ゲートが開く。
誰が出て行く?
リアライズシリウスが出てこない…
内から人気薄が逃げるか?
リアライズシリウスはどこに落ち着くか…
え?松山?ロブチェン?
これで勝負あった。
ここでpirocksが松山ジョッキーの心理を表してみよう。
パドック。
「ロブチェンどうよ?悪うなさそうじゃのう。」
返し馬。
「ええ感じやのう、調教師にお礼言わんといけんのう。」
「こんくらいやったら走りとうてウズウズしとんやないんか?」
「あんたえらい落ち着いとるのう。」
「さて、どがなレースするかいね?あんたが一番強いゆーのを教えちゃらんにゃあのう。」
ゲート。
「どうせみなイモヒキで様子見やろ?誰もいかんなら、腹括っていったろうかいの。」
ゲートが開く。
「ん?あんま出らんやった…」
「じゃが、津村も外からじゃ時間かかるやろ?」
「いくど、ロブチェン!」
道中。
「誰もつついてこれまあて。」
「キツイかもわからんが、あんたならやれる。」
三角から四角。
「ペースは落とさんで!このまま振りはらうど!」
「ついてこれるもんならきてみぃ!」
直線。
リアライズシリウスが並びかける。
少し前に出たか?
「うぉぉぉぉぉ!何人たりともロブチェンの前を走らせねぇ!」
「いけぇ!お前に勝てる馬はおらんのじゃ!」
みたいな感じ?
そんなことない?
もしくは…
津村「フフフフ…はははは!」
松山「何を笑ってるんだ!?」
津村「私の勝ちだな。今計算してみたが、後半は前半のペースに引かれて落ちる。貴様達の頑張りすぎだ。」
松山「ふざけるな!たかがリアライズシリウス一頭、ロブチェンで差し返してやる!」
津村「バカなことはやめろ!」
松山「やってみなければわからん!」
津村「正気か?」
松山「貴様ほど外すぎもしなければ、競馬に絶望もしちゃいない!」
津村「うわーっ!?中山の坂は始まっているんだぞ!」
松山「ロブチェンは伊達じゃない!」
そしてロブチェンを光が包み始め…
んなこともないか。
まあとにかく、リアルタイムで観てたけど…
ビビった。
若かったら鳥肌立ってたと思う。
いや、若かったら感じ取れなかったか?
10年に1度…100年に1度の皐月賞じゃないか?
え?皐月賞はまだ100年経ってない?
じゃあ向こう100年はこれを超えんやろ。
前半スローの前残りなんてのも見かけたが、ラップだペースだ言う前に見た目に誰もついていけんやったやろ?て感じ。
レコードだったのは、馬場が良かったからかなんか知らん。
じゃけど、ゲート開いてから最後まで勝負してたのは松山だけや。
あのスタートから先頭に立つまでは痺れた。
「俺が行く!俺が支配する!俺が勝つ!」
「これるもんならきてみぃ!」
非常に意志を感じた。
俺だけか?
俺が乳タイプだからか?
普通ならリアライズシリウスがごっつあんゴール決めるレース。
テンよし中よし終いよし?
テンはあんまり出んかった気もする…
逃げて差す!サイレンススズカのような逃げやったか?
サイレンススズカはその極限のスピードで他馬を寄せ付けなかったが、ロブチェンはスタミナ勝負に持ち込んで交わさせなかった気がする。
一昨年のジャスティンミラノも激しかったが、ロブチェンはそれ以上の激しさを感じた。
3歳春の時点でロブチェンを交わせる馬は、三冠馬の中にもいないんじゃないか?
ちょっと思い浮かばない。
残念ながら売上は前年より悪かったみたいだが、先週の桜花賞といい、熱いレースが続けば自然と売上は上がるのではないかと素人は思う。
あんなレースになるなら、現地で馬券を握りしめ、道が生まれるのを見たい。
どうにもネットだと、あのヒリヒリする緊張感が…
場外でもいい。
必死にかき集めた金が券売機に吸い込まれる。
結論はもうスマッピー、マークシートにある。
それでも躊躇する。
塗り間違いはないか?
塗り忘れはないか?
読み込ませてしまえば後戻りはできない。
発券ボタンを押せば想像する未来は固定され、それは紙に形を変える。
ポケットに未来を入れ、4コーナーまで歩いていく。
仲間以外の外野はいらない。
仲間はそばで1人にしてくれる。
馬と俺の間に何もいらない。
続々とゲートに吸い込まれていく馬達を見ながら、高校球児のように未来の入ったポケットを押さえる。
どんな未来も受け入れるしか、受け止めるしかない。
どんなに残酷な物語も…
ゴールを過ぎれば、敗者になっていたとしても、勝者に拍手。
生命を燃やし走るものへ敬意を欠いては無礼者となる。
そんなことを書いていると、競馬場はメインが終わった後が良いと思い出す。
最終が終わり、人がまばらになっていく。
俺と悪友は最後の一杯を飲み切るまでスタンドにいる。
今日のレース、馬券を語りながらコースを見ている。
遠くからきて余韻を楽しむ時間もない人。
歩いてきて酒場が開くまで暇な人。
飲み終え、そろそろ行くかと正門へ歩き出す。
夕日に背中を押され、府中の闇に混ざりに…
なんて綺麗?には終わらないよな。
「おいさん、最終どうする?」
「え?打たないの?なんかあるの?」
「多摩川がやりよるし、遅い開催の時期よ。」
「んじゃ多摩川行く?」
「おいさんが行かんなら、わしだけでも行くが?」
「そんな冷てぇことゆーなよ。俺は多摩川チャンピオンだぞ!」
「ほいじゃチャンピオン急ごうや。今ならあと3レースは入れる。」
「よし!行くぞ!」
てなもんである。
これが東京府中ホンキートンクブルース。
競馬と競艇と悪友と酒と煙草と博打。
何一つ上手くいくことなく、賭け、欠け続けた日々だった。
それでも幸せだったと…思うこともないこともないけれど、振り返れば楽しいことばかり。
苦しさや哀しさは外れた券と共に捨てた。
府中の風に舞ったか、多摩川の水に流れたか。
俺たちは黙々と嬉々と稼いだものをありとあらゆる形で納税した。
競馬、競艇、酒、煙草…
俺たちが偉いのは、お互いにも、アルコールにも、ギャンブルにも依存しないこと。
金がなければ、打たない飲まない遊ばない。
んじゃなきゃ長い間遊び続けられないんだろうな。
いつかロードムービーみたいに、オンボロ車で悪友と旅打ちしたいね。
ん?皐月賞の話どこいった?
これが素面で千鳥足、酔いどれの競馬だな。
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