血統診断基準⑩血の質について

血統診断基準⑩血の質について

閲覧者の皆様、こんにちは。競馬総合サイトG-ZEROへようこそ。また、血統研究所へもようこそおいで下さいました。今後ひとまずの、血統研究所のコンテンツとして、主要11項目のそれぞれについて、優秀な配合をそれぞれピックアップしていきたいと思います。今回は血の質の項目についてです。

 

引き続き、血の質と一口に言っても、なかなかに分かりにくい部分があると思いますので、今回も実馬を例に上げて、説明を行いと思います。では、今回は朝日杯を制し、繰り上がりでこそありますが、ジャパンカップを3歳時に制覇したローズキングダムを例として説明を行いたいと思いますので、お付き合いの程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

なお、ローズキングダムの血統構成の説明に入る前に、非常に簡単ではありますが、血の質について高い評価を得るためのポイントをいくつかあげてみたいと思います。

 

・父母や祖父母の血の質(血統評価)が高い事。

・ある程度明確な主導を作り、その主導の質が高い事。

・質が高い血をクロスさせ、それらを主導と連動させしっかりと生かす事。

・牝系の血の質を特に重視し類題に重ねられた種牡馬の質が高い事。

・血統表に存在する過去の質の高い名馬の血を、自身のクロスで再現する事。

 

簡単ではありますが、この5項目がしっかりと守られていれば、それだけ血の質の評価が上昇すると考えて頂いてかまいません。

 

ローズキングダム(キングカメハメハ×ローズバド byサンデーサイレンス )牡・07生

有効世代数:9代目

 

Ⅰ 主:6 結:9 土:3 弱:2 影:3 集:5 質:5 再:6 SP:4 ST:4 特:0

合計:(47/60)点 クラス:1A

Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇

Ⅲ 距離適性

芝:S × M □ I ◎ C 〇 L □

ダ:S × M × I □ C △ L ×

芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇

Ⅳ 開花率:低め 成長型:遅め

 

〇 短評

 

前面で、Mill Reef5×4、Northern Dancer5・5・7×5のクロスを作るものの、両者とも系列クロスの形成ができず、実質的主導は、両者が呼び水となったNasrullah6・7・8・8×6・7及び、Almahmoud7・7・9×5・7の系列クロス。サンデーサイレンス内のAlmahmoudの主張がやや強い為、主導としては不明瞭な配合だが、呼び水となったMill ReefとNorthern Dancerは血統全体で16連あるNearcoで、NasrullahとAlmahmoudは、同じく10連あるBlenheimでそれぞれが非常に強固に連動を果たしている。また、父産駒において、本来結合しにくい父父内6代目Count Fleetや、現代的な血統では孤立しがちなPrincequillo-Prince Rose、Djebel-Tourbillon-Ksarが、Mill Reef内に存在し、そのスピード・スタミナをしっかりと連動させた点も評価に値する。この連動の強固さが、ローズキングダムのスピード・スタミナの根源だと考えて差し支えないだろう。また、7代目以降の血の生かし方や連動性も高く、それだけに60というクロス種を加味すると、開花に時間がかかり、能力の全開を図るためには相当の鍛錬が必要なタイプ。本質的にはスタミナ優位の配合で、本領発揮は芝の10F以上だが、生かされた血の内容から距離適性の幅は広いタイプだと考えられる。

 

以上が、ローズキングダムに対する血統考察になります。では、このローズキングダムの血統構成を血の質に絞って、前記の項目に当てはめて考えてみましょう。

 

・父母、祖父母までの血の質を見ると、極めて高いとは言えない。ただし極端にバランスの悪い配合は無く平均点にはあるか。

・明確な主導は無いが、Almahmoud.Nasrullahがひとまずの主導と考えられる。この両者の血の質は決して高くないが、連動した血の質は非常に高く、この部分を加味するとひとまず良好。

・血統全体の結合の肝となっている、Mill Reef(3A).Northern Dancer(1A)をはじめ、7代目以降の血により両者の再現が非常に良好で、それらの血の質も高く、非常にきめ細かい配合となっている。

・牝系を見ると5代目からSecretariat(3A)-Lyphard(3B)-Shirley Heights(1A)-サンデーサイレンス(2A)と非常に質が高い。Lyphardがやや落ちるものの、Lyphardの配合において不備となっていた部分が、しっかりと解決されている点を加味すると、牝系の血の質は非常に高いと言える。

・自身が抱えた質の高い祖先である、牝系に抱えた前述の種牡馬群の再限度は非常に良好。また、父キングカメハメハが持つMr.Prospector(1A)や、決して質が高くは無いものの良質なスタミナを抱えた、母父マンファスの内のBlakeney(3B)の再現も良好。これらの質の高い血を、ローズキングダムの配合では、しっかり再現し、ほぼ全開にしている。

 

こうして見ると、ローズキングダムの配合は、明確な主導を持たない部分や、やや煩雑な血統構成ではあるものの、質の高い血に支えられた、名馬の血統だと言えるでしょう。また、こうした欧州系のスタミナを存分に生かした配合において、不足しがちなスピードの補給を、母父であるサンデーサイレンス内のAlmahmoud.Pharamond(=Sickle)がアシストし、特にAlmahmoud内の血の生かし方は、完璧と言えるほどの生かし方になっています。このスピードが国内競馬に対応する事ができた理由の一つだと言えるでしょうか。当馬の戦績から見て、更に良さが出るであろうと予測できる、古馬になっての成長が見られなかったのは非常に残念ですが(個人的には、世界的に見ても近年トップクラスの配合で、欧州馬の一流と比較しても決して見劣りしない配合だと言えます。無事な開花を果たして、欧州遠征する姿を夢想したものです)、それだけの素質を秘めていたと言えますし、父キングカメハメハの最高傑作をあげろと言われれば、自分は迷いなく当馬の名を上げるでしょう。

 

簡単ではございますが、主要11項目における血の質についての説明を終わりたいと思います。まだまだ分かりにくい部分も多々あると思います(血統表を併記しない点等)。ですので、ご質問等あれば気軽にご連絡頂ければと思います。

 

今後とも競馬総合サイトG-ZERO共々、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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