サウジアラビアRCと毎日王冠を観てきた。京都大賞典と南部杯を添えて。

サウジアラビアRCと毎日王冠を観てきた。京都大賞典と南部杯を添えて。

「取れたぞ。」

編集長からのメール。
送られてきたQRコードを見ると土曜だ。
てことは、サウジアラビアRCだ。
とうとう府中に競馬が戻ってきたってことだ。
ところが、ピロちゃんは土曜にワクチンの予約を入れてた。

「申し訳ないけど、ワクチンがあるから昼過ぎになるわ。」

「大丈夫。俺は朝からいる。」

「了解。」

てなことで当日現地入りは8レースくらいだった。
あまり金も打つ気もなく、編集長が楽しそうに当たった、外れたとやってるのを見てた。
どうせ俺は当たる方が珍しいし、久々の生競馬を楽しもうなんて。
メインのサウジアラビアRCも固そうだしね。
ゆっくり、ゆったりと秋の陽射しの中、サラブレッドの美しさに目を奪われよう。

メインのパドックが周り始める。
ん?2番松山弘平ゴンバデカーブースが馬鹿に良く見える。
次点でルメールのシュトラウス。
川田のボンドガールは少し疑問符。
あとはまともに歩けてるのが7番の横山和生レーヴジーニアル。
これは…この雰囲気は青葉賞の時の感じか?
人気の馬が強いんだろうけど、そんなに良く見えない。
他の馬で群を抜いて良く見える馬がいる…

気持ちを落ち着かせ、買い目を整理するために喫煙所へ。
川田にルメールで松山は3連複はつかん。
気持ちはルメールと松山の2頭軸。
3連単で3着川田もつかない。
横山和生なら前に出る理由になるくらいのオッズ。
松山、ルメールの馬連、馬単の折り返し?
いや10倍あるなら馬連に集中。
3連単は松山、ルメール折り返しで横山和生へ。

レースはスローでスタート。
川田もルメールも引っかかってる。
先手は横山和生。
これはしめしめなのか?
松山、後ろすぎない?

直線に入る。
横山和生に取り付くルメール。
振り切るほどではない。
待っているのか?
手応えがないのか?
川田も脚色は同じくらい…
その刹那、外から一気に松山。
きたぁ!
ルメールなんとか2着に持ってこい!
和生がんばれ!
川田くるな!
ゴール前はほぼ一線。
だが着順ははっきり見えた。

本線のルメール松山の馬連があれば一捲り。
3着に和生なら頭がどちらでも片手に届く。
だが川田とボンドガールの底力。
外れて納得のレースだった。
俺はほんと間抜作だ。

そして日曜。
副反応か怠いし、雨も降りそう。
ソングライン見たかったけど、指定席もないし家で大人しくしとくか…
と思ったが、昼飯を何食おうか迷った挙句、競馬場メシにすることに。
身体が疲れてるなら肉だ!
ペッパーステーキ!邪魔をしないでぇえ!
ピンクレディも素晴らしかったが、春に見たソングラインがどんな姿で出てくるか…
生で目の前で見たい!その一心だった。

パドックにシュネルマイスターがあらわれた。
まあ良いのだろう。
なんてったって、シュネルマイスターとソングラインの2頭は能力が違う。
そこそこの出来なら勝負になるだろう。
あとはどうだ?
んー、どれも悪くなさそう。
府中1,800と考えると、業師横山典弘のジャスティンカフェの末脚か?
なんだ3番人気か…みんな考えることは同じか。
3歳二騎も悪くなさそう。
そこはエエヤン!て言えよ!
2頭とも左回り実績がないのが気になるが…
ソングラインは?
良いねぇ。
490キロでプラス10キロとのことだが、ぜんぜん太く見えない。
シュネルとソングラインの馬連だな。
ソングラインは初距離だし、大丈夫だろうけど不安がないわけじゃないしね。
でも馬連じゃ勝負にならんな。
3連系やないとダメか…
どっちにしてもつかん。
二頭軸の3連複と、2頭の単勝買うて見るレースやな。
最近は儲からなくても、良いと思った馬の単勝を買うのが流行りなのだ。
ちゃんと当てる。
これは大事なことだろう。
馬券は軸探しではない、勝馬を探すのとなのだから。
ちゃんとちゃんとの味の素!
牧瀬里穂なら単勝一本勝負や!
お前のは短小やけ、勝負にならんやろ?とか思った読者の方は心が汚れてます。
編集長と俺は下ネタ嫌いなのだ。

レースはスローだったか?
ソングラインは予想通り、スタート出て中距離のペースでは前目。
距離を気にしてか下げた。
シュネルマイスターも後ろから。
脚があるのはわかってるだけにそんなもんかなと思ってた。
直線に入ると仕掛け所を探す戸崎、後ろのルメールはそれ待ち。
インコース前目を乗り切ったエルトンバローズと西村。
これは好プレーだろう。
迷った戸崎に付き合わされたルメールて感じかな?
逃げたウインカーネリアンが0.3秒差5着。
いろいろと難しいレースになった。
戸崎を下手くそ、ルメールを今週末はイマイチだったとするのは短絡的かなと。
ここでラップとかを分析できないピロちゃんが、騎手の気持ち、心理戦の部分から想像してみる。
もちろん、騎手や他のレーサーでもないので、皆さんにも身近だと思う角度からあらわしてみよう。
なんのことかは皆さんの想像にお任せする。

まずは西村。

再生ボタンポチッ。

「おっ、ええ感じやん。」

「俺の好みや。」

「悪うない展開、てかエエヤン。」

「このままでええな。」

「そこそこ!ああーっ!」

フィニッシュがゴール。
人馬一体の気持ちええやつである。

戸崎はというと…

再生ボタンポチッ。

「こりゃたまらんのう。ばり好みじゃ。」

「おっ、最初からたまらん。ちと早すぎるか?」

「ちぃと緩うして…」

「どこでイコうかのう、もうちぃと先にええ場面がありそうじゃ。」

「ん?ゴールはどこや?わしも一緒にフィニッシュしたいんじゃが…」

「ん?ここか?まぢか?ギリギリやないか!イケるか?」

「ちっ、フィニッシュとゴールがちとずれたわい。悪うはなかったが、ええネタじゃったのに惜しいことをしたのう。」

「なんかイマイチすっきりせんわい。」

ルメールはどうだったか?

再生ボタンポチッ。

「オウ、ナンカサイショハイマイチデェース。」

「ナンカヨクナッテキマシタヨ。」

「ワルクナイネ、アトハフィニッシュネ。ドコデダスカ…モチロン、ゴールネ!」

「オー、トサキサン…ボクモイキタイデス。ハヤクイッテクダサイ。」

「テメェコノヤロウ!ワシガダストコガナアジャナアカ!ワリャトサキ、エエカゲンニセェヨ!」

「オソインジャボケ!ハアゴールジャナアカ?ジャケドコッカラデモイケルメール!」

「チッ、ゴールデアワセコンダノニ、チトタランカッタワ。タランノハトサキマノアタマカ?アノペースジャドモナランジャロウガ!」

こんな感じだったのではないか。
戸崎騎手は気持ちよく抜けるはずだったのに、もう少し先に良いシーンがあると待ってしまいタイミングズレてフィニッシュ。
これはなかなか辛いものがある。
まあこれは差し届いていればナイスですね!になるのでなんとも言えないところかな。

パトロールを見ると負けたとはいえ2頭は強い競馬。
ソングラインはこじ開けて出てきたし、シュネルマイスターは大外に回したのに間尺が合ってる。
ペース、馬場がどうかはわからんが、折り合って中段前目から上がり33.8秒でまとめた西村エルトンバローズを素直に褒めるべきだろうね。
ソングラインは次走、ブリーダーズカップマイル予定みたい。
府中のマイルで強い馬はどこでも強い!て言いたいねぇ。
楽しみだねぇ。戸崎で世界制覇を見たいねぇ。
地方時代から応援しとる人は堪らんやろうね。

月曜は仕事。
帰宅したらちょうど南部杯が始まる頃だった。
パドックに間に合わなかった。
結果的にはだけどレモンポップ見たかったな。
レースは言うことなしの好スタートから逃げて大差の圧勝。
2着イグナイター、3着レディバグ。
わりと前目?ついていった馬での決着。
後ろからは無理だった。
カフェファラオは包まれるとダメなのかな?
誰かが言ってたけど南部杯は1,400mよりの1,600m。
結果からすると納得。
レモンポップはスピードで押し切った方が良いんだろうね。
なんとかマイルをこなしたいから貯め戸崎してきたのかもしれないけど…
スプリントでは短すぎ、マイルでは長すぎる。
アメリカにダート1,400のデカいレースないんかな?
アメリカンなレースして、スピードで押し切って圧勝とか渋すぎやろ?
見たいのう…アメリカのダートを圧勝する日本馬。

そして伝統の京都大賞典。
2週連続で池添にやられた浜中俊。
スタートしてすぐにちょちょっと可愛がられ、直線ではビシッと閉められ、強引に割って出るも2着惜敗。
これはさすがに腕の差と言われてもしゃーないかな?
浜中俊ファンには申し訳ないけどね。
レース後のコメント見ると…

池添
「ボッケリーニを締め切りたかったがその時点では向こうのほうが手応えが良かった。でも差し返して根性あるとこ見せた。」

浜中
「この馬は難しいとこある。抜け出すとソラを使う。今日も出た。差し返された時に差し返せなかった。今日はあのタイミングしかない。」

ふーんて感じやね。
まあミスっても俺が悪かったなんてなかなか言えない職業やもんなあ。
先週のスプリンターズSの浜中の騎乗を見た田原成貴曰く、「俺が乗ってたら勝ってたかもね?」だってよ。
そら武豊の前に天災…天才と言われた男、栗東の玉シャブ…玉三郎やで。
あんたと勝負して勝てるのはレジェンドクラスや。
フォームも無駄なく美しいしね。
まるで前田智徳のバッティングフォームや。
田原成貴に「じゃあおまえが乗ったらどんな競馬するんや?勝てるもんなら勝ってみいや!」なんてヒロミゴーでも言えないよ。

惜しかったのはハービンパクトのヒンドゥタイムズ。
団野大成、会心の1発!とはならなかったが、3着ディープボンドと0.2秒差4着。
逃げた5着のアフリカンゴールドは同タイムでも交わしているのだから、俺が欽ちゃんなら審査員に頼んで3着にしてもらうとこだ。

ただすべてはこの一言で終わる。
「スタートで出たディープボンドがそのまま競馬をすれば勝ってただろう。」

レース後の和田竜二のコメント。
「今日の結果からしたら枠を活かせず申し訳ない。来年の春の競馬を見据えて調教師からはリズム良く溜める競馬の注文。注文に馬は応えてくれた。急かす競馬をしてやられているので、今回の競馬がG1にいきてきたらいいね。」

なんだそりゃ?溜めてええ馬なん?
アサクサキングスを管理してたんやないの?
余談だが父は3冠馬を高松宮記念に出走させた。
まさかG2の2,000mと思ってたわけではないだろうが…
ということで和田は悪くない。
ディープボンドは格が違うやろ?
戦ってきた相手が違うやろ?
春天3回2着、有馬記念2着やぞ?
相手はワールドプレミア、エフフォーリア、タイトルホルダー、ジャスティンパレスやぞ?
と思って頭固定の馬券を買った人たちは何を思うだろう?
その意気や良し!来年の春天は頭固定だ!
とはならんやろ?なる?
でも来年の春天勝ったらすごいよな。
素直にごめんなさいするわ。
ただ個人的には目標にされても凌ぎ切る、鎬を削る勝負が見たい。
私の我儘ですかね?
レースてのは本来そういうもんかと思いますが。

春天やらゆーけ思い出してもうたわ。
三冠を、3連覇を阻止した全盛期の姿はなくとも、自ら淀の三角を捲って行った馬を。
全盛期のように先行して差す競馬ではなかったけど、目標にされようが無謀な仕掛けと言われようが動いていった人馬を。
覚悟という言葉がおもい浮かぶ。

覚悟を辞書で調べると、「危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受け止める心構えをすること。」
勝負事に必要なことではないですかね?
私は一戦、一戦サラブレッドは生命を燃やして走っていると思ってます。
もちろん、走ることが嫌いな馬、人間の都合で嫌いになった馬もいるでしょう。
それでもその血に刻まれた本能は危険から走り勝つことでしょう。
誰にも捕まえられない馬が血を残していくのではないでしょうか?

淀に咲けと散るも覚悟で。

この秋は全馬無事で素晴らしいレースが見られますように。

pirocks

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