血統診断基準⑥土台構造項目について

血統診断基準⑥土台構造項目について

閲覧者の皆様、こんにちは。競馬総合サイトG-ZEROへようこそ。また、血統研究所へもようこそおいで下さいました。今後ひとまずの、血統研究所のコンテンツとして、主要11項目のそれぞれについて、優秀な配合をそれぞれピックアップしていきたいと思います。今回は土台構造の項目についてです。

 

引き続き、土台構造と一口に言っても、それは何か?となると思いますので、今回も土台構造の項目に対して、優秀な配合を例に上げて、説明を行いたいと思います。では、今回は皆様の記憶にも新しい、4歳秋のエリザベス女王杯の制覇に始まり、コックスプレート制覇、宝塚記念・有馬記念と春秋グランプリ制覇を成し遂げた、リスグラシューを例にとって説明を行いたいと思いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

なお、リスグラシューの血統構成に入る前に、非常に簡単ではありますが、土台項目について高い評価を得るためのポイントをいくつかあげてみたいと思います。

 

・ある程度明確な主導勢力を持ち、その主導の血の流れを汲む血を土台構造とする事。

・連数は多い方が良い。過去の名馬はSt.Simon-Galopinの土台構造を30連以上もっていました。現代的な名馬において、そこまで望むべくは無いが、20連以上は欲しい所。

・土台構造は単一でなくても良いが、主導勢力の血の流れを汲むものより多すぎても、バランスが悪くなる為、中心となる土台構造とサポートする血の数には注意が必要(ただし主導勢力と直結する場合はさほどのマイナスにはとらなくて良い)

・血統表の4代目を基準とし、血統表を16ブロックにわけた上で、そこに土台構造となる血が存在する事(その流れを汲む血を含む)。

・土台構造という言葉から、囚われやすくあるが、血統表の9代目以降に存在するよりも7~8代目程度で影響を発揮する方が望ましい(過分なマイナスには取らないという意味で、プラスにはとる)。

 

簡単ではありますが、この5項目がしっかりと守られていれば、それだけ土台構造の評価が上昇すると考えて頂いてかまいません。

 

リスグラシュー(ハーツクライ×リリサイド by American Post)牝・14生

有効世代数:9代目

 

Ⅰ 主:7 結:5 土:4 弱:2 影:3 集:5 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0

合計:(42/60)点 クラス:3B

Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇

Ⅲ 距離適性

芝:S × M 〇 I 〇 C □ L ×

ダ:S × M □ I △ C × L ×

芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□

Ⅳ 開花率:普通 成長型:遅め

 

〇 短評

 

主導はNorthern Dancerを伴うLyphard4×4・5。祖父母であるNearctic.Natalmaが途中断絶するものの、Court Marhialが系列クロスを形成し、主導たるLyphardの主導であったPharos(=Fairway)の血の流れを汲んでいる点や、結合面においてマイナスに作用したものの、父内4代目に存在するHail to Reason-Turn toが、母内において7代目に存在する為に、世代ズレをおこした為(クロス間が2代以上あく場合のクロス効果はやや疑問がある為に、ひとまずクロスとして取り扱いません。これが世代ズレという考えです)、結果的にその明確性にプラスに働いたのは幸運だと言える。惜しむらくは前述の世代ズレと、そこからくるWar Admiral-Man’o WarやBlue Larkspur等の米系の取り込みの弱さだが、当馬の魅力は主導たるLyphardの生かし方にある。Ksarこそ落失するものの、スピードのAlmahmoudや、Hurry Onが生きた為にスタミナ勢力となったCourt Martialがしっかりと系列クロスを形成した点や、Biribi-RebelaisやLa Farina等、きめ細かくその血を生かした点がそれだと言える。更に、土台構造がかなり強固で、Pharos(=Fair Way)が17連、Gainsborough21連、Selene15連と、ややバランス的に不満が残るものの、血統の16ブロック中14ブロックにおいて上記の血の流れがあり、かなり堅牢な状態を作り上げているといえる。以上の点を踏まえると、4代目から明確な主導を配した為に、能力の片鱗を見せるのは早いものの、完全な開花にはかなりの鍛錬が必要な内容だと言え、土台構造の堅牢さから、開花した際には安定した走りを見せる可能性を秘めているといえるだろうか。本質的には自分で競馬を作るのに向き、適性は芝向きの中距離タイプ。

 

これが、リスグラシューの血統構成に対する考察になります。Hail to Reasonの世代ズレがまず目につく血統構成ではありますが、この世代ズレによって、主導であるLyphardの明確性がより強調され、7~9代目からくるPharos(=Fairway).Gainsborough.Seleneが形成する土台構造からの血の流れに、かなりの良さがある事がわかって頂けると思います。2歳時から活躍し、安定感こそあるもののGⅠレベルのレースにおいては、いまひとつ突き抜ける事が無かった当馬ですが、4歳秋からの成長力や安定感は、主導内の血の生かし方の良さや、土台構造の堅牢さに解答を求めても不思議はないでしょう。では、このリスグラシューの血統構成を土台構造に絞って前記の項目に当てはめて考えてみましょう。

 

・米系の取り込みが弱いもののLyphardを明確な主導とし、Lyphard自身の主導であるPharos(=Fairway)を土台構造にしている。単一の土台構造としてはやや弱いものの、Gaindsborough.Seleneとしっかりとサポートされている。

・それぞれの連数が、Pharos(=Fair Way)が17連、Gainsborough21連、Selene15連と数的には十分に満たしていると考えて良い。

・自らの血の流れであるPharos(=Fairway)よりも、Gainsboroughがやや多い点はマイナスだが、Seleneも含め、この三者が、しっかりと主導内に存在している。

・血統の4代目を基準とした16ブロック内においてPharos(=Fairway)の流れを汲まないブロックは、父母内My Bupersのみで、残りの14か所はPharos(=Fairway)-Phalarisを持ち、残りの1ブロックはGainsboroughの血の流れを汲み連動させている。これはかなりのレベルと考えて良く、配合の方向性が正しい事も示している。

・土台構造を形成するPharos(=Fairway)の、主な代数は8代目が多く、この部分は比較的良好。ただし、サポートするGaindsborough.Seleneは9代目が主体となっているのがやや惜しまれる。

 

こうして見ると、リスグラシューの血統構成は、初期五十嵐理論を支えたSt.Simon-Galopinの土台構造が10代目以降に遠ざかり、それに代わると考えられる、Nearco.Hyperion.Blenhimへの過渡期の配合としては十分に強固な土台構造を形成していると考えられます。St.Simon-Galopinの土台構造に支えられた80年代の名馬達とも比較して劣る事のない内容で、当馬が4歳秋以降に開花してからの安定感は、この強固な土台構造に支えられたと言って差し支えないでしょう。つまり、戦績に疑いない名馬の血統構成だと言えるでしょうか。

 

簡単ではございますが、主要11項目における土台構造についての説明を終わりたいと思います。まだまだ分かりにくい部分も多々あると思います(血統表を併記しない点等)。ですので、ご質問等あれば気軽にご連絡頂ければと思います。

 

今後とも競馬総合サイトG-ZERO共々、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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