私的名馬選 Vol.14 タイキシャトル

私的名馬選 Vol.14 タイキシャトル

閲覧者の皆様こんにちは。今回の血統研究所は、私的名馬選と銘打って、個人的に面白い配合だと思える名馬達を、成績にとらわれず、皆様に紹介をしていきたいと思います。

では、今回は、通算13戦11勝、2着1回3着1回。仏国のG1である、マイル戦のジャックルマロワ賞をも制し、世界のマイル王となった、タイキシャトルです。

 

タイキシャトル(Devil’s Bag×Welsh Muffin by Caerleon)牡・94生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:7 土:2 弱:1 影:1 集:7 質:3 再:5 SP:5 ST:3 特:1(主導牝馬クロス)
合計:(42+1/60)点 クラス:3B+(1A)
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M ◎ I △ C × L ×
ダ:S 〇 M 〇 I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:高め 成長型:早め

〇 短評

前面でクロスしたHail to Reson3×5は単一クロスの為、そこまで影響が強くなく、主導はAlmahmoud4×6の系列クロス。この主導は、その父Mahmoudを血統の4ブロックに配し、4代目から影響を及ぼした点も踏まえると非常に明確である。次いで影響が強いクロスは、Sickle(=Pharamond)5×7(母内8・9代目Sickle(=Pharamond)は世代ズレと判定)、Hyperion7×6・7・8の系列クロスで血統を構成。従って、世代の問題が大きい配合であり、弱点の派生も踏まえると、やや安定感に欠ける可能性は否定できない。とは言うもの、明確な主導とHail to Reasonの結合アシストが見事に機能しており、競走馬の血統の背骨を構成する主導・結合の評価は高い。また、主導たるAlmahmoudのスピード源となっているMah Mahalや、その半弟であるMumtaz Begum(=Mirza)を6代目でクロス。更に、Haloのスピード源である、Almahmoud. Sickle(=Pharamond)内の充足率も非常に高く、当馬の爆発的スピードの根拠をこれらクロスから見る事ができる。本質は、芝・ダート兼用のスプリント~マイルタイプ。米系の連動性の良さから、重馬場もこなせる全天候型。惜しむらくは、これといったスタミナの核がHyperionのみである為に、距離の延長適性は低いと考えられる点だが、Hyperion.Mahmoudを核とした血統全体の血の流れの良さや、血の集合を父父Haloへと圧倒的に集合させた点、更に多種のスピードを生かした血統構成を踏まえると、反応の良さへの期待や、器用な競馬を見せる可能性を秘める。

 

これが、競走馬としてのタイキシャトルの血統評価になりますが、アトランダムに配合した場合、Northern Dancerをクロスさせる形が大多数となり、その場合、自身の血の流れを損なわない為に、ある程度の形になるものの、ややズブさが見られる産駒を輩出する可能性が高い種牡馬であり、その意味ではサンデーサイレンスの仔世代の種牡馬と同じようなジレンマを抱える血統構成だと言えるでしょう。とは言うものの、自身のスピード源となったAlmahmoud. Sickle(=Pharamond). Mumtaz Begum(=Mirza)(Nasrullahの母)はありふれた血統であり、自身の種牡馬実績からもわかるように、スピードに恵まれた産駒を輩出する種牡馬であると言えるでしょう。また、自身のようにHail to Reasonをクロスさせた場合、米系の連動性の良さを引き継ぎ、芝・ダート共にスピードに恵まれた産駒を輩出できるでしょう。ただし、Haloをクロスさせた場合、Hail to Reasonを伴う為、血の濃さがマイナスに働く可能性が高く、また、自身のスタミナ源の弱さから距離をこなせない産駒や、バランスの悪さを補正するのが難しい血統である為に、安定感には欠ける可能性が高い産駒を輩出する可能性を持つ種牡馬であったと言えるでしょうか。実際の産駒においては、自身の持つ血の流れを上手く利用した配合は、Northern Dancerがクロスするものの、Almahmoudを主導としたウインクリューガー(1A)であり、自身の主導であるAlmahmoudの父である、Mahmoudを主導としたサマーウインド(3B)が該当するでしょう。また、血の流れに離反するものの、父の持つNasrullahをスピード源としたのが、メイショウボーラー(2B)であったと言えるでしょう。ただし、どの配合も米系の連動性の弱さがある配合であり、そこで僭越ながら、これならといった形の配合を愚考いたしました。

 

(タイキシャトル×レモングラス by サクラユタカオー)-・-生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:7 結:7 土:2 弱:1 影:2 集:6 質:3 再:6 SP:4 ST:3 特:1(主導牝馬クロス)
合計:(41+1/60)点 クラス:3B+
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M 〇 I □ C × L ×
ダ:S 〇 M 〇 I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:遅め

〇 短評

主導は、自身の主導であったAlmahmoudの娘であるCosmah4×4の系列クロス。この主導は、自身の血の流れを引き継ぎ、そのスピード源であったPharmond(=Sickle)6・8・9×6・8を内包し、自身同様Haloのスピード再現に成功している。次いで、Nasrullah7×5・5・6、Hyperion7×5の系列クロスで血統を構成(父内8・9代目Hyperionは世代ズレと判断)。また、父の持ったHail to Reasonクロスは落失するものの、主導内Fair Play.Speamintを通じ米系を連動、非常にシンプルな配合となっている。また、Blue Peterを8×6の系列クロスとし、その内部にあるBachelor’s Doubleを通じ、非常に間接的ながらChamossaire6×6を介してHurry Onを、Hyperionを介すもののGay Crusader-Bayardoを通じ、Princequilloも主導と連動させる等、結合面においても見るべき点がある配合であると言える。惜しむらくは、前述のHyperionの世代ズレ(その父Gainsboroughの世代は安定しており、さほどのマイナスとは言えない)だが、前述のPrincequillo.Chamossaireがスタミナの核を形成、父よりもスタミナに良さがある配合となっている。決して12Fを克服できるような配合であるとは言えないが、父同様に多種のスピード・スタミナを生かし、器用な競馬を見せる可能性を秘める。本質は、芝・ダート兼用のマイルタイプ。米系の連動性の良さから重馬場もこなせる全天候型。総合的には、父を超える配合では無いものの、父の持つシンプルな血の流れを継承した配合だと言えるだろう。

 

以上が、先日28歳で大往生を遂げた、世界のマイル王たるタイキシャトルへの考察になります。簡単な考察ではありますが、名馬タイキシャトルへの餞として筆をとりました。今回の、血統研究所はこのあたりで筆を置きたいと思います。このような記事でも閲覧者の皆様の喜びになれば幸いであります。今後とも競馬総合サイトG-ZERO及び、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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