シンクロニシティとは、ユングが提唱した概念で「意味のある偶然の一致」を指し、日本語では主に「共時性」と訳され、他にも「同時性」もしくは「同時発生」と訳される場合もある。
例えば、虫の知らせのようなもので因果関係がない2つの事象が、類似性と近接性を持つこと。
ユングはこれを「非因果的連関の原理」と呼んだ。とされている。(Wikipediaより)
要するに、共通する何かが、偶然、発生し、それに対して人は、「同じことが起こった。」と感じるというもの。
競馬には良くある事象で、俗に言う「競馬あるある」である。
例えば、2022年5月8日。
ケンタッキーダービーで、締め切り直前最低人気だったリッチストライクが1着となり、3連単は166万馬券。世界中を仰天させた。
同日、日本のNHKマイルCでも、最低人気のカワキタレブリーが3着に入り、3連単153万馬券となった。
日付、グレード、最低人気という3点が共通し、「同じことが起こった。」と感じる。
そして、人は、「ケンタッキーダービーにヒントがあった。」と錯覚する。
これは、果たして「錯覚」なのだろうか?
それとも、「ヒント」なのだろうか?
私は、「ヒント」と考えている。
つまり、シンクロ馬券はあるという前提だ。
シンクロニシティの傍証は、占星術、つまり、占いであるとユングは取り上げている。
占い=統計=データとなり、競馬にも十分通じる事になり、決してオカルトではない。
この概念で、目の前で発生した何かをヒントに、その先のレースと結びつけるという事を考えてみる。
ケンタッキーダービーで、上記の事象が発生したからと言って、NHKマイルCでも同様の事象が発生するとは考え辛い。
もしも、これが考えられるのであれば、もう一つの共通点「荒れる」=「難解」という事を加える必要がある。
ケンタッキーダービーは、出走する7割近くが、初馬場、初距離、初多頭数で、観客数も3~5倍近くに増え、不確定要素が満載の超難解レース。
この事からも、「荒れる」という印象を持つことはできるだろう。
対して、NHKマイルCも、過去10年、2桁人気の馬券率60%、3連単10万馬券6回、100万馬券1回という波乱振りで、「荒れる」前提で考えて良いレース。
2007年には、17番人気が1着、18番人気が3着になった事もあった。
ここで、ケンタッキーダービー確定時まで時間を戻す。
最低人気(最終的にはブービー人気)が1着で、3連単166万馬券の大波乱。
この時点でNHKマイルCとの共通点は、①日付、②グレード(G1)、③荒れる、④最低人気(ブービー人気)となる。
①と②は、最初から固定値であり、特に考える必要は無い。
③は、じゃない事もあるから結果によっては、共通点とはならないのだが、実際、結果は、大波乱。
そこから④へと発展して、「ヒント」となる。
「そりゃあ、今になればそう言えるけど・・・」
その通りである。
つまりは、ここが最大のポイントだ。
ケンタッキーダービー確定時点で、冷静に共通点を見られる平常心が必要なのだ。
当の私はと言うと、今回のケンタッキーダービーは、ノーザンダンサー系×ナスルーラ系、ノーザンダンサー系×ネイティブダンサー系の血統に絞り、その中で結果が出ている馬を上位、じゃない馬を3着付けし、3連複フォーメーションを組んだ。
勝った、リッチストライクは、ネイティブダンサー系×ネイティブダンサー系×ノーザンダンサー系で、チェック対象。
現に、同系のサイバーナイフには、△を打っている。
なのにも関わらず、何故か、チェックし忘れ、3連複15万馬券を取り損ねた。
金額よりも、予想理論は正しく、読み切ったのに、自分自身のヒューマンエラーが原因だったという点に落胆していた。
とても、冷静に共通点など見る事はできなかった。
だが、「こりゃ、NHKマイルCも最低人気あるぞ(^-^;」は、一瞬、脳裏を過ってはいる。(惜しい)
シンクロ馬券の難しさは、馬、騎手、展開等のターフの「内側」からではなく、「外側」から予想するということ。
そして、内側をほぼ無視しなければならない大胆さが必要ということ。
一見、緻密にいく方と、じゃない方を逆転させて考える事が大切。
「力が入ると力は出ない。」というやつだ。
状況の方を緻密にとらえ、楽しく買うと当たるかも知れない。
最後に、私の一番好きな競馬シンクロニシティを紹介する。
1989年ジャパンカップ。
出走馬中、2頭しかいなかった芦毛が、同枠、2枠へ入る。
結果、ホーリックス、オグリキャップの2頭で決まり、枠連2-2。
走破タイムは、2:22.2だった。
これだから、競馬はやめられない。
(編集長・katsu)