私的名馬選 Vol.10 ヤマニンパラダイス

私的名馬選 Vol.10 ヤマニンパラダイス

閲覧者の皆様こんにちは。今回の血統研究所は、私的名馬選と銘打って、個人的に面白い配合だと思える名馬達を、成績にとらわれず、皆様に紹介をしていきたいと思います。

 

では、今回は、94年の阪神3歳牝馬ステークス(G1)を、デビューから3連勝で制したヤマニンパラダイスについて考察を行いと思います。

 

ヤマニンパラダイス(Danzig×Althea by Alydar)牝・94生

 

Ⅰ 主:8 結:8 土:3 弱:3 影:3 集:5 質:5 再:6 SP:5 ST:3 特:0
合計:(49/60)点 クラス:2A

Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇

Ⅲ 距離適性

芝:S 〇 M ◎ I 〇 C □ L △

ダ:S 〇 M 〇 I 〇 C × L ×

芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇

Ⅳ 開花率:普通 成長型:晩成

 

主導はNearcoの系列クロス及び、War Admiralの系列クロス。両者はそれぞれ4代目に存在し、互いに連動を果たしているものの、決して万全の体制とは言えない。しかしながら、両者が母母Courtly Dee内に存在したのは幸運で、連合勢力と言える形態にはある。これら、2系統の主導勢力であるNearco及びWar Admiralの両者は、Speamint・St,Simonを介し連動を果たしている。他の強い影響を持つクロスである、HyperionはChaucerを通じて、BlenheimはSwynfordを通じてSir GallahadはSpeamintを通じて、Native DancerはPhalarisを通じて、それぞれ主導と結合を果たしている。また、Native Dancerは欧米系のクロスをしっかりとまとめているのが見て取れ、単一クロスではあるが当馬の血統構成上不可欠な働きをしている点を指摘しておきたい。また、土台構造は、St,Simon(17連)で形成している。連数的には普通程度だと言えるが、全体の血の流れの良さがあり、Bay Ronald(8連)、Speamint(13連)の流れもしっかりと前面のクロス馬に流れている点は評価できる。弱点や欠陥は特に無く、影響度バランスは(14-3-5-14)とバランスが取れており、安定感のある内容だと言える。全体的な血の集合は、母母Courtly Deeにおいて見られる。若干惜しまれるのが、影響度バランス上でわかるように、父父Northern Dancer内の影響が同程度に強くなりながら、War Admiralが存在しない点で、非常に優秀な配合ではあるものの、血の集合に関しては明確だとはやや言い難い部分が残る点か。血統全体において血の質の高いクロスを生かすだけでなく、War Admiral(1A)・Never Bend(1A)・Alydar(3A)と重ねた母の血の質が高い。底力勝負可能な血統構成であり、父の主導であったNearcoと母の主導であったMan o’warの仔であるWar Admiralを主導とし、父母に強いTeddy系の流れをSir Gallahadのクロスにより引き継ぐだけでなく、特に母に強い米系を再度クロスさせNative Dancerの元に統一させた妙味ある形態。それだけ米系が濃い配合で、当馬が時代を先取りした血統であると言えるのだが、この米系の濃さが当時の国内の種牡馬プールが適応できなかった点は指摘しておきたい。

 

94年の阪神3歳牝馬ステークス(G1)を、デビューから3連勝で制したヤマニンパラダイスの血統面からの考察をおこなってみました。当馬の血統構成は、母方に強いTeddy系、Fair Play系をはじめとした米系を切り捨てる事無く、しっかりと生かした当時としては異端の血統構成であります。再限度の項目でも触れましたが、当時の国内の血統プールからすれば異端である米系を生かした配合は、まさに〇外と言えますが、それだけに当時の種牡馬群との配合では生かしきれなかった、名血統であったと言えるでしょう。唯一、サンデーサイレンスが対応できたとも言えますが、サンデーサイレンス自身はBay Ronaldの血の流れを強く持った血統構成で、当馬の配合相手としては決してベストとは言えない部分はありました(※一番仔 ヤマニンセラフィム(3B)新馬から母と同じく3連勝を記録)。

 

では、ヤマニンパラダイスの当代配合としては、どうした形態がよかったのでしょうか。個人的に考えた配合を挙げてみたいと思います。

※あくまでも紙面上の、個人的な考えに基づいています。また関係者の方々への問い合わせ等は絶対に行わないでください。あくまでも仮想の思索でしかありません。そのような方がいらっしゃるとは思いませんが。

 

(エイシンワシントン×ヤマニンパラダイス by Danzig)-・-生

 

Ⅰ 主:7 結:6 土:2 弱:3 影:3 集:6 質:4 再:6 SP:4 ST:4 特:0

合計:(45/60)点 クラス:1A

Ⅱ 日本適性:□ 成長力:◎

Ⅲ 距離適性

芝:S □ M 〇 I ◎ C 〇 L □

ダ:S × M 〇 I ◎ C □ L ×

芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇

Ⅳ 開花率:普通 成長型:晩成

 

主導は、母の傾向を引き継ぎ、War Admiral及びNearcoの系列クロス。父の主導であったSickleからスピードを、父母内では眠っていた、DjebelやHyperionからスタミナを補給。父のスタミナ源となった、Princequilloの欠落は惜しまれるが、欧米系が入り混じる血統でありながら、しっかりと血の結合が完了している点と、母母を強調した血の集合、更に父母の再限度にかなりの良さがある。父母共に距離に壁があるイメージから当馬もスプリント~マイル向きと見られるかも知れないが、生きている血からはむしろ10F前後に適性を示すと考えられる。父母共に質が非常に高く、底力ある中距離タイプ。

 

ヤマニンパラダイスは無傷の三連勝でG1を制した後、低迷してしまい、その全能力を発揮したとは言い難い部分はありますが、血統構成はまさに名馬のそれでした。結果的に、直仔で母の血統を生かし切った配合を見る事はかないませんでしたが、当馬の持つ米系の価値は代が進むに連れその輝きを増していくと個人的には予測しています。いずれ、当馬の名を高める子孫が出ることを私自身は願ってやみません。今回の私的名馬選はこのあたりで筆を置きたいと思います。

 

(taku.O)
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