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種牡馬考察 リオンディーズ

今回の血統研究所は、種牡馬考察と銘うって、今年度に産駒がデビューする種牡馬の考察を行いたいと思います。まず、種牡馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる産駒(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。

 

では、今回は、リオンディーズです。

 

リオンディーズ(キングカメハメハ×シーザリオ by スペシャルウィーク)牡・13生

有効世代数:9代目

 

Ⅰ 主:5 結:5 土:3 弱:2 影:2 集:3 質:3 再:4 SP:4 ST:4 特:1(母産駒複数活躍馬)

合計:(35+1/60)点 クラス:2B

Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇

Ⅲ 距離適性

芝:S × M □ I 〇 C □ L △

ダ:S × M △ I □ C □ L ×

芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□

Ⅳ 開花率:低い 成長型:遅め

 

〇 短評

 

主導は非常に不明瞭な配合で、前面でクロスしたNorthern Dancerを伴うNijinsky6×5があるものの、母母キロフプルミエール内Northern Dancerが4代目でクロスし、その仔であるNijinskyの6×5に対し、父であるNorhern Dancerが5・5・7×4・6となったのは、明らかにマイナスだと言える。端的に、この母の難しさはこの一点に集約されていると言える。蛇足だが、半兄であるエピファネイア(3B)は、Northern Dancerクロスを作らず、Hail to Reasonを主導にし、この問題を回避しているが、半弟であるサートゥルナーリア(3B)は、この問題を同様に抱えており、この問題は種牡馬となった際にも、彼ら兄弟に、ついて回る問題であることは指摘しておきたい。反面、生かされたスピード・スタミナはなかなかに強靭で、スピードはNasrullah.Almahmoud。惜しまれるのは、単体でも強烈なスピード源となるSpecialクロスを持つものの、その裏付けとなるGold Bridgeの落失か。また、結合こそ果たさないものの、Count Fleet等がアシスト。スタミナ勢力は、Buckpasser.Sayajirao(=Dante).Nijinsky。Buckpasserを通じて間接結合になるものの、Lulunの中間断絶内Djbel-Tourbillon-Ksarを連動させた点は注目に値する。ややスタミナ優位といった程度のバランスである為に、本質は中距離タイプだが、ある程度の距離延長への適性は秘めると言える。惜しむらくは、7代目以降の連動性がやや低く、血の集合も散漫である為、もどかしいタイプになる可能性は指摘しておきたい。ダートはこなせる程度。

 

以上が、リオンディーズの血統評価になります。これが種牡馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思います。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、まず上げていきましょう。

 

・スピード系

Almahmoud.Nasrullah.Special(Gold Bridgeを生かしたい)

 

・スタミナ系

Nijinsky.Buckpasser.Sayajirao(=Dante).Lulun-*-Djbel-Tourbillon-Ksar

 

・バランス系

Northern Dancer

 

これらを踏まえて、繁殖牝馬側に求める条件を考えてみたいと思います。

 

・当馬は、生かされた血の質やスピード・スタミナは良好だと言えるものの、それをしっかりと纏める事が出来なかった点において、限界を秘めた血統で、自身でそれをまとめる事は難しい為、繁殖牝馬側にそれを求める必要がある。具体的には、自身でNureyevを持つ為に、自動的にSpecialを伴う事ができ、もっとも強調した、Sadler’s Wellsをクロスする事。

・また、他の主導候補として、バランス自体は繁殖牝馬次第になる所ではあるが、同様にNureyev.トライマイベスト.マルゼンスキーは候補に入る。ただし、真に有効な主導とする為には、前述のキロフプルミエール内のNorthern Dancerとの位置の悪さを解決する必要があり、ここを解決しないと詰めの甘いタイプの配合となりやすい。

・米系の血を纏める為に、Hail to Reasonのクロスは有効。ただし、母母であるキロフプルミエール内Sir Gaylordを抱えるため(2代父がHail to Reasonの父、Turn-to)、自動的にHail to ReasonがTurn-toを伴う点は注意が必要で、Hail to Reasonを使うのであれば、主導は5代目以後に配するべき。同様にBuckpasserクロスも有効だと言える。

・また、サンデーサイレンスクロスは、Hail to Reasonと同様に血を纏める効果があるものの、産駒においてはサンデーサイレンスが4代目に後退する為、弱いものの弱点を抱える点や、前述の通り母母であるキロフプルミエール内においてSir Gaylordを抱える為、サンデーサイレンス-*-Hail to Reason-Turn-to-*-*-Nearcoとなりやすく、もどかしいタイプになりやすい点は指摘しておきたい。

・ただし、これらを逆手にとって、Northern Dancerの仔世代のクロスを作らない前提だが、Haloをクロスさせ、Halo-Hail to Reason-Turn-to-*-Nearcoとクロスさせ、主導とする事は可能。当馬の、Nearco-Pharos(=Fairway)優位の血のながれから考えて、一考の価値があるとは言える。

・自身の血の配置から考えて、デインヒルの血や、Galileoの血は相性が良いとはいえる。ガリデイン牝馬ではさすがに血が濃い為、それらが薄まった血であれば良好な配合をつくりあげる事ができるだろう。

・また、自身のスタミナの底支え役を担ったPrincequillo.LulunやBull Dog(=Sie Gallahad)の血は再度クロスさせたい。世代が深い為、そこまで気にする必要は低いが、結合が非常に弱くなる点は注意が必要。Princequillo.Lulunについては、具体的にはMill Reefをクロスさせる事が有効だと言える。また、Bull Dog(=Sie Gallahad)については、自身で結合ははかり難い為、母方のアシストが必要。

・自身の血統は、Nearco-Pharosがやや優位の為、母もその血の流れが強い事が望ましい。ただし、前面でNorthern Dancerが強い影響を持つ事を考えると、母方でHyperionを大量に導入し、バランスを取るのが効果的だと考えられます。これは自身の血統上米系の血が一定の役割を果たしている点を踏まえると、極端な米系でなければ、対応できるという意味においては利点だと言える。

 

このような種牡馬としての特徴を持つ、リオンディーズですが、アトランダムな配合においては、自身の煩雑な血統構成を引き継いだ産駒を作りやすく、紙面上のみの考察においては、産駒の血統を考えた際に、仮にシンプルな構成を作れたとしても、血が濃くなる可能性が高いと言え、弱点を派生させやすい血統構成である点を踏まえると、決してアベレージが高い種牡馬だとは言えないでしょう。ただし、アトランダムな配合に終始しても前面の血の濃さから自身を強く出し、自身の再現自体はしやすい点は有利かと考えられます。また、自身で生かしきれなかったものの、抱えた血の質は非常に高いものが多く、これらを上手く再現し、明確な主導勢力を作る事ができれば、自身が叶わなかったクラシック制覇をめざせるような、名配合もだせるタイプである点は指摘しておきたいと思います。

 

注目の産駒

 

・ツルマルオトメの18

主導は、Hail to Reason-Turn-toと継続させた、Halo4×4の系列クロス。次いで、Sir Gaylord6×5。Northern Dancerを伴うNijinskyが結合をアシスト。また、Sir Gaylordが、Sometihingoyal-Princuillo-Rrince Roseとクロスさせ、Princequillo系の結合をアシストしながら、スタミナの核として機能。また、父のスピード源となった、Specialを母がThatchを持つため、Special(=Thatch)6・6×5と継続させた点からみて、スピード・スタミナには恵まれた配合。父はシンプルさに、母は世代の問題を抱えた配合であるが、これらのバランスを取りながら、Haloを明確な主導とした点は、評価される内容である。惜しむらくは、父母の再現が非常に弱い点と、父内4代目サンデーサイレンス内の弱点の派生は、Stimieクロスで防いだものの、ウェルッシュマフィン内Contrailに弱点を、4代母である、Reelawayが古い血である為に、Man o’Warクロスが世代ズレを起こし、この部分が欠陥を派生させた点。ただし、前述のようにスピード・スタミナにはかなりの良さがあり、本来結合しにくいQuick Touch-Count Fleetを、St.Germansのクロスで、主導たるHaloと直接結合させるなど、なかなか面白い血統構成をしている。父としてはあまり無い組み合わせだろうが、同父産駒としては比較的良くできている。前述の欠陥の派生や、影響度バランスの悪さから見て、ムラなタイプだと想定されるものの、本質的には、芝・ダート兼用のマイル~中距離前後に向く血統構成。

 

最後になりましたが、これがリオンディーズの、種牡馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)

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