新馬・未勝利勝ち馬より ーリメリックー

新馬・未勝利勝ち馬より ーリメリックー

リメリック(24/01/27、1回東京1日、芝1600m新馬)15番人気1着

ダノンバラード×マジックビクトリアbyオペラハウス.

 

2024年東京競馬開幕日の新馬戦は、16頭立て15番人気、単勝オッズ164.7倍のリメリックが初勝利。21年産ダノンバラード産駒の勝ち上がりは、クローバー賞を勝利したコスモディナーに続いて2頭目。21年産の単勝万馬券馬としても、ナムラフッカーに次いでの2頭目となります。

 

リメリックの母マジックビクトリアはJRAで47戦4勝と息の長い活躍をした牝馬で、自身が持つクロスはNorthern Dancer 3×4。リメリックの父ダノンバラードはHalo 3×3のクロスを持つものの、ダノンバラードの母レディバラードはNorthern Dancerに関してその血を持たないアウトクロスとなるので、マジックビクトリアのようにNorthern Dancerの強いクロスを持つ種牝馬との配合は好意的に見ることが出来ます。

 

リメリックから数えて6代母にあたるロゼッタはニュージーランドから輸入された種牝馬で、持込産駒として父Faux Tirageの牝駒ナスノホシを産みました。

Faux Tirageは英国で走り6戦5勝。セントジェームスパレスSなどを勝利したマイラーで、引退後に種牡馬としてニュージーランドへと渡りました。Faux Tirageの母Commotionは英オークス勝ちのある名種牝馬で、Faux Tirage以外にも9戦9勝の全兄Combat(父Big Game)、アルゼンチンでリーディングサイアーとなった半弟Aristophanes(父Hyperion)などの母となっています。

 

ロゼッタの牝駒である5代母ナスノホシは、父Faux Tirageの母母Riotと、母父Fair’s Fairの父Fair Trialが共に「父父Phalaris×母Lady Juror」という血統構成ですので、Riot≒Fair Trial 3×3という3/4同血クロスを持ちます。この3/4同血クロスは、Aristophaneの代表産駒であるアルゼンチン四冠馬Forliも全く同じ位置で持っており、その影響力の強さを感じさせます。

Forliが米国で種牡馬として活躍したように、ナスノホシも日本で種牝馬として実績を残しており、パーソロンとの間にナスノカオリ(1971年桜花賞 1着)、ナスノチグサ(1973年優駿牝馬 1着)という2頭のクラシックウイナーを誕生させ、その牝系を現在へと繋ぎます。

そしてForliの血は、代表産駒である名種牝馬SpecialからSadler’s Wellsという名種牡馬へと繋がり、その仔オペラハウスが日本に渡ったことでナスノホシの末裔マジックモーニングと出会いました。

 

ニュージーランドへ渡った兄、アルゼンチンに渡った弟が共にRiot≒Fair Trial 3×3という3/4同血クロスで血統を繋ぎ、その子孫が更に離れた日本の地で出会い、またその血を紡いでいく。リメリックからはその配当だけでなく、まるで世界一周旅行のような血統の流れにも驚きを隠せないのでした。

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