傾向データの使い方

傾向データの使い方

毎週、その週末の重賞の傾向データを記事にして公開している。(過去10年に満たないものや、コース替わりなどで参考外のものについては公開していない事もある。)
この傾向というやつは、どう使って、どれくらい役に立つのか?
自分で書いておいてなんだが、その点にも触れておきたい。

①前提条件
傾向データは、レースそのものの傾向を数値化したものだ。
従って、当日出走する各馬の能力ついては、全く関係のないものであり、あくまでも、レースそのものの雰囲気を知るためにある参考データとなる。
レースの雰囲気とは、堅い、荒れるに関わらず、「傾向通り」の決着となる可能性が高いのか?低いのか?という事で、そもそも、この傾向データ自体が重視なのか?軽視なのか?となる。
つまり、どこまで行っても、今週走る予定の馬の着順までを予想できるものではない。という事で、仮に着順までを予想できたとしたら、それは、偶然、その年のそのレースは、そうなってしまっただけで、根本的には、そこまでのものではない。
これが前提条件となる。

②ファクターの種類
次に、基本的なファクターをおさらいしておく。
・人気
・開催年の3着内人気
・所属
・馬齢
・枠順
・脚質
・斤量
・前走レース
・前走人気
・前走着順

ファクターとしてあげないが、斤量の補助として前走からの斤量差や、前走レースの補助として前走からの距離短縮、延長などのデータも文中に書くこともある。
これは、それらの情報を付加する事で、ファクターの重要度が上がる場合、そのようにしている。

③最重要ファクターと軽視ファクター
上記の②に記載した各ファクターで「明らかな数値」、即ち、100%という数値を持っているものや、それに近い数値を持っているものは最重要ファクターとなり、数値がバラけて絞り込めないものは、軽視ファクターとなる。

④絞り込む順番
上記の③まで進むと、「このレースは、どのファクターを重視し、どの順番で絞り込んで行けばよいのか?」が分かる。
例えば、2022年日本ダービーの場合、勝ち馬の100%が該当しているファクターは、前走1~5番人気以内であり、次いで、前走1~5着以内が90%、当日1~5番人気が90%、2着馬の100%が該当といった具合になり、対して、枠順は、1~4枠 5-5-5-64
5~8枠 5-5-5-74 と、真っ二つに割れており、絞り込むことが難しいため、重要なファクターとはならない。
「開幕週で内が有利」は、人間の印象であり、枠順ではなく、スタート後に内枠に近いところでレースができることの方が重要という事だ。

⑤勝ち馬とそれ以外を絞り込む
記事の最後に、「まとめ」というファクターがあるが、これは、上記のように優先度の高い条件で絞り込みを行い、勝ち馬、2,3着馬、3着馬の各条件をクリアした登録馬を紹介している。
これも、各馬の能力がどうこうじゃなく、あくまでも傾向から条件を満たしたか?だけを見て絞り込んでいる。
(セールスポイントとして各馬の近走レースの内容等に触れることはある。)
なので、条件に該当しない人気馬を切り捨てたり、条件に該当する穴馬に印が打てたりする。
つまり、取り捨ての参考資料となる。

⑥傾向そのものの重要度
各ファクターの数値が安定する=いずれかの数値に偏りを見せる=傾向通りになる可能性が高い=傾向そのものが重要となる。となる。
逆に、各ファクターの数値がバラバラ=いずれの数値にも偏りがない=傾向そのものが成立しない=傾向自体が軽視ファクター。という事になり、ここから予想をしていくと、全くさっぱりな結果になりかねない。

⑦堅いレースの傾向
絞り込んだ結果、勝ち馬候補、2,3着候補馬が、予想オッズの人気順になる。
このようなレースの場合は、堅い決着となる事が多い。

⑧荒れるレースの傾向
2桁人気馬の馬券率が60%以上のレースで、絞り込んだ結果、勝ち馬候補、2,3着候補馬に、予想オッズ2桁人気の馬がいる。
このようなレースの場合は、波乱の決着となる事が多い。
大胆な予想が必要な時は、むしろ2桁人気馬を軸とした方が良いケースも出てくる。

⑨割れるレース傾向
絞り込んだ結果、勝ち馬候補、2,3着候補馬が多数おり、「これ!」と絞り込むことが困難なレース。
必然的に予想オッズの段階から各馬のオッズに差が少なく、いわゆる人気割れのレースとなる。
このような場合は、傾向上、指針となるファクターが少ない事が多く、予想の決め手に欠ける。

●まとめ
・傾向は、そのレースの雰囲気=傾向通りか否か?を知ることができる
・各馬の能力とは全く関係ない
・そのレースの最重要ファクター、軽視ファクターを知ることができる
・条件に該当しない人気馬、条件に該当する穴馬を知ることができる

大体の重賞レースは、毎年、ほぼ同じ時期に同じ条件で行われているわけで、そうなれば、徐々に傾向が見えてくるもの。

「このレースは、大体、こんな感じのレース。」
「今回の登録馬でいうと、この辺が中心。この辺は消し。」

程度の目星を付けるには、十分な情報だと思うが、当然、傾向が全く機能しない年もあるわけで、どんなに確率の高いレースであっても鵜呑みにしてはいけない。
歴史は繰り返され、やがて傾向となるが、人と馬の挑戦が新しい歴史を生み出している事を忘れてはいけない。

(編集長・katsu)

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