新馬・未勝利戦勝ち馬より =キトンインザスカイ=

新馬・未勝利戦勝ち馬より =キトンインザスカイ=

キトンインザスカイ(24/06/02、4回京都2日5R、芝1400m新馬)4番人気1着

シスキン × メジロトンキニーズ by ダンスインザダーク.

 

日本ダービーが終わり、いよいよJRAでも2歳新馬戦が開幕。その初週から当世代産駒わずか7頭の新種牡馬、シスキンの仔であるキトンインザスカイが勝ち上がりを見せ、父に嬉しい初勝利を送り届けました。

 

キトンインザスカイはシスキンの仔であるとともにメジロトンキニーズの仔でもあるわけですが、メジロトンキニーズの仔はこれでJRA出走馬8頭のうち7頭が勝ち上がっているので、父シスキンこの世代残り6頭の産駒全て勝ち上がって初めて、メジロトンキニーズに並ぶ計算になります(笑)

また、キトンインザスカイの兄姉にはG3中山金杯など重賞3勝のトリオンフ(父タートルボウル)や、G2フローラS勝ち馬クールキャット(父スクリーンヒーロー)がおり、ますますメジロトンキニーズの優秀さに興味を抱いてしまいます。

 

ということで、今回は新種牡馬である父シスキンではなく、母メジロトンキニーズの血統を中心にキトンインザスカイの血統を見ていきたいと思います。

 

メジロトンキニーズの牝系は小岩井農場に輸入された種牝馬アストニシメントから始まり、自身の4代母にあたるアサマユリがメジロ牧場の基礎牝馬として、大きく枝葉を広げました。

アサマユリの牝駒メジロアイリスの父はヒンドスタン。アサマユリの父はボストニアンで、その父はセフト。父ヒンドスタン×母父父セフトという組み合わせは三冠馬シンザンと共通で、Sun Worship 4×5 のクロスが出来る効果的な配合。ただ、シンザンがGainsborough 4×4 とスタミナを補った配合であるのに対し、メジロアイリスはBlandford 4×5 のクロスを持つので、その分スピードが勝る配合となっています。

 

メジロアイリスはメジロツシマ(父バウンティアス)、メジロオーロラ(父リマンド)という2頭の優れた後継種牝馬を出し、メジロオーロラからはメジロデュレン(父フィディオン)、メジロマックイーン(父メジロティターン)という有名なG1馬兄弟が誕生。

一方のメジロツシマもメジロトーマス(父フィディオン)、メジロマーシャス(父メジロティターン)という2頭の重賞活躍馬を筆頭に、JRA出走産駒全頭が勝ち上がるという優秀な繁殖成績を残しています。

 

メジロツシマの父は社台ファームが輸入したバウンティアス。その血統はBayardo 4×4,Galicia 5*6×6・5,Lemberg 5×5 など相似性の強いクロスを持つ点が特徴で、代表産駒は中山大障害5勝のバローネターフ。母の父としては日本ダービーと有馬記念を制したダイナガリバー(父ノーザンテースト)を輩出しました。

改めてメジロツシマとの配合を開くと、まず目につくのがBoiarinia≒セフト 4×4 (The Tetrarch,Volta,Sainfoin=Sierra,Palmflower,Hamptonなどが共通)というニアリークロス。

それに加えてTetratema 5×5,The Tetrarch 6・6×6 といったThe Tetrarch系クロスをまとめて持っており、これが産駒に伝わるスピードの根拠として一役買っているように思えます。

また、セフトの母母がSun Waorshipなので、メジロアイリスが持っていたSun Worshipのクロスを継続する形になるのも効果的に見えますね。

 

このメジロツシマにモガミ→ダンスインザダークと繋けられて誕生したのがメジロトンキニーズで、これは欧血主体なメジロツシマの血統に2代続けて「Northern Dancerと米血」を導入した形。父と母父の組み合わせからなるNorthern Dancer 4×4 とそこに付随する米血中心のクロスが血統表の3/4を占めており、母母メジロツシマ由来となるクロスが少なくここが明確な1/4異系の形をとっています。しかし、その1/4異系中にあるまとまったThe Tetrarch系クロスこそが、スピードのスパイスとして産駒へ影響を多少なりとも与えているように思えます。

その根拠と考えられるのがメジロトンキニーズの代表産駒であるトリオンフで、その父タートルボウルの母母Kamiyaは、Tetratema 6・6×6,The Tetrarch 7・8*7・7・7×7*7・7 と強いThe Tetrarch系クロスを持ちます。この血脈がメジロツシマの1/4異系部分と結びついたことで、優れた競走成績を残せたのかもしれません。

 

そのような見方でキトンインザスカイの血統表を見てみますと、シスキンはそれほどTetratema~The Tetrarchの血脈を持つわけではないので上記トリオンフのような期待を持つことは難しいかもしれません。とはいえそこは種牡馬としての能力がまだまだ未知数ではありますので、シスキンはこの初世代でメジロトンキニーズ超えが果たして出来るのかどうなのか、この1年楽しみに見てみたいと思います。

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