私的名馬選 Vol.15 トウショウオリオン

私的名馬選 Vol.15 トウショウオリオン

閲覧者の皆様こんにちは。今回の血統研究所は、私的名馬選と銘打って、個人的に面白い配合だと思える名馬達を、成績にとらわれず、皆様に紹介をしていきたいと思います。

では、今回は、桜花賞馬シスタートウショウ(2A+)の全弟にして、芝10F時代の北九州記念を制し、天馬トウショウボーイ(1A)最後の傑作となったトウショウオリオンです。

 

トウショウオリオン(トウショウボーイ×コーニストウショウ by ダンディルート)牡・93生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:9 結:7 土:3 弱:3 影:2 集:5 質:5 再:6 SP:4 ST:5 特:2(主導牡牝を通じたクロス・母産駒複数活躍繫殖牝馬)
合計:(49+2/60)点 クラス:2A+
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:◎
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I ◎ C ◎ L 〇
ダ:S × M □ I □ C □ L ×
芝適性:◎ ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:遅め

〇 短評

主導は、Hyperion4・5×5の系列クロス。Hyperionが存在しない、母の父ダンディルート内においても、次いで影響が強いMahmoud5×6傘下において、その父Gainsboroughを配し、血統の4ブロック全てにその影響力を行使している。また、前述のMahmoudはGainsboroughを内包している為、Hyperionと相性が非常に良好で、内部のMumtaz Mahal-The Tetrarchを生かし、Nasrullahをクロスさせずにそのスピード源だけを抽出しており、Easton4×6の中間断絶クロスが、Pharos(=Fairway)の系列クロスを内包しながら、孤立しがちなHurry Onを、Sainfoinを通じて、Bay Ronaldを介し結合をより強固にはかっている。また、Blandford6・7・7×6・7・7・8・8が強靭なスタミナの核を形成。これといった弱点も無く、安定感のある血統構成であり、非常に隙の少ない血統構成となっている。本質は、芝向きの中~長距離タイプで、ダート・重馬場はこなせる程度。前述のように血統全体でBay Ronald系の血の流れに良さがあり、強調された父の父テスコボーイへとある程度の血の集合が見られる事から、決め手を秘めた血統構成であると言える。開花はやや時間がかかるタイプだが、完全開花した場合には世界のどこに出しても恥ずかしくない、まさに一線級の血統構成である。

 

このような血統構成を持つ、トウショウオリオンでしたが、現役時代はその評価程には結果を残すことなく、ローカルGⅢを制するのが精一杯でした。また、引退後は種牡馬入りし、フローラトウショウとの間に牝馬を設けるものの、競馬場でその走りを見る事はかないませんでした。そこで、一部では有名な組み合わせではありますが、こうした配合なら、というものをピックアップしましたので、ご閲覧頂ければ幸いに思います。

 
(トウショウオリオン×サンデーズシス by Halo)-・-生
有効世代数:10代目

Ⅰ 主:8 結:9 土:3 弱:3 影:3 集:5 質:5 再:6 SP:4 ST:5 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(51+1/60)点 クラス:2A+
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:◎
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I ◎ C ◎ L 〇
ダ:S × M □ I □ C □ L ×
芝適性:◎ ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:遅め

〇 短評

母は、サンデーサイレンス(2A)全妹。主導は、父母の傾向を引き継ぎHyperion5・6・6×6・7の系列クロス、及びMahmoud6・7×5・6の系列クロスで明確。この両者は、血統全体で11連存在するGainsboroughで強固に連動しており、連合勢力といって差し支えなく、Hyperionのスタミナ、Mahmoudのスピードが、車の両輪のように血統の背骨を形成している。次いで、父母の中では眠っていたNearco6×6の系列クロスや、父のスピード源であったMumtaz Mahalの娘であるMumtaz Begum6×7の系列クロスからスピードを補給。そのスピードに良さがあるものの、質にやや難があるNasrullahをクロスさせずに、そのスピード源だけをMahmoudを介して抽出しており、父よりもよりスピードに良さがある血統構成となっている。また、父においてはクロスしていたものの、連動性が低かった米系の血をBlue Larkspur6×6・6の中間断絶内、10代目Sundridgeを介しMahmoudと連動させ、間接的ながらもThe PorterもBen Brushを介しBlue Larkspurと連動させた点は見るべき部分である。更に、隠し味的に生きたSon-In-Lawのスタミナや、7代目Man o’Warの系列クロスも、10代目Saingoinを介しPhalarisと連動する様は見事であるとしか、言いようが無く、この連動性の良さも当馬の能力の源泉を担っていると言える。本質は、芝向きのマイル~クラシックタイプで、ダートはこなせる程度だが、重馬場は得意なタイプ。この秘めた能力が完全開花すれば、一部で言われている、日本競馬悲願の凱旋門賞制覇も夢ではないレベルの血統構成であり、是非とも見てみたかった配合であると言える。

 

最後になりましたが、今ではその直父系が途絶えてしまった、天馬トウショウボーイの最後の系譜を、引き継ぐ可能性を秘めていた、トウショウオリオンについての解説を行いました。あくまでも仮想の配合ではありますが、もし長く種牡馬を続けていれば、質は劣るが、Nasrullahを主導に据えた配合が主流になるものの、スピードに良さがある産駒を輩出する可能性を秘めていた血統構成であり、その父系が途絶えた事が残念でなりません。今回の血統研究所はこのあたりで筆を置きたいと思います。このような記事でも閲覧者の皆様の喜びになれば幸いであります。今後とも競馬総合サイトG-ZERO及び、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

(taku.O)
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