繁殖牝馬考察 ジェンティルドンナ

繁殖牝馬考察 ジェンティルドンナ

今回の血統研究所は、繁殖牝馬考察と銘うって、繁殖牝馬の考察を行いたいと思います。まず、繁殖牝馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる仮想配合(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。

では、今回は、ジェンティルドンナです。

ジェンティルドンナ(ディープインパクト×ドナブリーニ by Betorilni)牝・09生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:6 結:5 土:4 弱:3 影:2 集:3 質:4 再:5 SP:3 ST:3 特:0
合計:(37/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

〇 短評

主導は、Northern Dancer5×4・5を伴う、Lyphard4×4。主導傘下のNearco.Almahmoud.Court Martial.Native Dancer。次いで、Petitionの影響が強い。この配合の限界点はこの部分で、主導勢力であるLyphard-Northern Dancerの位置の悪さ及び、影響度バランス上(3-6-8-6)と強調された母父内Danzigがクロスせずともその生かし方が良く、Lyphardとの間に齟齬をきたし、もどかしく開花率の低いタイプの配合となりがちな点である。反面、前述のDanzigをはじめとし、生かされた血の良さにはかなりのものがあり、血の質は比較的高い配合で、底力勝負に向く内容で、スピード・スタミナのバランスが良好となった点である。ただし、これら結合の弱さが残るのもまた事実であり、競走馬としてはややちぐはぐな面を持つ事は指摘しておきたい部分である。本質は、芝向きの中距離タイプであり、ダートや重馬場はこなせる程度。

以上が、ジェンティルドンナの血統評価になります。これが繁殖牝馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思います。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、まず上げていきましょう。

・スピード系

Almahmoud.Pharamond(=Sickle)

・スタミナ系

Court Martial(Hurry On).Northern Dancer

・バランス系

Lyhard(Court Martial).Petition

これらを踏まえて、種牡馬側に求める条件を考えてみたいと思います。

・自身がNorthern Dancerが強い血統である為に、Northern Dancerが支配的な血統である事

・Lyphard.Danzigの生かし方が良い為、これの継続を狙いたい。ただし、Lyphardを再利用する場合はNorthern Dancerの位置に気を使わなければ、母と同じ轍を踏む事になる点には注意する事。

・前述の理由からDanzigを主導とするのは一考の価値がある。

・スピード勢力として自身では世代ズレを起こしたPharamond(=Sickle)を補正しAlmahmoudと共にHaloのスピードを核としたい。また自身では眠ったままのNever Bend-Nasrullahを活用するのも悪くない。

・スタミナ勢力としては自身のスタミナの核となったCourt Martialを再利用したい。また、自身では眠ったままのCrepello内の生かし方が良い事に注目して、このクロスを作成し有効活用したい。

・抱えた血を見ると欧米系が混合した血統であり、Hail to Reasonをクロスさせ米系の連動のアシストをはかる事は、必須だと言える。

このような繁殖牝馬としての特徴を持つジェンティルドンナですが、アトランダムな配合においては、自身が抱えた位置の悪さを、そのまま引き継いだり、Northern Dancerのみをクロスさせ、その仔世代を利用せず、もどかしいタイプとなる配合が多くなると考えられます。また、サンデーサイレンスクロスは、クロス内において中間断絶を多用する為に、当馬においては重さを強調すると考えられる為、あまり有効とは言えないでしょう(ただしこれは自前でHail to Reasonを形成できるエピファネイア等の種牡馬を配する場合は別であります)。では、どういった配合が良いのでしょうか、僭越ではありますが、仮想配合を考えさせていただきました。

※そのような方がいらっしゃるとは思いませんが、関係者その他類する方への問い合わせ等は一切行わないでいただきたいと思います。

(ハービンジャー×ジェンティルドンナ by ディープインパクト)-・-生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:9 結:8 土:3 弱:3 影:3 集:5 質:4 再:6 SP:4 ST:4 特:0
合計:(49/60)点 クラス:2A
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:◎
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C ◎ L 〇
ダ:S × M □ I 〇 C □ L ×
芝適性:◎ ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:遅め

〇 短評

主導は、Danzig4×4の系列クロス。主導傘下のNorhern Dancer-Natalma-Almahmoud。次いで、Northern Dancerの仔Lyphard。Crepello.Hail to Reasonの影響が強い。また中間断絶クロスであるがSir Ivorの影響も無視できない強さとなっている。主導のDanzigとLyphardは当然ながらその父Northern Dancerで強固に結合を果たし、両者とも主導内の血の生かし方が良好で、前者はPetition.Fighting Fox.Heliopolis.War Admiralを、後者はCourt Martial.Hurry On.Ksarと、非常に主導内充足率が高い配合となっている。近年ではなかなか見られないレベルだと言えるだろう。スピード勢力はNatalma-Almahmoudを中核に主導勢力内の血である為、そのスピードをストレートに伝えている。スタミナ勢力は、Sir Ivor.Crepelloが明確なスタミナの核として機能し、主導と直接結合を果たしている。8代目以降のWild Risk等の欧州系の結合にやや弱さがあるものの、米系の連動は、Hail to Reason.Sir Ivorのアシストもあり非常に強固であり、ここまで隙の少ない血統構成は、なかなかお目にかかれないレベルだと言えるだろう。本質は芝向きの中~長距離タイプ。なれれば米系の結合具合からダートもこなせる。重馬場はこなせる程度だが、この配合の能力の高さは世界的なレベルであり、能力の違いでこなす可能性は否定できない。まさにこの父にしてこの母と言える配合で、一度は見てみたい名配合だと言えるだろうか。

最後になりましたが、これがジェンティルドンナの、繁殖牝馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

(taku.O)
1日1クリック!皆さん、応援よろしくお願いしますm(__)m


Advertisement

繁殖牝馬考察カテゴリの最新記事