繁殖牝馬考察 ラヴズオンリーユー

繁殖牝馬考察 ラヴズオンリーユー

今回の血統研究所は、繁殖牝馬考察と銘うって、繁殖牝馬の考察を行いたいと思います。まず、繁殖牝馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる仮想配合(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。

では、今回は、ラヴズオンリーユーです。

ラヴズオンリーユー(ディープインパクト×ラヴズオンリーミー by Storm Cat)牝・16生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:7 結:7 土:2 弱:3 影:2 集:5 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:1(産駒複数活躍繁殖牝馬)
合計:(41+1/60)点 クラス:3B+
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:遅め

〇 短評

リアルスティール(3B+)全妹。主導は、Northern Dancerを呼び水にした、Almahmoudの系列クロス。次いで、Pharamond(=Sickle)。また、Somethingroyal-PrincequilloがPolymelusを通じ、当馬の主要な血を傘下におさめたNorthern Dancerへと血を集合させている。また、Native Dancerの単一クロスが結合をアシスト。土台構造こそやや弱いものの、全体的な血の連動性は高く、これといった弱点も無い安定性のある血統構成。本質は、全兄弟の成績通りの、芝向きマイル~中距離タイプ。主導内の生かし方が非常に良く、その充足率の高さから成長力を秘め、早期のスピード対応自体は可能なタイプでありながら、やや外交的な配合である点と、61というクロス種から考えて、ゆっくりと成長するタイプ。

以上が、ラヴズオンリーユーの血統評価となる。これが繁殖牝馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思う。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、まず上げていこう。

・スピード系

Almahmoud.Pharamond(=Sickle)

・スタミナ系

Somethingroyal

・バランス系

Northern Dancer

これらを踏まえて、種牡馬側に求める条件を考えてみたいと思う。

・自身は、Northern Dancerを呼び水に、Almahmoudを主導とした配合だが、産駒においてはより明確な主導を作る必要がある。具体的にはその生かし方が良いLyphardか、位置に良さがあるStorm Birdが候補にあがる。

・スタミナの確保の為に、Somethingroyalの再利用を検討したい。ただし結合が弱くなりがちな血ではあるので、その部分においては注意が必要。具体的にはStorm Catを呼び水にするか、外交的な配合を作りあげ、有効世代を10代目とし、結合をはかる方法が考えられる。

・また、自身では眠ったままのCrepelloのスタミナを利用する点も考えたい。産駒の大多数はNorthern Dancerがクロスすると考えられるが、その意味においても結合を果たしやすいCrepelloのスタミナは有効に作用しやすい。

・スピードの確保の為に、Nashua-Nasrullahを利用したい。また細かい血であればPetition.Gold Bridgeのスピードを隠し味的にクロスさせる方法は有効だと言える。

・欧米系の血が入り混じった配合である為に、その結合をはかる意味においてHail to Reasonのクロスは、必要不可欠だと言える。サンデーサイレンスクロスでも構わないが、その場合は、主導の明確性に影を落とす可能性がある点は留意が必要。

このような繁殖牝馬としての特徴を持つ、ラヴズオンリーユーだが、アトランダムな配合においては、サンデーサイレンスクロスが生じる配合が大多数となると考えられる。その場合においても自身の血の流れであるAlmhmoud.Hyperion-Gainsboroughの血の流れは損なわない為、産駒は比較的安定した成績を残せる可能性が高い繁殖牝馬だとは言えるだろう。ただし、Mr.Prospectorをクロスさせ、強い影響を持たす配合に関しては、血の結合面においては有利だと言えるが、血の流れが異なる為、ややちぐはぐな産駒が出る可能性を指摘しておきたい。Miesque直系の牝系であり、その意味においても、後継になるような産駒をだして欲しいと切に願うものである。

仮想配合

(ハービンジャー×ラヴズオンリーユー by ディープインパクト)-・-生
有効世代数:10代目

Ⅰ 主:6 結:8 土:3 弱:3 影:3 集:6 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(46+1/60)点 クラス:1A+
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C ◎ L □
ダ:S × M △ I △ C × L ×
芝適性:◎ ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:遅め

〇 短評

主導は、系列クロスを形成したLyphard5×5。ただし、その父Northern Dancerも5代目から影響を及ぼした点はマイナスであり、更にHail to Reason7×5の影響も強いのも見逃せない事実ではある。しかしながら、主導内の生かし方は非常に良好で、Hurry Onを伴うCourt Martialや、Ksar.Birbi等のクロスもおさえ、その充足率は非常に良好。また、母が抱えたSometingroyalを再度利用し、Sir Ivor.Crepelloと共にスタミナの核とし、10代目になるものの、結合を果たした点は見るべき部分である。また、6代目からNashuaクロスを作成。7代目においてもPetitionが隠し味的にスピードを補給。血統全体において、スピードの再現も良好。更に、有効世代が10代目となる外交的な配合でありながら、これといった弱点も存在せず、影響度バランスも(6-9-9-7)と安定感があり、血の集合も母父ディープインパクトに集め、それらの部分においても隙の少ない血統構成だと言える。本質は、開花率こそ低いものの、芝向きの中~クラシックタイプ。ダートは不得手で、重馬場はこなせる程度。長く脚を使えるタイプに育つ可能性を秘める、名配合だと言えるか。

 

最後になりましたが、これがラヴズオンリーユーの、繁殖牝馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

(taku.O)
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