新馬・未勝利戦勝ち馬より =オルゴーリオ=

新馬・未勝利戦勝ち馬より =オルゴーリオ=

オルゴーリオ(24/05/25、2回東京11日1R、ダ1400m未勝利)8番人気1着

Mor Spirit × Holy Wow by_Put It Back.

 

ダービーウィーク開幕の土曜日東京1R。3歳未勝利戦を勝利したのは、ここが初出走となるオルゴーリオ。単勝1.6倍の一番人気、アメリカンランナーを4馬身突き放す快勝でした。

 

オルゴーリオの血統を開いてみると、その父はあまり聞き馴染みのない種牡馬、Mor Spirit。日本で繋養されていたエスケンデレヤの産駒で、米国はペンシルバニア州の生まれ。2歳時に米G1ロスアラミトスフュチュリティS(ダ8.5F)を、3歳時に米G1メトロポリタンH(ダ8F)を制覇。

Mor Spirit産駒のJRA出走は2020年産のティルドーンに次ぎ2頭目。ティルドーンは昨年8月にダート1800mの1勝クラスを勝利しており、オルゴーリオと2頭続けての勝ち上がりになります。

 

Mor Spiritの血統は、まずその母I’m a Dixie Girlが特徴的で「She’s a Talent≒Allen’s Prospect 3×2」という強い3/4同血クロス(Mr.ProspectorとChange Waterが共通)を持っている点から始まります。Change Waterは名種牝馬Fall Aspenの母でもあり、その血統は父Swaps×母父War Admiralという組み合わせ。父Swapsは母母父がWar Admiralなので、Change WaterもWar Admiral 4×2 という強いクロスを持つ種牝馬になります。

また、I’m a Dixie Girlの父父Dixieland Bandの血統を見てみると、その母Mississippi Mudの母父Warfareは、父がHyperion系Determineで母父がWar Admiralの3/4同血馬でもあるWar Glory(Man o’WarとAnnette K.が共通)。なので、HyperionとWar Admiral≒War Gloryによる「Warfare≒Swaps 5*6×4」と表記することも出来ますが、そこにPennantやSir Gallahadなどの共通する血を含めることで「Warfare≒Change Water 5*5×3」のニアリークロスと表現することも出来ます。この「She’s a Talent≒Allen’s Prospect」と「Warfare≒Change Water」という2つのクロスが、I’m a Dixie Girlの肝でしょう。

 

上記のような母の血の特徴からMor Spiritの血統に戻ってみると、その血統表内はSeattle Slew 3×5,Northern Dancer 5*5×4*5,Raise a Native 5×6*5 などといった強めのクロスが表立っていますが、父エスケンデレヤが持つGlorious Song経由でSwapsを持つため、Warfare≒Swapsのクロスを 9×6・7*5 と薄いながらも保持。また、エスケンデレヤの父Giant’s Causewayの4代母Ironicallyが、父Man o’War系×母父Hyperion系という組み合わせに加えてWarfareと共通する血が多いため、Ironically≒Warfare 6×6 というニアリークロスも持つことになります。

 

そしてオルゴーリオ自身はDixieland Band 4×4 とSaint Ballado=Glorious Song 6×4 というI’m a Dixie Girlの肝を内包する2つのクロスで、WarfareとSwapsの血をさらに継続することに成功しました。

もう1頭の勝ち上がり馬であるティルドーンも、その血統表内にWarfare 7×6 とSwaps≒Creme Dera Creme 8・6×6 というクロスを持っており、たった2頭の勝ち上がりながら同じような血の活かし方をしていることがよく分かります。

 

このようなマイナーな種牡馬産駒の活躍を目の当たりにすると、海外市場で実績のない血統馬を購入し、それで結果を出す生産者や調教師の方々の慧眼は、改めて素晴らしいもんだと血統表を見ながら喜んでしまいます。今週末からは、いよいよJRAでも2歳戦が始まります。今年はどのような新しい血統表が見れるのか、楽しみで仕方ないですね!

競馬ファットフィンガーカテゴリの最新記事