凱旋門賞2023出走馬全頭血統診断

凱旋門賞2023出走馬全頭血統診断

今回の血統研究所は、間近にせまった凱旋門賞の出走馬の評価をおこなってみたいと思う。※並びは順不動である点はご容赦頂きたい。

 

Sisfahan【シスファハン】(Isfahan×Kendalee by Kendargent)牡・18生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:5 結:6 土:3 弱:1 影:2 集:3 質:5 再:5 SP:3 ST:4 特:0
合計:(37/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:× 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M × I □ C 〇 L □
ダ:S × M × I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:× 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低い 成長型:晩成

〇 短評

前面でクロスしたSharpen Up5・5×4及び、Northern Dancer5×6・6は中間断絶の為、主導はTantiemeを伴うTanelko6×6。主導としてはやや不明瞭な配合となっており、ここが当馬の能力の限界点を端的に示している。とは言うものの、血統表にちりばめられた、重厚な欧州系をしっかりとクロスさせており、血統全体の再現性は高く、その意味においては配合の方向性はあっている。惜しむらくは、父の母内Insulnde内における弱点の派生や、きめ細かく生かした血の連動性が低い点で、詰めの甘さを感じさせる血統構成となった点か。本質は、芝向きの中~クラシックタイプで、ダートは不得手で、重馬場はこなせる程度。開花には相当の鍛錬が必要なタイプで、仮に国内でデビューした場合、スピード不足のレッテルを貼られる可能性が高い配合である。前述のように生かされた血の質は高い為、底力を秘める点は指摘しておきたい事実である。

 

Haya Zark【アヤザーク】(Zarak×Haya City by Elusive City)牡・19生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:8 土:3 弱:1 影:2 集:4 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:0
合計:(43/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M 〇 I ◎ C □ L ×
ダ:S 〇 M ◎ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:普通

〇 短評

主導は、最前面でクロスしたGone West4×4の系列クロス。その父、Mr.Prospectorを血統の3ブロックに配し、かなり明確に血統をリードしている。この主導は、系列クロスを形成するだけでなく、Nashua.Somethingroyal.Tim Tam.Count Fleet.Tudor Minstrelとクロスさせ、非常に充足率が高い。次いで、Sir Ivor7×6の系列クロスや、Busted7×5・7の系列クロス。Northern Dancerの中間断絶で血統を構成。惜しむらくは、強調された母の父Cult内において、非常に軽微ながらも弱点を派生させた点や、母の母Haya Sammerが全体の傾向から離反した点か。とは言うものの、その母の母内において、Busted.CharlotesvilleRed Godをクロスさせ、そのスピード・スタミナを底支えしている点は見るべき部分であり、当馬の能力の源泉の一端を担っていると言えるだろう。本質は、芝・ダート兼用の中距離タイプで、重馬場はこなせる程度。クロス馬の位置関係が非常にしっかりとした配合であり、安定して能力の発揮をする可能性は指摘しておきたい事実である。加えて言うのならば多種のスピード・スタミナ要素を生かしており、器用な競馬を見せる可能性や、距離適性の幅は広いタイプに育つ可能性も、重ねて指摘しておきたい。是非とも無事な開花を望みたい一頭である。

 

Onesto【オネスト】(Frankel×Onshore by Sea The Stars)牡・19生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:4 結:7 土:4 弱:1 影:1 集:6 質:4 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I 〇 C × L ×
ダ:S × M □ I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

〇 短評

前面でクロスしたUrban Sea3×3は単一クロスの為、主導はDanzig4×5の系列クロス。一見、明瞭な主導に見えるが、Urban Seaの影響の強さや、Danzigの父Northern Dancerも4代目でクロスしている為、さほど明確な主導となり得なかった点は惜しまれる部分である。とは言うものの、前述のUrban SeaがHail to Reasonと共に欧米系の血を纏め、主導へと連動させた点はこの配合の最大の長所。また、Blushing Groom5×5のスピードは妙味がある配合だと言える。加えて、特殊な仏系であるDjbel-TourbillonもLalun内Blue Larkspurを介し、間接的にではあるが主導と連動させたのは見るべき部分である。本質は、芝向きのマイル~中距離タイプ。ダートはこなせる程度だが、重馬場は比較的得意なタイプ。また、多種のスピード・スタミナを生かした配合で、血統全体での再現性が高く、器用な競馬をみせられるタイプ。

 

Simca Mille【シムカミル】(Tamayuz×Swerita by Pivotal)牡・19生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:7 結:6 土:2 弱:2 影:2 集:5 質:6 再:5 SP:4 ST:4 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(43+1/60)点 クラス:1A+
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I ◎ C 〇 L ×
ダ:S × M △ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:高め 成長型:普通

〇 短評

主導は、かなり血が濃いもののNorthern Dancer4×5・5を伴うNureyev3×4で明確。また、前面でクロスしたBustino4×5は単一クロスの為、影響はやや弱い。次いで、影響が強いのはNever Bend5×7、Prince John6×6の系列クロス。これらクロスは、前述のBustinoを介し強固に連動している。従って、Bustinoクロスは有効であり、その内部において、Donatello.Prince Chevalier.Fairway.Petitionを系列クロスとするだけでなく、Mieuxce.Red Sunset.Black Devill.Feola.Rose Redをクロスさせ、きめ細かく生かした質の高い欧州系の血をしっかりと主導と連動させている。また、主導たるNureyev内においてもGold Bridge.Abbots Traceをしっかりとクロスさせ、Papyrusを通じPrincequillo系を、Nearcoを通じNever Bendを直接連動させており、Almahmoudこそ落失するものの、小気味よいスピードを再現している。ここが当馬の能力の源泉であり、血は濃いものの、理にかなった配合となっている。更に、血が濃い為そこまで評価できるものでも無いが、これといった弱点も無く安定感のある配合となっている。惜しむらくは、母方の血統がやや世代後退している点で、世代ズレこそ発生していないものの、ある意味では幸運な配合であると言える点か。本質は、芝向きのマイル~クラシックタイプ。ダートは不得手で、重馬場はこなせる程度。比較的距離適性の幅は広いタイプ。開花率は高いと想定されるが、ややゆっくり成長するタイプで、生かされたスピード・スタミナの良さから、器用な競馬を見せる可能性を指摘しておきたい。是非とも無事な開花を望みたい好配合である。

 

Bay Bridge【ベイブリッジ】(New Bay×Hayyona by Multplex)牡・18生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:7 結:7 土:4 弱:1 影:1 集:5 質:4 再:5 SP:3 ST:5 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(42+1/60)点 クラス:3B+(1A)
Ⅱ 日本適性:× 成長力:◎
Ⅲ 距離適性
芝:S × M × I □ C 〇 L ◎
ダ:S × M × I □ C □ L □
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:低い 成長型:普通

〇 短評

主導は、Shirley Heights-Mill Reefと継続させた、Shrley Valentain(=Deploy)4×3の系列クロス。その父であるShirley Heightsを5×4・5と血統の3ブロックにクロスさせ、血の濃さはあるものの、明確に血統をリードしている。次いで、Northern Dancer-Natlamaと継続させたSadler’s Wells4×4の系列クロスで血統を構成。この両者は、土台構造を21連で形成したNearcoやHail to Reasonで強固に連動しており、しっかりと協力体制を築いている。また、主導内はLalun.Djbel.Princequillo.Count Fleet.Khaled(=Red Ray).Hail to Reason-Turn-to.Royal Charger.Hard Sauce.Umidwar.Blue Peter.Nashua-Nasrullah.Raise a Nativ-Native Dancer-Polynesian.Bull Lea-Bull Dog(=Sir Gallhad).Case Ase-Teddy.Blue Larkspur.His Graceとクロスさせ、非常に充足率が高い。この充足率の高さを持ってすれば、仕上がった際には力強い競馬を見せる事が可能であり、当馬の能力の源泉はここある。また、Buckpasser6×6やSir Gaylord8・8×6の系列クロスがスタミナの核を形成。主導であるShrley Valentain(=Deploy)や、Sadler’s Wellsと共に、強靭なスタミナを再現している。惜しむらくは、母の母内Shashna内に、非常に軽微なものの弱点を派生させており、自身の血の濃さと相まって安定感に欠ける可能性は否定できない点か。本質は、芝向きの中~長距離タイプで、ダートはこなせる程度だが、重馬場は得意なタイプ。

 

Westover【ウエストオーバー】(Frankel×Mirabilis by Lear Fan)牡・19生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:5 結:6 土:3 弱:2 影:2 集:3 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(36/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M 〇 I □ C × L ×
ダ:S 〇 M □ I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

〇 短評

主導は、その母Natlmaを伴うNorthern Dancer4・5×5・6。次いで、Mr.Prospector5×4、Nashua7×5・6の系列クロスの影響が強い。従って、主導としてはかなり不明瞭な配合であり、ここが当馬の配合の限界点であると言える。また、母の父であるLear Fanの世代が古く、致命的では無いものの、War Admiralが世代ズレをおこすなど、世代の問題も大きく、結合力には一定の良さがあるものの、安定感には欠ける血統構成。とは言うものの、その世代の古いLear Fan内において、Gold Bridge.The Bossを生かした、Lt.Stevens(=Thong)やBull Lea(Plucky Liegeの落失によりスピードが強調されている)のスピードを前面で生かし、4代目に配されたHail to Reasonの単一クロスが欧米系の血を取りまとめており、結果的にうまく連動したのは幸運。本質は、芝・ダート兼用のマイルタイプ。重馬場もこなせる全天候。前述のように安定感には欠け、血の集合も散漫である為に、一息もどかしい配合ではあるが、欧州馬としてはスピードに良さがあるタイプ。

 

Hukum【フクム】(Sea The Stars×Aghareed by Kingmambo)牡・17生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:6 結:5 土:3 弱:1 影:3 集:4 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:1(
産駒複数活躍繁殖牝馬)
合計:(37+1/60)点 クラス:3B+
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I □ C × L ×
ダ:S × M □ I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:普通

〇 短評

Baeed(3B+)全兄。前面でクロスしたMr.Prosepector4×3・5は、その父Raise a Nativeが世代ズレを起こし、中間断絶クロスとなった為、主導は、その仔Never Bendが6×8とクロスするものの、Mr.Prospectorを呼び水としたNasrullah7・7・7×6・7・8・8・9。次いで、Northern Dancerの中間断絶で血統を構成。また、Tom Fool.Prince Chevalierも世代ズレを起こしており、血統全体で世代の問題が大きい配合だと言える。とは言うものの、影響度バランスが(4-5-10-5)と安定感のある配合。また、結合こそ果たしていないものの、Herbagerを伴うシーホークを6×7とクロスし、Princequilloも6・8×7・9とクロス。また、隠し味的なスピードとして、Turn-to7×7・9、Petition7×9とクロスし、主導と連動。従って、血統全体で再現度の高い配合であり、ここが当馬の能力の源泉。本質は、芝向きのマイルタイプ。ダートはこなせる程度だが、米系の連動性の良さから重馬場は得意なタイプ。血の結合こそ弱いものの、多種のスピード・スタミナを再現し、長く脚を使える可能性を秘める。

 

Place Du Carrousel【プラスデキャルゼル】(Lope De Vega×Traffic Jam by Duck of Marmalade)牝・19生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:6 結:7 土:2 弱:3 影:1 集:3 質:4 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C × L ×
ダ:S × M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:普通

〇 短評

主導は、Natlama-Almahmoudと継続させたNorthern Dancer6・7×4・5・7・7・7。次いで、Mr.Prospector5・5×5の系列クロスで血統を構成。一見かなり明瞭な主導に見えるが、Northern Dancerの仔であるNijinskyが6×6とクロスし、その位置関係があやふやな点は見逃せない事実であり、ここが当馬の能力の限界点を端的に示している。とは言うものの、父母共に継続させたSir Gaylordの仔であるGay Missileの系列クロスにより、孤立しがちなPrincequillo系や、My Babu-Djbelを主導と連動させた点は見るべき部分であり、Lalun.Vive la Reineや、7代目以降においてもVaguely Noble等の質の高い血を主導と連動させた点は見るべき部分であり、ここが当馬の能力の源泉である。本質は、芝・ダート兼用の中距離タイプで、重馬場はこなせる程度。これと言った弱点も無く安定感のある血統構成であり、父母が抱える欧米系を上手く連動させた血統構成である。ただし、前述の位置の問題や、血の集合に難がある為、詰めの甘さを見せる可能性は指摘しておきたい。

スルーセブンシーズ(ドリームジャーニー×マイティースルー by クロフネ)牝・18生
有効世代数:10代目

Ⅰ 主:4 結:6 土:3 弱:2 影:3 集:4 質:4 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I □ C × L ×
ダ:S □ M 〇 I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:低め 成長型:遅め

〇 短評

主導は、その父系であるNearcticから継続するNorthern Dancer5・6×6の系列クロス及び、Hail to Reason5×6・7の系列クロス。従って、主導としては不明瞭な配合であり、加えて有効世代数が10代目となりながら、Djbel-Tourbillonといった仏系が連動しておらず、ここが当馬の配合の限界点を端的に示している。とは言うものの、Northern Dancer.Hail to Reasonの両者は16連で土台構造を形成するNearcoで連動しており、他に前面に出たクロスは無く、比較的シンプルな配合となっている点は幸運。また、Prince Roseが、5代目でクロスしたNative Dancer傘下のPrince Palatineを介して連動しているのは、見るべき部分であり、全体で10連存在するNasrullahが隠し味的にスピードをアシストする等、細かい血の生かし方には見るべき部分が多い。本質は、芝・ダート兼用のマイルタイプで、重馬場もこなせる全天候型。外交的な配合であり、血の集合にやや甘い部分が見られる事から、成長には時間がかかり、やや詰めの甘さを見せる可能性は指摘しておきたい。反面、これといった弱点も無く、影響度バランスも(5-4-2-2)と良好な為、開花した際には安定して能力発揮が見込める点は指摘しておきたい。

 

Free Wind【フリーウインド】(Galileo×Alive Alive Oh by Duke of Marmalade)牝・18生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:7 結:4 土:2 弱:1 影:1 集:3 質:3 再:4 SP:3 ST:3 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(31+1/60)点 クラス:2B+
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C △ L ×
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:高め 成長型:早め

〇 短評

主導は、Northern Dancer-Natalmaと継続させたSadler’s Wells2×3の系列クロス。次いでMr.Prospector4×5の系列クロスで血統を構成。非常に血が濃い配合であり、試すべき配合では無いと考えられる。また、これだけの血の濃さを誇っていながら、母の母内Sunbittrn内に弱点を派生。更に、Special.Lulun.Mahmoudと世代ズレをおこしており、更に、血の集合も散漫である。従ってこの母にこの父を配する意味は薄い。救いは44という少ないクロス馬で血統をまとめ、反応の良さ自体は見込める血統構成である点か。本質は、芝向きのマイル~中距離タイプで、ダートは慣れればこなせる程度だが、重馬場は得意なタイプ。おそらくは、Enableを意識した配合だと予測されるが、内容は及ぶものでは無い(Enable自身も極めて優秀という配合では無いが)。安定感に欠ける血統構成であり、信頼のおけないタイプである点は指摘しておきたい事実である。

 

Mr Hollywood【ミスターハリウッド】(Iquitos×Margie’s Music by Hurricane Run)牡・20生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:7 結:7 土:4 弱:1 影:3 集:6 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:0
合計:(45/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I ◎ C 〇 L ×
ダ:S × M × I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:× 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

〇 短評

主導は、Northern Dancerを伴うSadler’s Wells4×4。この主導はその父Northern Dancerを血統の3ブロックに配し、比較的明瞭に血統をリードしている。また、3/4同血のNureyevと呼応した為、Gold Bridge.Nasrullahを生かし、強靭なスピードを再現したSpecialを内包し、Hail to Reasonこそ落失するものの、Lalun.Turn-to-Royal Chargerを生かし、その充足率も高く、スピードに良さが出ているSadler’s Wellsとなっている。また、父の母方に豊富に存在する独系統だが、母の父内Hold Onと呼応し、Birkhahnを系列クロスとし、Phalarisを介し、9代目ギリギリであるが、主導と連動させており、この部分は驚嘆に値する。また、Never Bend7・7×6や、Grey Soveregn6×8の系列クロスにより、欧州系のスピードを存分に連動させており、同父産駒としてはスピードに良さがある血統構成となった。惜しむらくは、Princequillo系の連動性がはかられていない点や、強調された父の父Adleflug内に弱点を派生させた点だが、影響度バランスを(7-2-7-6)とし、土台構造をNearco18連で形成するなど、比較的安定感のある血統構成となった点は幸運。本質は、芝向きの中距離タイプで、ダートは不得手だが、重馬場は比較的得意なタイプ。総合的には、独系統の生かし方にかなりの良さがあり、無事な開花を望みたい一頭である。

 

Feed The Flame【フィードザフレーム】(Kingman×Knyazhna by Montjeu)牡・20生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:4 結:6 土:2 弱:3 影:2 集:3 質:4 再:5 SP:3 ST:3 特:0
合計:(35/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C × L ×
ダ:S × M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低い 成長型:遅め

〇 短評

前面でクロスしたNorthern Dancer5・6・6×4・6・6及び、Mr.Prospector5×4は共に中間断絶であり、主導は、6代目からクロスしたNearco20連であると考えられる。しかしながら、7代目においてその仔であるNasrullahや、孫にあたるBold Rulerがクロスしている点や、6代目からクロスしたNative Dancerや、Sir Gaylord.Round Tableの影響も強く、主導や、血の集合が非常に不明瞭な配合となっており、この母にこの父を配する意味は薄い。とは言うものの、前面でクロスした前述のクロスにより、血統全体の連動性自体は悪くなく、この結合力が当馬の能力の源泉である。惜しむらくは、前述の明確な主導勢力を築けなかった点もそうであるが、7代目以降においてきめ細かくクロスしたTanteme.ヴィミー等の連動が図られていない点で、今一つもどかしさが残る血統構成である。本質は、芝・ダート兼用のマイル~中距離タイプで、重馬場はこなせる程度。これと言った弱点は無い為、安定感のある血統構成である点は指摘しておきたい事実である。

 

Ace Impact【エースインパクト】(Cracksman×Absoluty Me by Anabaa Blue)牡・20生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:9 土:2 弱:3 影:3 集:6 質:5 再:6 SP:4 ST:5 特:0
合計:(51/60)点 クラス:2A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:◎
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C ◎ L ◎
ダ:S × M □ I □ C □ L ×
芝適性:◎ ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め

〇 短評

主導は、Almahmoudこそ落失するものの、父の傾向を引き継ぎDanzig5・5×4の系列クロス。次いで、Nasrullahを主導とした母の傾向を一段進めた、Never Bend7×5・7の系列クロスの影響が強い。この時点で父母の再現度がかなり高い配合である。更に、前面でクロスしたAllegretta5×4の単一クロスが、Tantieme.Prince Chevalie-Prince Rose.Acroplis-Donatelloをクロスさせ、Hyperion.Blenhiemを介し主導と連動。更に同様に前面でクロスした、Bustino6×4の中間断絶が、同様にPerince Chevalie-Prince Rose.Crepello-Donatelo-Blenhiem.ヴィミー-Wild Riskを生かし、Pharos(=Fairway) .Blenhiemを介し主導と連動し、非常に強固なスタミナの核を形成。更に、前述のNever Bendが孤立しがちな仏系であるLalun.Djbelを主導と連動させ、血統全体で能力参加を促している形態を作り上げている。当馬の能力の源泉は正にこの部分にあり、明確な主導勢力と、強固な結合力がそれにあたるといって差し支えない。また、隠し味的にPrince John.Sir Gaylord.Tuder Minstrel.Tom Foolとクロスさせ、Tom Foolの結合こそ果たされていないものの、7代目以降の連動性も高い。加えて、Falsteed等もクロスさせる等、非常に質の高い血を、きめ細かく生かした内容で、Danzigを主導としたものの、その父であるNorthern Dancerとの位置関係の不備や、これといったスタミナの核を持たなかった、父Cracksman(3B)を遥かに凌駕した血統構成である。まさにこの父にしてこの母ありと言える配合であり、これと言った弱点の派生も無く、影響度バランスも(8-6-14-7)と、近交度が高くはあるものの綺麗にまとめており、血の集合も強調された母の父Anabaa Blueに存在しており、非常に隙の少ない血統構成。惜しむらくは、主導内Petitionの落失や、母の母にDanzig-Northern Dancer-Natalmaが存在しない点であるが、この母の母であるTadawulが抱える重厚な欧州系のスタミナ要素を十全に生かした点を踏まえると、やや贅沢な望みであるだろうか。本質は、芝向きの中~長距離タイプで、ダート・重馬場はこなせる程度。更に驚異的なのは、これだけの血を生かしながらクロス種も49と少なく、開花の早さが見込める血統構成であり、4連勝でジョッケクルブ賞(仏ダービー)制覇も、十分に頷ける血統構成である。加えて言うならば、更なる成長力を秘める配合であり、秋以降の飛躍を期待したい一頭である。

 

Fantastic Moon【ファンタスティックムーン】(Sea The Moon×Frangipani by Jukebox Jury)牡・20生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:8 土:4 弱:1 影:2 集:4 質:4 再:6 SP:4 ST:5 特:0
合計:(46/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:× 成長力:◎
Ⅲ 距離適性
芝:S × M × I □ C 〇 L ◎
ダ:S × M × I △ C △ L △
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

〇 短評

主導は、Northern Dancerを伴う、Sadler’s Wells5×4。その父Northern Danceを血統の4ブロック全てに配し、明確に血統をリードしている。次いで、Lalun-*-Djbel-Tourbillon.Blue Larkspurを生かしたNever Bend7×5・7で血統を構成。また、孤立しがちな独系統をSurumu5×5の中間断絶が見事にとりまとめ、系列クロスを形成したBirkhahnや、Tantiemeを、Hyperionを介して主導と連動させる様は見事であるとしか言いようが無い。また、5代目で単一クロスを形成しCourt Martal-Fair Traal.Owen Tudor.Rialto.Black Devlを、Pharos(=Fairway)を介し、これも辛うじて主導と連動。扱いの難しいオールドヴィックの血を見事に生かし能力参加させている。従って、サラブレッドの血統の背骨を形成する、主導・結合といった評価はかなり高い。また、Gold Brdge.Nasrullahを生かした、Ridan(=Song)5・8×7・7が、強烈なスピードを補給。これぞ欧州馬の重厚なスタミナに裏打ちされたスピードといった内容であり、非常に隙の少ない血統構成である。惜しむらくは、母の父内Skelda内に欠陥に近い弱点を派生させた点や、米系のクロスが確認できない点で、やや安定感に欠ける可能性を秘めると考えられる部分か。それでも総合的には非常に優秀な内容で、非常に鍛えがいのある血統構成である。本質は、芝向きの中~長距離タイプで、ダートは不得手で、重馬場はこなせる程度。無事な開花を望みたい一頭である。

 

Continiuous【コンティニュアス】(ハーツクライ×Fluff by Galileo)牡・20生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:7 土:2 弱:1 影:3 集:6 質:3 再:5 SP:3 ST:3 特:0
合計:(41/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C △ L ×
ダ:S × M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:高め 成長型:早め

〇 短評

主導は、その母系であるNatalama-Almahmoudと継続させたNorthern Dancer5×4・5・6の系列クロスで明確。次いで、Busanda6×7・7の系列クロスで血統を構成。また、Hail to Reaosn4×6の単一クロスが、米系の連動性をはかっており、サラブレッドの血統の背骨を形成する主導・結合といった部分は、比較的高い評価を与えられる。惜しむらくは、父の父サンデーサイレンスのスピード源となった、6代目Pharamondが世代ズレをおこしており、そのスピード再現が完全にならなかった点や、父の母が抱える6代目Court Martialも世代ズレをおこしており、ややバランスが悪い血統構成になった点か。とは言うものの、サンデーサイレンスの強みの一つである、米系の血の連動がはかられている点は見るべき部分であり、仮に国内でデビューしたとしても、強い競馬を見せられる血統構成である。本質は、芝・ダート兼用の中距離タイプで、重馬場もこなす全天候型。前述のバランスの悪さや、弱点を2ヶ所派生させた点から、やや安定感に欠ける可能性はあるものの、総合的にはしっかりとした配合であり、意外性のある血統構成である。また、影響度バランスを(6-5-9-5)とし、強調された母の父Galileoへと集めた為に、仕上がった際には鮮やかな競馬を見せる可能性は指摘しておきたい事実である。

 

今回は、凱旋門賞の出走馬の血統評価をおこなってみました。海外競馬に興味がある方にとって参考になればこれにまさる幸いはありません。

今後とも、総合競馬サイトG-ZEROおよび、血統研究所をよろしくお願い申し上げます。

(taku.O)
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