招魂社競馬と戦没馬慰霊像

招魂社競馬と戦没馬慰霊像

なぜ熱中症注意報が出る中、出かけることにしたのか。
昼飯は何にしようかと思ったとき、京都で時間なくて食べられなかったラーメンを思い出した。
京都人の「つのちゃん」に、新福菜館と第一旭が候補だけどと聞くと、両方美味しいけど「つのちゃん」の好みは第一旭とのこと。
新福菜館の黒い炒飯に惹かれていたが、「つのちゃん」が言うなら一度は食べてみないけんなとスマホをポチポチ。
どうやら神保町にあるらしい…
それならついでに招魂社競馬の跡でも見に行こかな…
靖国神社もとうぶん参ってないし、なんてったって8月だし、明日は6日だし。

神保町のホームに降りると新しくなっていた。
なんか不思議な気分。
古書街、カレー、ビール、少し歩けば楽器屋。
そんなイメージな街。
若い頃はよくウロウロしてた。
だけど、すでに土地勘はなくなっていた。
少し考えるとわかるのだけど、なんとなくこっちかなと思うと目標は反対だったりする。
駅を中心に、この坂を登れば古書、あっちの坂を登れば楽器屋からの御茶ノ水。
わかっているはなずなのに、距離感とかしっくりこない。
とにかく腹ごしらえだと思い、第一旭を目指す。

今まで食べてきた京都、チェーン店になっとるやつとは一味違った。
なんというか醤油感が違う。
ネギは美味しいし、面白いなあ。
「つのちゃん」ありがとう。

さあいざ招魂社へ。
靖国通りへ出て、九段下の坂を登る。
左手に大山巌の銅像、光る玉ねぎ。
前を向けば大きな鳥居、その向こうに大村益次郎像。
礼をして鳥居をくぐれば、そこはかつて招魂社競馬が行われていた場所。
コースの真ん中に参道ということだから、敷地の外周がコースだろう。
コーナーかな?て方に歩いてく。
面影があるかどうかは想像力次第ってとこかな。
馬場は一周900メートルで、かなりコーナーがきつかったみたい。
陸軍主催で例大祭の時に行われてたという。

靖国神社に初めてきたのは編集長とだった。
10何年前、暑い日だったと思う。
今でこそ普段着でお参りするが、その時は仕事終わりに九段下の駅で着替えて向かった。
坂を上がると編集長が待っていて、俺の姿を認めると。
「お疲れ様。おまえはちゃんとした格好でくると思ってたぜ。」なんて。
あの頃はこんな長い付き合いになると思ってなかったな。

お参りを済ませ、戦没馬慰霊像へ。
考えが至らなかったが、軍に使われた馬がたくさんいるのだろう。
明治維新でそれまでの日本の馬文化から、西洋式の馬文化へ。
馬匹改良は戦争の影響がある。
そんな当たり前のことに気づかなかった己を恥じる。
馬の歴史、文化を学び、考えてきたはずなのに…

その後、何十年かぶり2回目の遊就館へ。
語る言葉を持たないが、涙を堪えながら進んでいく。
馬関係では、西竹一、通称バロン西。
1932年ロサンゼルスオリンピック、馬術大障害飛越競技にてウラヌス号と金メダリストに。
最後は硫黄島だったという。
彼を題材にした書籍や映画がたくさんあるみたい。
また読みたいものが増えた。

帰り道、なんとも言えない気持ちで歩く。
競馬だけ、サラブレッドだけ好きなのか?
競馬、サラブレッドに至るまでの事があるはずなのに、それが結びつかない想像力のなさ。
馬の文化、歴史とは、人と馬の文化と歴史のはず。
自分には経験も体験も足らないのではないか?

今目の前にいるサラブレッドとはなんだ?
日本の競馬はサラブレッドだけなのか?
アングロアラブ、アラブ系限定競争が最後に行われたのは2009年の福山競馬場。
俺は本当に何も知らない。
先達の残した本に学ぶしかない。
だけど俺は歴史家や歴史小説家ではない。
歩いて見て感じたものを独り言のようにつぶやくだけ。

サラブレッドの歴史だけで探していけば一生終わるだろう。
ロックンロールが好きだからって、ブルーズを探してロバートジョンソンまで行くやつなんて稀だろう。
人間は興味のあるものしか、見たいものしか見ない。
俺もそうだ。
特に俺みたいな酔いどれは、そこに身を置くことでしか感じられないだろう。

その夜、「りっちー」と少し喋った。
「りっちー」は帰りのバス待ち。
俺はもう少しでワインが一本空く頃。

「今日は競馬場跡に行ったよ。」

「え?どこ?不忍?」

「招魂社、靖国神社よ。」

「まぢかぁ!」

「てか、不忍の池もかあ…」

そして、先程書いたような事を話した。

「馬匹改良てそう言う事なんよね。それを忘れてはいけん気がするよ。」

「確かに。」

「まあその辺は、りっちーのような競馬古書蒐集家で、賢いまともな人に任せるよ。」

「まぢかぁ。」

「今度は2人で競馬場跡とか行きたいね。」

「いいねぇ。ピロ氏と歩くのは面白そうだ。」

馬と酒に酔う競馬旅。
いつかではなく、必ず行く。
出会った仲間と、人のいない方へ歩いていく。
それが酔いどれ山頭火。
人間的には三等下。
左曲がりの道で哀しいが、忘れてはいけないものを探しに行く。
失われてしまう前に。

pirocks

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