確に血統全体をリードしている。次いで、Never Bend6・7・8×6・7の系列クロスや、Northern Dancerを伴うLyphard5×5、Tudor Minstrelを伴うMixed Marriage6×7で血統を構成。父のスタミナ源であったNijinskyの欠落や、きめ細かく生かしたPrincequilloの離反、複数の弱点の派生は惜しまれるものの、シンプルな血統構成となっており、自身で眠っていたRaise a Native.Tom Foolのスピードを生かし、主導勢力と強固に連動させた点は見るべき部分である。また、強調された母の母ゴッドインチーフへと血の集合が見られ、仕上がった際には鮮やかな競馬を見せる可能性を秘める。本質は、芝・ダート兼用のマイル~中距離タイプで、重馬場もこなす全天候型。父であるイグナイターの血の流れであるSir Gallahad(=Bull Dog)を16連、Nearcoを26連と継続させ、強固な土台構造を形成し、この流れの継続に成功した点が最大の長所。9代目までにクロス種が47と少なく、早期の能力発揮を見込める血統構成。無事な開花を望みたい一頭。

 

最後になりましたが、これがイグナイターの、種牡馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 
(taku.O)
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