ダービーの歓声が鳴り響く

ダービーの歓声が鳴り響く

ダービーの歓声が鳴り響き、僕はただかなしいきもちになる。
なぜだろう…
何が見たかったのか…
叶えられなかった祈りか…

たくさんの喜びの声が聞こえる。
競馬場にも、SNSにも。
俺と悪友は悪態をつくわけでもなく、ただやるせないかんじで目黒記念のパドックへ歩く。
一年が終わり、また一年が始まる。
その瞬間をやるせなく歩く。

2:24.3。
戻らない、刻まれた時間。
そこに何の意味も持たせられない自分が悪いのか…
馬券が当たらなかったから、損をしたからではない。
ないのに…
なぜこんな気持ちで俺はここにいるんだろう。

それでも、おめでとう!
横山典弘さすが!
ダノンデサイル強かった!
そう言うしかない。
それは現実で事実で…
心からそうは言えないけれど、時が経てばちゃんと言えると思う。

人知の及ばぬなにかを見たいのかなと思う。
くだらない現実を、やるせない毎日を吹き飛ばすなにかを。
こんな気持ちを共にやり過ごせる人といたい。
もう酒に逃げるほども、夜に答える体力もない俺と。

音楽は資本主義に飲まれてしまった。
ワイト島のロックフェスティバルで、主催者側が…
どのアーティストもマネーマネーマネーだと。
俺たちが音楽で起こしたかったものはなんなんだと…
だとしたら、後に残るのは政治だけなのかもしれない。
でも、そんな音楽の中でも心を打つものがある。
俺がコントロールされているだけなのかもしれないけど。

本当の気持ちを言えば、誰かを傷つけ罪になる。
でもだからってどうした?
ファックなものはファックなんだ。
なぜそう言えない?
傷つけるのが怖いのか、傷つくことが怖いのか…
愛したものを抱いても、何も世界が変わらないことを知ってしまったからなのか?

馬券は当たったら、女は抱けたら良いのか?
そうじゃないよな。
たぶん。
その過程が…
でもないよな。
その瞬間、その刹那がよい。
当たる、抱けるなんて結果の話。

すべてをぶち壊してやりたい、何もかも投げ出してしまいたい。
そんな体力はないし、もちろん気力もない。
ただ柔らかなものに包まれたいだけ。
何を愛するとか、何を求めているのか知らない。
ただ、さまよっているだけ。

そんなことを思い書いていると編集長が戻ってきた。
今日はもう面白くない話などしたくない。
面白くないことを話して、お互いを嫌いになりたくない。
競馬サイトだからと競馬の話をする気にはならなかった。
どうせ俺は明日仕事で飲めない。
やるせなくても夜に走り出すことはできないから。

何度か、「来週の土曜、久々に自由に打とうよ。ほいで終わった後に何の心配もなく酔っぱらおうよ。」
そんな言葉を飲み込むでもなく、ただタイミングをなくした。
その時になって、まだそう思ってたらやればいいし、今こんな気持ちで出来もしない約束をする気にはならなかった。
俺には俺の、編集長には編集長の生活がある。

誰に言っても伝わらないこと。
誰と繋がっても離れてしまうもの。
そのくせ、一人では抱えきれないもの。
そんなものを抱えていては、疲れるだけだろう。
身体中の血を抜き変えても、俺を作る血は変わらない。
慰められても、否定されても辛い。
いったいどこへいけばいいのだろう。

素晴らしいことだと思うし、頭ではわかってる。
頭ではわかることだと思う。
馬群が4コーナーを抜け、直線をゴールに向かい追い出される。
目をやった先にあったものは…
俺が想像した、いくつかの未来ではなかった。

ここまで書いてきて思った。
上手いミュージシャンが見たいのではない。
良いか悪いかは別として、心が動かされる音が聞きたいのだ。
ここ最近、競艇に逃げていた。
逃げていたと言えば失礼かもしれない。
レースと博打で競馬以外のものに触れてみたかったのだ。
競馬を楽しく遊んでる仲間たちを横目に、俺はどうしていいのかわからなくなっていた。
自分で自分を楽しくさせる、自分で作った予定調和に唾を吐きたかった。
競馬に甘えて、去ることもできないのに。

ダービー前夜、編集長から電話があった。
SNSで、みんなで話してみようか?
やったらいいんじゃん?
普段は来れない人も声かけてみようよ?
おもったよりたくさんの人が集まった。
その中で、今日競馬場行きましたと言う人がいた。
ダービーの指定席が当たらなかったから!
電車で2時間で行けちゃうし!
すごく楽しそうだった。
おもわず、何で呼んでくれなかったの?なんて。
楽しそうな人と遊びたいじゃん?
ダービーだからとか関係ないじゃん?

もう現場は若いものに任せていいのかもしれない。
突き動かされて行ったレース。
ディープインパクトのジャパンカップ。
ウオッカのダービー。
ホクトスルタンの目黒記念。
フィリアプーラの桜花賞。
もうテレビでいいのかもしれない。
去年、そんな思いで行ったのは…
凱旋門賞馬の全弟が出る新馬戦だった。

血統を前面に出した競馬サイトG-ZERO。
血統理論のtakuさんに、血統物語のりっちーも加わった。
俺は俺で相変わらず、夢だの浪漫だの好き勝手言ってる。
ストもそうだけど、牧場や馬主の政治的な話とか、わりとどうでもよい。

文章だけがなんとなく上手く見えるようになって、伝えたいこと、感じたことがないのに書くなんてことはできない。
俺を感じさせてみろ?なんて思わない。
なにをどうやっても書きたくなる競馬であって欲しい。
それには俺が感じないとダメなんだ。
他人が気持ち良くても、俺が触れられたわけじゃないから。

馬上から飛び降り、馬車に乗って満面の笑み。
その影には、悔しくて涙も出ずに眠れない夜を過ごすものがいる。
ナリタブライアンも、ライスシャワーも、ウオッカも完璧じゃなかった。
思い出す時に、晩年の力をなくしたところまで思い浮かぶ馬が何頭いるだろう?
良いこと悪いこと、光と影と、どちらが多いだろう?
そして、これを書いている今、俺はどんな顔をしてるのだろう。

pirocks

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