血統診断基準⑪ 再現度について

血統診断基準⑪ 再現度について

閲覧者の皆様、こんにちは。競馬総合サイトG-ZEROへようこそ。また、血統研究所へもようこそおいで下さいました。今後ひとまずの、血統研究所のコンテンツとして、主要11項目のそれぞれについて、優秀な配合をそれぞれピックアップしていきたいと思います。今回は再現度の項目についてです。

 

引き続き、再現度と一口に言っても、なかなかに分かりにくい部分があると思いますので、今回も実馬を例に上げて、説明を行いと思います。では、今回は97年の弥生賞を、息の長い末脚によるまくり差しで快勝した、ランニングゲイルを例として説明を行いたいと思いますので、お付き合いの程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

なお、再現度の血統構成の説明に入る前に、非常に簡単ではありますが、再現度について高い評価を得るためのポイントをいくつかあげてみたいと思います。

 

・血統表の2代までの父母・祖父母6頭のキーホース(主導となった血や、有用なサポート行ったクロス)を再度クロスさせる事。

・仮にそれらのキーホース自身をクロスできなくとも、その父母のクロスにより血の流れを継続させる事。

・3代目以降に配された血の中でも、質の高い血のキーホースをおさえ、自身の血統表の中でそれらの名馬の再現を行う事。

・それら、キーホースの血の流れを汲んだ主導勢力を作成する事。

・それら、キーホースがしっかりと主導勢力と連動している事。

 

簡単ではありますが、この5項目がしっかりと守られていれば、それだけ再現度の評価が上昇すると考えて頂いてかまいません。

 

ランニングゲイル(ランニングフリー×ミルダンス by Mill Reef)牡・94生

有効世代数:9代目

 

Ⅰ 主:8 結:8 土:3 弱:3 影:2 集:5 質:4 再:6 SP:4 ST:4 特:0

合計:(47/60)点 クラス:1A

Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇

Ⅲ 距離適性

芝:S × M □ I 〇 C ◎ L 〇

ダ:S × M □ I □ C □ L ×

芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□

Ⅳ 開花率:低め 成長型:晩成

 

〇 短評

 

主導は、Nasrullah5×4の系列クロス。父であるランニングフリーに対して、母であるミルダンスはMill Reef-Nijinsky-Ballymosと質の高い血を重ね、紙面上においてはやや不釣り合いな配合だと言える。しかしながら、当馬の配合においては、Nasrullahを明確な主導とし、6代目までに存在するクロスである、Princequillo.Mahmoud.Pharamond.Stefan the Great.Hyperion.Papyrus.Djebel-Tourbillon.Menowは、全て主導であるNasrullahが4代目からクロスした事により、完了が9代目となるものの直接結合を果たしている。中間断絶クロスである、Discoveryのみ直接結合を果たせないものの、7代目に配されたMan o’War内のRock Sandを通じ、Papyrusを通じて間接的ではあっても主導と結合を果たした点は、この時代の配合としては驚嘆に値する。この明確な主導に先導され、自身において作成されたクロスが連動する様は、過去・現代のサラブレッドと比較してもなんら劣る事の無い、強固さだと言える。また、父母・祖父母6頭のキーホースとなっている、Nearco-Pharos(=Fairway)-Phalaris(Selene-Chaucer).Mahmoud-Blenheim.Sickle(=Pharamond).Mumtaz Begum-Mumtaz mahal-The Tetrarch.Tourbillon.Tetratema.Sundridge.Blue Larkspur.Black Toney.Gay Crusader-Bayardo.White Eagle-Gallinule.Teddy-Ajaxのうち、自身の中でクロスとなっていないのが、Tetratema.Blue Larkspur.Black Toney.Mumtaz Begumであるが、Tetratemaは父母のみでクロスし、その父がクロスとなっている点やMumtaz Begumの父母はしっかりとクロスしている点、欧州系のスピード・スタミナで血統を構成した自身の血統構成を鑑みると、さほどのマイナスとは言えない。また、自身の中で質の高い血である、Mill Reef.Nijinskyのキーホースを再度クロスさせ、そのスピード・スタミナを再現し(Mill Reefは全開している)、前述の通りしっかりと主導勢力と連動させている。こうしてみると、世界的な名血を重ねた有力な繁殖であると考えらる、母ミルダンスに対し、マイナー種牡馬であるランニングフリーを配した事は、普通に考えると理解に苦しむ部分はあるだろうが、紙面上においてはこの母にしてこの父ありというベストマッチに近い配合だと言えるでしょう。主導はスピード型のNasrullahであるものの、結合を果たした血のほとんどが質の高いスタミナ系である事。Mill Reef.Nijinsky.Ballymosの再現が良好である点から考えると、本質は芝向きの中~長距離向きのステイヤーで、本領発揮は12F以上だと言える血統構成である。

 

以上が、ランニングゲイルに対する血統考察になります。では、このランニングゲイルの血統構成を再現度に絞って、前記の項目に当てはめて考えてみましょう。

 

・血統表の2代目までに存在する父母・祖父母の血の再現度は良好でBlue Larkspur.Black Toney.Mumtaz Begum.Tetoratemaを除く、これら6頭を作り上げたキーホースの全てを再度クロスしている。

・Mumtaz Begumは微妙な世代ズレによりクロスしていないと判定しているが、その父母であるBlenheim.Mumtaz Mahalをクロスさせ、その血が系列クロスを形成している。同様に、Tetratemaは、その父The Tetrachをクロスさせている(出来得るならば、欲しいクロスではあるが、父母・祖父母6頭においてこのクロスを持つのは、父母サンマロのみである為、再現度についてはそこまでのマイナスとは言えない)。

・3代目以降に配された血の中でサーペンフロ.サンマロ.Nijinsky.Ballymosのスピード・スタミナに通じる血を再度クロスさせその再現に成功している。更に、新しく作成されたMenow.Djbel.Princequillo等のクロスは、祖先のキーホースの流れを汲んだクロスで、これらのクロスにより、それら祖先の血を、より良い血としている。

・主導たるNasrullahは、生かされた血の流れを汲んだ血であるとは言い難く、特に強調し全開させたMill Reefとは流れが違う点はややマイナス。ただし、全体的に見るとNearco-Pharos系の血の流れが強く、上記の血の連動性から考えてもそこまでのマイナスでは無い。

・主導たるNasrullahが前述の通り6代目のみにとどまらず、7代目までのキーホースと言われる重要な血をクロスさせ、主導との連動がはかられている。

 

こうして見ると、ランニングゲイルの血統構成は、全体的に非常によくできている内容であるだけでなく(ほぼ2Aと言えるレベル)、自身が抱えた質の高い祖先を、しっかりと再現している事がご理解いただけると思います。時代はサンデーサイレンス産駒全盛期の日本競馬でしたが、97年クラシックにおいて、当馬はまごうことなき主役の一頭であったと言えるでしょう。同期における血統構成によるライバルは、サイレンススズカ(2A)ただ一頭と言えるほどの完成度を誇れる血統でありました。いまでも無念に思うのは、見た目の血統のマイナーさから使い過ぎと言える2歳時の8戦、朝日杯における不利。皐月賞敗戦後のプリンシパルステークス。日本ダービー後の故障。復帰後のマイル~中距離路線。もし、彼の父がランニングフリーでは無く、サンデーサイレンスと書いてあれば、少しは違った世界が彼を待っていたのかもしれません。

 

簡単ではございますが、主要11項目における再現度についての説明を終わりたいと思います。まだまだ分かりにくい部分も多々あると思います(血統表を併記しない点等)。ですので、ご質問等あれば気軽にご連絡頂ければと思います。

 

今後とも競馬総合サイトG-ZERO共々、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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