「なんだ?お前も競馬好きなのか?日本の競馬は簡単だな。ブックメーカーが一つしかないから、迷わなくてすむ。」
とかなんとか、昔とあるバーで知り合ったスコットランド人がゆーてた。
片言気合英語で話していると、どうやら向こうはいくつかブックメーカー?胴元?がいて、それぞれにoddsが違い、買う時期でも違うとかなんとか…だった気がする。
なんせ、俺のは気合英語なんで、正確かどうかはわからんが…
ロックバーに言葉は多くいらないし、音楽と車とF1の話ばっかだったので、だいたいの単語が英語てか、向こうのもんなんで、気合があればなんとなく通じ合えた。
「あの女はjョンでいつまで商売するつもりだ!」とか、「クンタッチ、クンタッチ」てゆーけなんのことか思うたら、カウンタックのことで、「イタリアの車はデザインだけですぐ壊れるクソ」とか、「日本車も悪くないが、やはり英車が良い」とか、おまえはジェレミークラークソンかてくらい好き勝手ゆーてた。リアルトップギアなトークだった。
彼はスコットランドに誇りを持ち、イベントにはタータンチェックで現れ、この模様はそれぞれの家のものだとかなんとか、そういやジャッキースチュワートのチームのマシンにも、タータンチェックのラインがあったなとか。
ん?今軽く調べたらブックメーカーは胴元やなくて、ノミ屋なのか?日本と違うね。面白いね。
世界の競馬場巡りとかやってみたいわ。
文化も違うし、成り立ちも違うんやろなあ。
だいたい日本は、昭和前半ならいざ知らず、農耕馬とかも身近にいるわけじゃないしね。
イギリスとかスコットランドとかアイルランドとかは、いまだに身近に馬がいるんかな?
アメリカとかはまた馬との歴史と付き合い方が違うやろうしなあ。
まあとにかく、いろんなとこいって、いろんな人の話聞いてみたいね。
そういやあいつ、ビールばっかでスコッチとか飲んでんの見たことなかった気がすんな。
ついでと言っちゃなんだが、今日面白い話を聞いた。
営業職でいろんなとこを転々とした方で、長くいたのが大阪と新潟だったとか。
「君は競馬好きなんだろ?昔、新潟にいた頃は単身赴任だったから…新潟は夏に競馬するだろ?飲み屋の女の子とみんなで行くかてな話になってね。女の子に弁当作ってもらって、みんなで広げて食べながら…」
え?なんなのその最高に楽しそうなピクニック!
だって新潟て米どころは、酒どころってことは、水が綺麗なら女の子は言うまでもない。
日本海は魚も旨いだろうし…うまやらしい…違う羨ましすぎる!
夜汽車に揺られ港町。
灯りに誘われ暖簾をくぐる。
妙齢の女将が1人切り盛りする居酒屋。
日本海の魚に栃尾揚げ、地の日本酒が進まぬはずはない。
気がつけば客は俺1人。
「もう一杯だけいいですか?」
「もう暖簾は下げますけど、ゆっくりどうぞ。お客さん、遠くからいらっしゃったんでしょう?」
「わかりますか?」
「ここらで見かけない顔だし、訛りがないから…」
そう話しながら暖簾をしまう女将。
「申し訳ないし、女将さんも上がりなら一杯どうですか?いける口でしょ?」
「あら、逆に気を使わせて…それじゃ、せっかく遠くから来てくださったお客さんだから、いただきます。」
それじゃあと、お銚子を持って女将がカウンターに出てくる。
肴に合わせた、丁度良いぬる燗だ。
「こちらは観光ですか?」
「友の墓参りです。」
「そうですか…」
「東京で知り合ったんですが、里がこちらで。」
「それでわざわざ…どう言った関係か聞いても?」
「酒場で知り合いましてね、たまたま2人とも競馬が好きで…いつか俺の地元へ旅打ちしようぜ、なんて言ってたんですが、酒で身体を壊して地元へ…」
「そうなんですね。あら、そういえば今競馬やってますね。」
「良い男でした。墓参りついでに、果たせなかった約束の競馬に…1人ですがね、あいつの愛した新潟の競馬場てのを見たくて。」
「そうなんですね…私の父も好きでした。小さい頃に、肩車で、今日は動物園に行こうなんて…懐かしいな…私も久しぶりに行ってみようかしら?」
「そりゃ良い。競馬場は賭けなくたって、広々として緑が綺麗ですからね。」
とかなんとかやってるうちに…釣りバカ日誌風に言うとこの合体!
なんてことがあったりするんでしょ?
え?んなこたぁねぇて?
ま、そうですよね。
港町と女将もいいけど、新潟の直線1,000メートルてのは一度生で見たいね。
俺は賢いから知ってるのよ。ここで女と競馬は生がいいとか言うと怒られるのを。
だから言わない。俺賢い!
旅と競馬で良いねぇ。憧れるねぇ。
この騒動が終わったら、あなたも旅に出ませんか?
素敵なことがあるかも?
ま、昼は差せぇ!差してくれぇ!で、夜はさせぇ!させてくれぇ!とかなんとか叫んだりしてたりしてね。
(pirocks)
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