私的名馬選 Vol.16 コスモバルク

私的名馬選 Vol.16 コスモバルク

閲覧者の皆様こんにちは。今回の血統研究所は、私的名馬選と銘打って、個人的に面白い配合だと思える名馬達を、成績にとらわれず、皆様に紹介をしていきたいと思います。

では、今回は、道営のエースと呼ばれ、地方競馬である北海道競馬に所属しながら、認定厩舎制度第一号となり、中央競馬に挑戦をし続け、クラシック3冠競争に全て出走を果たし、遂には06年海外遠征において、シンガポール航空インターナショナル(G1)を制覇した、コスモバルクについてです。

 

コスモバルク(ザグレブ×イセノトウショウ by トウショウボーイ)牡・01生
有効世代数:10代目

Ⅰ 主:6 結:6 土:3 弱:2 影:1 集:6 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め

〇 短評

主導は、その父系であるNearcoから継続させたNasrullah7・7×5・6・7の系列クロス。次いで、Alibhai7×5の系列クロス。更に、その父Hyperion7・7・7・8・8・8×5・6・7・7の系列クロスや、King’s Bench6×7の系列クロスで血統を構成。従って主導としては不明瞭な配合であり、ここが当馬の血統構成の限界点を端的に示している。とは言うものの、これらクロスは、Chaucerや、土台構造を20連で形成したPharos(=Fairway)で強固に連動しており、この連動性が当馬の能力の源泉となっている。母であるイセノトウショウは、トウショウボーイ-ビックディザイア―-キタノカチドキと、3代続けてPrincely Gift系の種牡馬を配された特殊な血統構成をしており、当馬の配合においても、母の父であるトウショウボーイを圧倒的に強調し、Nasrullahを主導に、Hyperionがそれをアシストすると言う、その血を生かした内容となっている。惜しむらくは、Man’o War.Blue Larkspurをはじめとした、米系の連動性がはかられていない点で、将来的な成長力にはやや疑問馬残る点か。本質は、芝向きの中距離タイプで、ダート・重馬場はこなせる程度。また、前述の通り影響度バランスを(2-0-14-1)とし、強調されたトウショウボーイへと血の集合が見られる事から、仕上がった際には鮮やかな競馬を見せる可能性を秘める点は指摘しておきたい。

 

このような血統構成を持つコスモバルクであるが、父ザグレブが、当馬とコスモサンビーム(3B)が活躍したのみで、失敗種牡馬の烙印をおされ、生まれ故郷である愛国へ売却された点や、様々な事情から種牡馬入りすることはかないませんでした。確かに、仮に種牡馬入りしたとしても、Hail to Reasonを一連抱え、ノンサンデーサイレンス、ノンMr.Prospectorという血統構成から間口の広い種牡馬であると言えますが、反面自身の主導を構成した、Nasrullah主導を継続しやすいメリットはあるものの、世代が一代後退する点を踏まえると、アトランダムに配合していては、スピードに良さがある産駒を輩出する事は難しかったと言わざるを得ない血統構成であります。そこで、いったんNasrullahから視点を変えて、父であるザグレブが強調していたNureyevの血に着目し、こうした配合なら、というものを考えてみました。これがせめてもの種牡馬コスモバルクの可能性の示唆になればと思います。

 
(コスモバルク×ハッシュ by コマンズ)-・-生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:7 土:3 弱:3 影:3 集:3 質:4 再:6 SP:5 ST:3 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(45+1/60)点 クラス:1A+
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M ◎ I 〇 C × L ×
ダ:S △ M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:高め 成長型:早め

〇 短評

母は、中央4勝。主導は、Natalma-Almahmoud-Mahmoudと継続させたNureyev4×4の系列クロスで明確。次いで、Nasrullah6・7・8・8・8×7・8・8や、Petition7×5・7、Alibhai6・8×7、Boudoir6・9×8の系列クロスで血統を構成。また、前述のAlibhai内包したGraustark(=His Majesty)6×5の中間断絶クロスが、スタミナの核を構成し、Hail to Reason6×5の中間断絶クロスが父の血統内で孤立した米系を連動させながらスピードをアシストしており、父母の再現性が高い配合となっている。惜しむらくは、影響度バランスが(8-4-10-9)となり、最も強調された母の父コマンズ内に、主導たるNureyevが存在しない点や、Nureyev内Gold Bridgeが落失した点で、やや詰めの甘さを見せる可能性を否定できない点か。とは言うものの、土台構造をNearco19連、Hyperion16連、Gainsborough18連で形成し、その血の流れにかなりの良さがあり、更に、隠し味的にGrey Sovereign.Owen Tudor. Dante等のスピード・スタミナがしっかりと主導と連動した点や、連動こそしていないもののPrecipitation-Hurry Onをクロスさせ、Sassafrasのスタミナを再現した点は見るべき部分である。本質は、芝向きのマイル~中距離タイプで、ダートはこなせる程度だが、重馬場は得意なタイプ。かなりのスピードを秘めた配合であり、血統構成は父を超え、コスモバルクというサラブレットの、可能性の一端を見せてくれる名配合となっているのではないだろうか。

 

最後になりましたが、G1勝ちの勲章を持ちながら、諸般の事情によって種牡馬入りが叶わなかった、北の一等星コスモバルク自身の評価と、IFになりますが、仮に種牡馬入りを果たした場合(種牡馬入りが幸せかどうかの話はいったん考慮しませんが)、かなえられる良配合を考察してみました。あくまでも仮定の話になりますが、確率はかなり低いと想定されるものの、こうした配合馬を出すことができる血統構成をしていた点は、皆様の記憶に留めて頂ければ幸いに思います。また、地方競馬に強くスポットが当たっている現状を踏まえて、コスモバルクを取り上げさせて頂きました。たとえ地方所属であったとしても、しっかりとした配合馬は多数存在しますし、これからもこうした名馬が輩出される事を願ってやみません。今回の血統研究所はこの辺りで筆を置きたいと思います。このような記事でも閲覧者の皆様の喜びになれば幸いに思います。今後とも競馬総合サイトG-ZERO及び、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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