血統診断基準⑬ スタミナについて

血統診断基準⑬ スタミナについて

閲覧者の皆様、こんにちは。競馬総合サイトG-ZEROへようこそ。また、血統研究所へもようこそおいで下さいました。今後ひとまずの、血統研究所のコンテンツとして、主要11項目のそれぞれについて、優秀な配合をそれぞれピックアップしていきたいと思います。今回はスタミナの項目についてです。

 

引き続き、スタミナと一口に言っても、なかなかに分かりにくい部分があると思いますので、今回も実馬を例に上げて、説明を行いと思います。では、今回はライスシャワーを例として説明を行いたいと思いますので、お付き合いの程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

なお、ライスシャワーの血統構成の説明に入る前に、非常に簡単ではありますが、スタミナについて高い評価を得るためのポイントをいくつかあげてみたいと思います。

 

・ある程度明確な主導勢力を持ち、その主導勢力がスタミナに良さがある配合である事。

・その主導勢力へのアシストされる血が、スタミナに良さが出るタイプが多い事。

・主導勢力を邪魔しない程度の位置で、多種のスタミナクロスを作成し、主導との連動性が高い事。

・血の集合がなされている部分において、スタミナ型のクロスを作成する事。

 

簡単ではありますが、この4項目がしっかりと守られていれば、それだけスタミナの評価が上昇すると考えて頂いてかまいません。

 

ライスシャワー(リアルシャダイ×ライラックポイント by マルゼンスキー)牡・89生

有効世代数:10代目

 

Ⅰ 主:8 結:7 土:3 弱:3 影:3 集:5 質:4 再:6 SP:3 ST:5 特:1(主導牡牝を通じたクロス)

合計:(47+1/60)点 クラス:1A

Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇

Ⅲ 距離適性

芝:S × M × I □ C 〇 L ◎

ダ:S × M × I □ C 〇 L □

芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□

Ⅳ 開花率:低い 成長型:晩成

 

〇 短評

 

主導は、Bull Lea5×6の系列クロス。次いでNearco-Pharos(Fairway)。この両者がスタミナ・スピードの両輪になりつつ、父父であるRobertoを強調し、血を集合。5代以内で系列クロスができない異系交配でありながら、強調した部分を作成したのは好感が持てる。また6代目に存在するクロスとは10代目において結合完了が終わるものの、Bull Leaが5代目から系列クロスを作成した為、9~10代目St.Simon-Galopinの土台構造にも助けられ、Blue Larkspur .Man o’Warの系列クロスもスタミナを補給しながら、Bend Orを介し直接結合をはたし、Hyperionは前述のSt.Simonで、Nearcoは母方Nogara内のSpeamintで、DiscoveryはBallotで、それぞれ結合を果たしている。また、父のスピード源のひとつともなった、Sundridgeだが、非常に間接的であり、そのスピードの引き出しが難しいと考えられるものの、母母クリカツラ内FariwayのSainfoinを経由し、隠し味的にそのスピードを補給している。母である、ライラックポイント自身の血の質は低いものの、父方の質の高さと、母父であるマルゼンスキー(1A)の質が高く、祖父母4頭で言えば父父・父母・母父で血統の大枠を作り上げた配合だとも言える。惜しむらくは母母であるクリカツラの血がやや古く、父のリアルシャダイとの傾向が異なる点と、Blandfordが世代ズレをおこしたのは惜しまれる点である。ただし、このBlandfordの世代ズレ自体は主導勢力と血の流れが異なる為、結果的には有効な世代ズレだと言える。更に、前述した様に5代目FairwayがSaifonを通じSundridgeを連動させたのは幸運で、母母が完全に役にたっていない訳では無い事は指摘しておきたい。総合的に見ると、圧倒的にスタミナ優位の配合で、距離は最低でも12Fは欲しいタイプで、ダート適性も秘めるものの、本質は芝向きのステイヤー。特に、国内におけるサラブレッドの中で、ここまでスタミナ優位の配合で開花した、最後の血統だとも言えるだろうか。

 

 

以上が、ライスシャワーに対する血統考察になります。では、このライスシャワーの血統構成をスタミナに絞って、前記の項目に当てはめて考えてみましょう。

 

・主導はBull Lea5×6で明確。このBull Leaは、父Bull Dog(=Sir Gallhad)の母であるPlucky Liege8連から来るスタミナをしっかりと再現している。非常に良好であると考えて良い。

・主導を主にアシストする血は、Nearco-Pharos(=Fairway).Blue Larkspur.Discovery.Hyperion.Nogara.Man o’Warだが、Nearco-Pharos(=Fairway)がバランスタイプ、それ以外はスタミナ優位の配合であり、その強力なスタミナを良く主導勢力へと連動させている。かなり良好な状態であると言える。

・5代目において影響を発揮しているBull Leaだが、同位置に並ぶのはFairwayのみであり、その他のクロスは6代目に存在し、ややバランスが悪いものの、良好だと考えられる。

・血の集合は父父Robertoにおいてなされており、この部分にNearcoこそ存在するものの、Blue Larkspur.Sir Gallhadを存在させ、スタミナ優位かつスピードもしっかりと再現させている。良好な状態だと考えられる。

 

こうして見ると、ことスタミナ面に関しては、ライバルとも言えるメジロマックイーンをも、上回るレベルにあると考えられる内容で15F超級のGⅠ競争を3勝し、全世界的に見ても完全開花した、最後の真正ステイヤーと言える血統構成だったと言えます。非常に残念ながら、彼の血を後世に残す事はかないませんでしたが、仮に種牡馬入りしたと想定すると、おそらく厳しいタイミングではあったと考えますが、国内の繁殖牝馬にMr.Prospecterの浸透が間に合った場合、父のイメージよりスピードを持つ産駒が期待できる内容でもあります。その意味ではやや早すぎた血統であったとも言えるでしょうか。また、すでに国内において浸透していたNasrullahを上手く用いて、中距離タイプの産駒を出す事も可能だったように考えます。それだけにBull Dog(=Sir Gallhad)-Plucky Liege-Spearmintの血の流れを血統の中核として作り上げていた、Roberto-リアルシャダイの正当後継者と言えるような、当馬の血が失われてしまった意味を、深く考えさせられる名馬だったと言えるでしょう。最後に蛇足ですが、これだけのスタミナ馬を、人馬二人三脚で開花させた関係者には、深く敬意の念を抱くものであります。

 

 

簡単ではございますが、主要11項目におけるスタミナについての説明を終わりたいと思います。まだまだ分かりにくい部分も多々あると思います(血統表を併記しない点等)。ですので、ご質問等あれば気軽にご連絡頂ければと思います。

 

今後とも競馬総合サイトG-ZERO共々、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

taku.O

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