私的名馬選 Vol.17 シリウスシンボリ

私的名馬選 Vol.17 シリウスシンボリ

閲覧者の皆様こんにちは。今回の血統研究所は、私的名馬選と銘打って、個人的に面白い配合だと思える名馬達を、成績にとらわれず、皆様に紹介をしていきたいと思います。

では、今回は、様々な人間の思惑により、皐月賞の出走が叶わなかったものの、日本ダービーを3馬身差で圧勝し、3歳秋から5歳春にかけて果敢に海外遠征へと挑戦し、GⅠロイヤルオーク賞3着、GⅢフォワ賞2着などの成績を残した、彷徨える天狼星シリウスシンボリについてです。

 

シリウスシンボリ(モガミ×スイートエプソム by パーソロン)牡・82生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:6 結:8 土:2 弱:3 影:2 集:5 質:4 再:6 SP:4 ST:4 特:0
合計:(44/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I ◎ C 〇 L △
ダ:S × M △ I □ C △ L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

〇 短評

最前面でクロスしたNative Dancer5×4は、単一クロスの為、主導は、その父系であるPharos-Phalarisと継続させたNearco5×6の系列クロス。この主導勢力は、血統の3ブロックに配され、明確に血統をリードしているように見えるが、その父Pharosが5代目でクロスした点や、前述のNative Dancerの主張がそれなりに強い点、同じPharos(=Fairway)系だが、Fair Trialが5×7と系列クロスを形成した点から、そこまで明瞭な主導足り得なかった点が惜しまれる部分であり、この点が当馬の血統構成の限界点を端的に示している。とは言うものの、前述の通りこれらクロスは全て11連で土台構造を形成したPhalarisの直子孫であり、血の流れにはかなりの良さがある配合となっている。また、次いで影響が強いCase Ace6×6の系列クロスがBay Ronald.Ultimusu-Commando.Voterをクロスさせ、Black Toney-Peter Pan-Commando.Ben Brushを、連動させており、これらの血をNative Dancerの単一クロス内Phalarisを介し、主導たるNearcoと連動させている点は見るべき部分であり、父である種牡馬モガミの一番のネックである、No Luckが抱える米系をしっかりと生かし、主導と連動させた点が、シリウスシンボリの競争能力の根源であると言え、時代を先取りした血統構成であると言える。惜しむらくは、きめ細かく生かしたKsar.Clarissimus等の質の高い欧州系が離反した点や、全体の結合にぎこちなさが残る点で、開花率の低さが予想される点か。本質は、芝向きの中~クラシックタイプで、ダート・重馬場はこなせる程度。また、Sickle(=Pharamond)6・8×7がスピードの核を、Blandford8・8×6・7・7がスタミナの核を形成している点も見逃せない部分で、シリウスシンボリの能力形成に大いに役に立っている。当時としては米系の生かし方、その連動性に非常に良さがある血統構成で、日本ダービー馬の栄誉に恥じない名配合だと言えるだろうか。

 

こうした、血統構成を持つシリウスシンボリだが、種牡馬入り後はその期待にそぐわず、京都4歳特別2着の、オーシャンカレントが代表産駒となっており(オーシャンカレント自身は主導の不明瞭さこそあるものの、悪い配合ではない点は付け加えておきたい)、やや寂しい種牡馬成績と言わざるを得ない。これは、当時猛威を振るっていた、Nasrullahを持たないがゆえに、世代が一代進んだ場合、スピードに良さが出る配合を作る事が難しかった点や、スタミナ勢力も同様の理由からやや弱い産駒を輩出する事が血統表から読み取れる。更に、安易なNorthern Dancerクロスにより、ある程度米系の連動性ははかられるものの、重さを強調した産駒が輩出されやすい点もあったと想定される。そこで、こうした配合ならというものを、手前味噌ではありますが、考察してみたので、ご閲覧頂ければ幸いに思います。

 
(シリウスシンボリ×イースタントート by シヤインイングナイト)-・-生
有効世代数:10代目

Ⅰ 主:8 結:7 土:2 弱:3 影:3 集:6 質:4 再:4 SP:4 ST:4 特:0
合計:(46/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M △ I 〇 C ◎ L 〇
ダ:S × M × I △ C △ L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低い 成長型:晩成

〇 短評

主導は、父の血統内においてスピードの核をになったFair Trialの仔であるCourt Martial5×5の系列クロス。この主導は、Hurry Onを伴うだけでなく、Son-in-Law-Dark Ronald-Bay Ronald.Lady Josephine-Sundridge-Amphion.Sainfoin.Gainsborough-Bayardo-Bay Ronald.Polymelus-Cyllene.Marcovil-Marcoを生かし、スピード・スタミナ兼備のCourt Martialへと能力変換をおこしている。次いで、父の主導であったNearco6・7×6の系列クロスが中距離向きのスピードをアシストし、更に米系のMan o’Warが、有効世代数10代目ギリギリであるものの、Sainfoinを通じて主導と直接結合しており、7代目以降ではあるものの、Sir Gallahad(-Bull Dog)も同様に10代目Ajaxを介し、Nearcoと連動しており、7代目以降の欧州系の連動性も悪くなく、成長力を秘めた血統構成であると言える。これといった弱点も無く、影響度バランスを(4-1-3-3)と、父の父モガミを強調。そこに血の集合が見られる事から、仕上がった際には鮮やかな競馬を見せる可能性を秘める血統構成。惜しむらくは、米系であるBlack Toney. Sweep等が離反した点で、この部分では父よりは劣るか。本質は、芝向きの中~長距離タイプで、ダートは不得手で、重馬場はこなせる程度。開花率はお世辞にも高いとは言い難いが、非常に質の高い血を十全に生かした血統構成であり、その可能性は決して高いとは言い難いものの、開花した際には欧州の一流レベルにも劣らない血統構成であると言え、見てみたかった配合のひとつと言えるだろうか。

 

最後になりましたが、今回は、ハクチカラと並んで、海外遠征の先鞭となった、シリウスシンボリについて解説を行ってみました。残念ながら、国内のLyphardの草分け的存在のモガミ直系の血を、父系に残す事はかないませんでしたが、シリウスシンボリには難しいながらもこうした可能性を秘めていた事を、閲覧者の皆様が記憶の片隅において頂ければ、これにまさる幸せはありません。今回の血統研究所はこの辺りで筆を置きたいと思います。このような記事でも閲覧者の皆様の喜びになれば幸いに思います。今後とも競馬総合サイトG-ZERO及び、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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