もしも馬主になれたなら

もしも馬主になれたなら

もしも馬主になれたなら、思いの全てを歌にするまでもなく。

「マカヒキの幕引きは、わしが決めるんじゃ!」

とか言うだろう。

すいません。
前に誰かが言ってるかもしれませんが、私もそこに辿り着いたので、どうしても「マカヒキの幕引き」と言っておきたかったのです。

馬は馬主さんのもの。
前にも書いたと思う。
ファンがその進路をどうのこうのいうことはない。

スポンサーに、パトロンに、逆らえるものなどいない。
世の中の仕組みがそうなってない。

あなたがF-1ドライバーになりたいとする。
どこのチームに気に入られたい?
Hダ?Tタ?Mス?Fリ?Rル?
F-1ドライバーになるでは足らず、勝ちたい、ワールドチャンピオンになりたいと思ったらどこ?

俺は勝てなくてもFリでカーナンバー27!

こんなのは、野球選手になりたいとして、どこのチームにドラフト指名されたい?とかでもいいんだけどね。
まあ、野球と言われたらもちろん個人的には、「あのユニフォームを敵だと思って戦えません。」と言って、下位指名でも、育成登録でも広島東洋CARPだ。

フットボールで言えばバルセロナ、野球で言えば広島東洋CARP。
その土地の文化と歴史があって成立している。
これはなんというか運命だろう。
その土地が生まれ運ばれてきた先にあるもの。
バルセロナ、広島、その土地の歴史と文化を知らなければ、とてもファンだとは言えないだろう。
そこに敬意をはらえないとね。

金があれば野球チームだって、サッカーチームだって、F-1チームだって買える。
だがしかし、金を積んでも難しいのがダービー馬のオーナーになるということらしい。

「あの馬はダービー勝てるかな?」

「運命がない。」

うちの編集長の名言の中でも3本の指が入るくらいの、屈指の名台詞だ。

「運命がない。」

なんと重い言葉だろう。
どれだけ実力があっても、運命を超えるものがなければならない。

かつてF-1の世界で皇帝と呼ばれたミハエルシューマッハは、「運を引き寄せるのも実力のうち。」と言ったらしい。

運も実力のうちではない。
運を引き寄せるのも実力のうち。

両方正解な気がするね。
最も運がある馬が勝つと言われるダービー。
歴代のダービー馬を、ダービージョッキーを、運が備わっていたのか、運さえも引き寄せたのか?
そんなふうに見ると面白いかもね。

さて、今日のテーマである、「もしも馬主になれたなら。」だ。

もっと言うと、「もしも白毛の桜花賞馬のオーナーになれたなら。」なんだな。

誰も否定も肯定もしない、ただの素人の毛が生えた男の想像と妄想と聞き流してくれ。

もし、自分の持ち馬に白毛の桜花賞馬がいたら…
あなたならどうする?
その時点でダービーオーナーだったり、牡馬牝馬3冠馬オーナーだったりして、別にダービーじゃなくてもいいかなあ…牝馬だしオークスだなあ…となる?

もし、pirocksがそんな立場にいたら…
調べてないけれど、各国のダービーで白毛馬が出走したことがないのだとしたら…
桜花賞馬でなくとも、賞金が足りるならダービー挑戦したい。
白毛の運命が、ダービーという運命でどうなるのか?
もし…なら。初物尽くしで2度とない記録となり、歴史に永遠に刻まれる。
その誘惑に勝てないと思う。
自分のことしか考えてない、下衆かもしれないけれどね。

俺はかつて日本ダービーで天馬を見た。
その背中に翼がなければ、あんなに自由にターフを駆け回ることはできないだろう。
俺の心は汚れていて、翼は見えなかったけれど。

ダービーと天皇賞は日本競馬の歴史。
品と格が失われることはあってはならないと思うし、もし日本ダービーと天皇賞から品と格が失われるなら、私は日本競馬を見るのをやめるだろう。

地位は人を作るという。
立小便ができなくなるのが嫌なら、たいそうな賞をもらわなければよい。
人の上に立つには、それなりのものを求められる。

世界のホースマンに胸を張って、「私は日本ダービー、天皇賞勝ったジョッキーです。」と言える人であって欲しい。
腐っても鯛というし、腐ってもダービージョッキーの矜持を。

自分の服を自分で汚すような真似はして欲しくない。
いつでも、いつまでも憧れる存在であって欲しい。
子供達も見ているのだから。

競馬は人生の縮図と言われることもある。
オークス、ダービーと運命を感じるレースが近づき、新たに歴史に書き込まれることを思い、なんとも言えない不思議な気持ちになっているpirocksでした。

 

前日から降り続いた雨は、レースが始まる頃にはやんだ。
どんよりとした空の下でレースは行われていった。
レース1時間前に太陽が現れた。
気温も観客の熱気もどんどん高まっていく。

「彼女の真っ白なドレスが汚れては台無しでしょう?パドックで晴れ間が見えて、やはり彼女の一生に一度の舞台に相応しくなったなと思いました。」

レース後に彼はそう語った。

ソんなことを
ダービーのパドックで
シロ毛に跨った時に思ったそうだ

なんてね。

pirocks

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