血統診断基準⑨血の集合について

血統診断基準⑨血の集合について

閲覧者の皆様、こんにちは。競馬総合サイトG-ZEROへようこそ。また、血統研究所へもようこそおいで下さいました。今後ひとまずの、血統研究所のコンテンツとして、主要11項目のそれぞれについて、優秀な配合をそれぞれピックアップしていきたいと思います。今回は血の集合の項目についてです。

 

引き続き、血の集合と一口に言っても、なかなかに分かりにくい部分があると思いますので、今回も実馬を例に上げて、説明を行いと思います。では、今回はグレード制採用後の日本馬として、初めて海外重賞である、香港国際カップ(当時、国際GⅡ)を制覇した、フジヤマケンザンを例として説明を行いたいと思いますので、お付き合いの程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

なお、フジヤマケンザンの血統構成の説明に入る前に、非常に簡単ではありますが、血の集合について高い評価を得るためのポイントをいくつかあげてみたいと思います。

 

・ある程度明確な主導を持ち、影響度バランス上強調された部分を作る事。

・その明確に強調された部分に、自身の主導勢力を含む事。

・その明確に強調された部分に、自身を構成する主要なクロスを存在させる事。

・できるならば、それらの血が6代目までに存在し、他のブロックに存在するクロスよりも強い影響を持たせる事。

 

簡単ではありますが、この4項目がしっかりと守られていれば、それだけ血の集合の評価が上昇すると考えて頂いてかまいません。

 

フジヤマケンザン(ラッキーキャスト×ワカスズラン by コントライト)牡・88生

有効世代数:10代目

 

Ⅰ 主:8 結:7 土:3 弱:2 影:3 集:6 質:4 再:5 SP:5 ST:3 特:0

合計:(46/60)点 クラス:1A

Ⅱ 日本適性:〇 成長力:〇

Ⅲ 距離適性

芝:S □ M ◎ I 〇 C × L ×

ダ:S □ M △ I × C × L ×

芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□

Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

 

〇 短評

 

主導は、Fair Trial6・6×5・6の系列クロス。次いで、Sir Gallahad(=Bull Dog)7・8×6・7、Hyperion6×7・7。この三者はそれぞれ、St.Simon.Bay Ronaldで結合を果たしている。また、6代目までに存在するPharosは主導の父であるFairwayと同血であり、ApronはSan-in-Lawで直接結合を果たしている。この連動の強固さは、なかなかのもので、結合完了が9代目となるものの、7代目以降のクロスの連動性も高く、血統を構成する屋台骨である主導・結合に関しては、当馬の配合は優秀だと言って差し支えない。また、Polymelus12連からくる土台構造の弱さだが、血統全体でBay Ronaldの血の流れを維持している為にさほどのマイナスとは言えないだろう。また、スピード勢力は非常に強靭で、主導たるFair Trial自身のスピードがLady Josephine-Sundridge.The Tetrachのアシストから見て、その引き出しに成功すれば、非常に豊かなスピードを発揮できると予測できる。反面、惜しまれるのはスタミナ勢力の弱さで、Sir Gallahad(=Bull Dog)が、その母Plucky Liegeの欠落の為に明確なスタミナ勢力として機能しておらず、主としてApron-San-in-Lawだけである点で、スピード勢力の豊富さと比較して貧弱であると言わざるを得ない。したがって、距離に明確な壁があるタイプだと言える。しかしながら、主要な血を強調された母父であるコントライトへと集合させ、5代目以内にクロスが出来ないアウトブリード配合でありながら、比較的早期な開花を望めるタイプだとも考えられ、マイナーな血統構成でありながら、秘めた素質は一流だと言える。本質は芝向きのマイルタイプで、距離は10Fまでなら安定してこなせる。

 

以上が、フジヤマケンザンに対する血統考察になります。父母ともに非常にマイナーな見た目の血統構成だと言われる配合ですが、その内容を10代目まで遡って精査すると、シンプルかつ非常に理にかなった内容だと、ご理解いただければ幸いです。国内においては、やや距離適性外のレースを使われる事も多く、GⅠ勝ちを収める事が出来なかったものの、国際GⅡとはいえ香港国際カップを制すに十分足り得る血統構成だと言えるでしょう。では、このフジヤマケンザンの血統構成を血の集合に絞って、前記の項目に当てはめて考えてみましょう。

 

・Fair Trialを明確な主導とし、5代アウトクロスの外交的な配合であるにもかかわらず(3-1-4-2)と影響度のバランスも良く、母父であるコントライトをしっかりと強調している。

・強調されたコントライト内において、5代目における自身唯一のクロスとなる、主導のFari Traialを配している。

・他の主要なクロスである、Pharos.Sir Gallhad(=Bull Dog).Apronを配している。また、Hyperionが存在しない点は明らかにマイナスだが、その父Gainsboroughを7代目に配したのは幸運。

・前述の通り、Pharosこそ6代目にあるものの、Sir Gallhad(=Bull Dog)が7代目、Apronが8代目というのは、マイナス。ただし、5代アウトクロスの外交的な配合である事を考えると、さほどのマイナスでは無いと考えて良い。

 

こうして見ると、フジヤマケンザンの血統構成は非常に優れた内容を示しており、香港国際カップ制覇に十分ふさわしい内容だと言えるでしょう。本質的には、マイル前後での決め手に優れた内容だと言える血統構成ですが、母方の血のイメージからか(三代母ワカクモに自身の母父であるコントライトを配したのが、トウショウボーイのライバル、テンポイント 2A)、Sir Gallhad(=Bull Dog)の影響による粘るタイプのスピードの主張が強く出た為か、10F以上のレースを使われる事が多く、本来の適性とはやや離れた競馬を使われていた感が否めません(ただし、ミオスタチン遺伝子がT/T型で出たいた場合は、10F前後へと適性をシフトする点は指摘しておきます。そして私の認識が間違ていなければ、この血統構成の場合T/T型になると考えられます)。この時代は急速に国内の血統が変わり始めた時代の嚆矢で、当時であっても古めかしさを感じるフジヤマケンザンの血統構成ですが、一皮むけば非常に理にかなった内容であると言えます。また、現代の配合と比較して、無理やり前面でインブリードを作りそこに血を集合させる配合とは、一線を画す配合だと言えるでしょうか(それ自体を否定するつもりはありません。よほど危険なクロスを作らなければ、配合のひとつの形だとは思います)。最後に、蛇足ではありますが、こうした配合馬が活躍する競馬は胸が躍りますし、こうした血が残る日本競馬であればそれに越したことはありません。

 

簡単ではございますが、主要11項目における血の集合についての説明を終わりたいと思います。まだまだ分かりにくい部分も多々あると思います(血統表を併記しない点等)。ですので、ご質問等あれば気軽にご連絡頂ければと思います。

 

今後とも競馬総合サイトG-ZERO共々、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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