血統評価基準⑫ スピードについて

血統評価基準⑫ スピードについて

閲覧者の皆様、こんにちは。競馬総合サイトG-ZEROへようこそ。また、血統研究所へもようこそおいで下さいました。今後ひとまずの、血統研究所のコンテンツとして、主要11項目のそれぞれについて、優秀な配合をそれぞれピックアップしていきたいと思います。今回はスピードの項目についてです。

 

引き続き、スピードと一口に言っても、なかなかに分かりにくい部分があると思いますので、今回も実馬を例に上げて、説明を行いと思います。では、今回はエイシンバーリンを例として説明を行いたいと思いますので、お付き合いの程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

なお、エイシンバーリンの血統構成の説明に入る前に、非常に簡単ではありますが、スピードについて高い評価を得るためのポイントをいくつかあげてみたいと思います。

 

・ある程度明確な主導勢力を持ち、その主導勢力がスピードに良さがある配合である事。

・その主導勢力へのアシストされる血が、スピードに良さが出るタイプが多い事。

・主導勢力を邪魔しない程度の位置で、多種のスピードクロスを作成し、主導との連動性が高い事。

・血の集合がなされている部分において、スピード型のクロスを作成する事。

 

簡単ではありますが、この4項目がしっかりと守られていれば、それだけスピードの評価が上昇すると考えて頂いてかまいません。

 

エイシンバーリン(Cozzene×Blade of Luck by Blade)牝・92生

有効世代数:9代目

 

Ⅰ 主:9 結:6 土:2 弱:2 影:3 集:6 質:4 再:5 SP:5 ST:3 特:0

合計:(45/60)点 クラス:1A

Ⅱ 日本適性:◎ 成長力:□

Ⅲ 距離適性

芝:S ◎ M ◎ I △ C × L ×

ダ:S 〇 M □ I × C × L ×

芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□

Ⅳ 開花率:普通 成長型:普通

 

〇 短評

 

主導は、Nasrullah5×4・6の系列クロス。Nasrullahが存在しない父母内においても、7代目にNasrullahの3/4同血であるRoyal Chargerの父としてのNearcoが存在し、そのスピードをよりよく引き出している。結果、この主導は見事に血統の4ブロックに影響力を示していると言えるだろう(この手法は、サンデーサイレンスのNasrullahをクロスさせずに、そのスピードを引き出すやり方と同様。一般的なサンデーサイレンス産駒は、Almahmoudを主導に、自身が持つRoyal Chargerと母が持つNasrullahの連動でスピードを補給するパターンが多い。もっともサンデーサイレンス産駒のスピードの引き出し方は、これ以外にも多く存在し、機会があれば別のタイミングで説明をしたいと思います)。この主導たるNasrullahはNearco-Pharos-Phalaris-Polymelus-Cylleneと見事に系列クロスを形成。また、4代目からクロスする事により、8~9代目において、Spearmint.St.Simon.Ajax.White Eagle.Saifon等を有効世代内に収めている為、自身が作成した各クロスと連動させた点は、かなりの評価に値する。更に、Princequillo4・6×4は単一クロスながら、Trecery-Rock Sand.White Eagle-Gallinule.Persimmon.Perth等をクロスしスタミナの核を形成。父母共に血の質や血統構成が優秀とは言い難い組み合わせながら、自身はしっかりとした血統構成となっている。また、主導たるNasrullah内は、Mumutaz Mahal-Lady Josephinこそ欠落するものの、血統全体で9連ある、父Sundridgeがしっかりとクロスし、その仔Sun Briar(=Sunreigh)のスピードも直接連動させている。更に、強力なスピード勢力であるThe Boss-Orbyこそクロスしないもの、その父系であるOrme-Ormondeをクロスさせ、Princequilloを通じ間接的にではあるものの、連動させる事に成功。このスピード再現の良さは非常に優秀で、ことスピードの絶対値を血統表から見る限り、非常に優秀だと断定して構わない。惜しむらくは米系の結合の弱さで、クロスこそするものの、Black Toney-Peter Pan.Ben Brush等の連動は弱く、母母方に軽微ながら弱点を派生させた点で成長力や、特に母方の質の低さから底力にはやや疑問が残る点と、Solario-Gainsboroughが世代ズレを派生させた点か(この場合のSolarioは粘りあるスピードを発揮すると考えられる)。本質は、スプリント~マイル向きのスピード配合で、距離延長の適性は高いとは言い難いが、ことスピードを生かすという観点から見るとかなりのハイレベルな配合だと言えるだろう。

 

以上が、エイシンバーリンに対する血統考察になります。では、このエイシンバーリンの血統構成をスピードに絞って、前記の項目に当てはめて考えてみましょう。

 

・主導はNasrullahで明確で、この主導はマイル~中距離向きのスピードを良く再現する血である。

・主導たるNasrullahへとアシストされる血は、Mumtaz Begum.Sun Briar-Sundridge.Tetratema-The Tetrarch.Orme-Ormondeがスピードをアシスト。これらのスピードのアシストは非常に強力で、直接結合を果たす血が多い。

・主導たるNasrullahが4代目から影響を及ぼしている点もあり、Princequilloが同じ4代目に存在するものの、単一クロスであり、他のスピードを補給する血の位置も5~8代目と主導との関係性も良好。

・当馬の血の集合は母父Bladeにおいてなされており、この部分にMumtaz Begum.Sun Briar-Sundridge. Orme-Ormondeが存在する。惜しむらくはTetratemaがこの部分に存在しない点だが、その父The TetrarchはしっかりとNasrullah内に存在する血であり、さほどのマイナスとは言えない。

 

こうして見ると、エイシンバーリンの血統構成を、ことスピードに関して見ると、古今の名馬になんら劣る事の無い血統構成だとご理解いただけるかと思います。残念ながらGⅠ競争の制覇はかないませんでしたが、ある意味Nasrullah主導の最高峰の一つと言える血統構成となっています。これは、97年シルクロードステークスにおいて、芝6F戦においてはじめて1分7秒の壁を破る、1分6秒9の日本レコードを達成した事で裏付けが取れていると考えるものです。残念ながら、直仔において母を彷彿とさせる様なスピード馬が現れませんでしたが、子孫の枝葉は確実に広がりを見せています。いずれ当馬の子孫から自身を彷彿とさせるような快速馬が現れる事を願ってやみません。また、蛇足ですがエイシンバーリンは06年にエイシンワシントンとの牡馬を設けています。残念ながら競馬場までたどりつけませんでしたが、この配合はなかなかに理にかなったもので、配合の方向性としては正しく、スピード・スタミナ兼備のものでした、個人的には是非とも競馬場で見たいと、当時考えたものでした。

 

簡単ではございますが、主要11項目におけるスピードについての説明を終わりたいと思います。まだまだ分かりにくい部分も多々あると思います(血統表を併記しない点等)。ですので、ご質問等あれば気軽にご連絡頂ければと思います。

 

今後とも競馬総合サイトG-ZERO共々、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

taku.O

 
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