種牡馬考察 コパノリッキー

種牡馬考察 コパノリッキー

今回の血統研究所は、種牡馬考察と銘うって、今年度に産駒がデビューする種牡馬の考察を行いたいと思います。まず、種牡馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる産駒(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。

では、今回は、コパノリッキーです。

コパノリッキー(ゴールドアリュール×コパノニキータ by ティンバーカントリー)牡・10生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:4 結:7 土:3 弱:3 影:3 集:3 質:4 再:3 SP:4 ST:3 特:0
合計:(37/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I △ C × L ×
ダ:S △ M 〇 I □ C × L ×
芝適性:□ ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:遅め

〇 短評

主導は不明瞭な配合で、前面でクロスしたHail to Reason4×6は単一クロスの為、結合のアシスト役としては有効であるものの主導足り得なかった。次いで影響の強い血は、Nearco.Khaled-Hyperion.Pharamond(=Sickle)。主導としては不明瞭な配合であり、父の主導となったAlmahmoudも欠落した点も惜しまれる点である。反面、これといった弱点も無く、影響度バランスも(4-3-3-3)と良好で、安定した能力発揮が見込める血統構成ではある。また、Khaled.Pharamond(=Sickle).Her Honor(=Countess Freet)のスピード・スタミナをそれぞれ結合し、主導は不明瞭であるものの、良く生かしたと言える。それだけに主導の不明瞭さや、血の集合が散漫な点が惜しまれる配合であり、当馬の配合の限界点がここにあると言えるだろう。本質はダート向きのマイル~中距離タイプで、芝や重馬場はこなせる程度。

以上が、コパノリッキーの血統評価になります。これが種牡馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思います。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、まず上げていきましょう。

・スピード系

Khaled. Pharamond(=Sickle)

・スタミナ系

Hyperion

・バランス系

Hail to Reason.Nearco

これらを踏まえて、繁殖牝馬側に求める条件を考えてみたいと思います。

・自身は明確な主導を持たなかった為に限界を抱えた血統構成であった為、繁殖牝馬側においてそれを用意する必要がある。具体的にはNureyev-Northern Dancer.Almahmoud.Nearctic.Swaps.Hornbeam.Raise a Native等が候補か。

・また、自身の血の集合がサンデーサイレンスにあり、Hail to Reasonの単一クロスを形成した点を利用して、HaloをクロスさせHalo-Hail to Reasonを主導とするのも一考の価値はある。ただし、この場合は血が濃くなる為、前面で他のクロスを作らないのが必要であり、現実的にはやや難しいと考えられる。

・反面、現代の競馬に必要な血を6代目以降においてしっかりと生かしており、アトランダムな配合においても大きくバランスを崩した配合は少ないと予測される。その分、母の影響を受けやすい血統構成であり、基本はダートタイプだと考えられるが、多種な産駒を出す可能性は否定できない。

・スピード・スタミナの確保がやや難しい部分がある血統構成で、この部分には留意が必要であり、前述のクロスを前面で作らない場合、開花率は低くなると予測される。

・欧米系の血の連動を上手くまとめる必要がある血統構成だが、Hail to Reasonを再度利用するのがベターだと考えられるが、配合いかんによってはNorthern Dancer.Mr.Prospectorも、結合のアシスト役として働く可能性が高く、考慮すべきクロスではある。

・相性の良いBMSとしてクロフネがあげられる。クロフネを母父に配した場合、Northern Dancerの系列クロスが主導を取りやすく、Roberto-Hail to Reasonの結合アシストを受ける事が可能であり、父を強調しやすいバランスのとれた血統構成が作ることが可能。

このような種牡馬としての特徴を持つ、コパノリッキーだが、アトランダムな配合においては、これといった弱点を派生させる可能性が少なく、本質的にはダート向きの産駒を輩出すると予測されるものの、個々の産駒の距離適性はかなり幅が広いと考えられる。ただし、前面でHalo.Mr.Prospectorを利用しなかった場合、ややスピードに欠ける産駒が多くなりやすい為、初期の勝ち上がり率はさほど高く無く、ゆっくりと成長する産駒が基本だと考えられる。反面、自身の血統構成から鑑みるに、安定して能力発揮する産駒を多数輩出すると期待できる血統構成だとも言えるか。

注目の産駒

・ソフィアルージュの19(コパノリッキー×ソフィアルージュ by クロフネ)牡・19生

クラス:3B 適性:ダートマイル~中距離

主導は、Northern Dancerの系列クロス。次いでRoberto-Hail to Reason.Never Bendの系列クロス。母が持つ仏系が生かされなかった為、成長力はやや疑問が残るが、Roberto-Hail to Reasonの米系アシストが良好であり、血の集合も父父であるゴールドアリュールに認められる。早期のダートスピード対応が可能な配合であり、決して父の血を活かした配合では無いが、父父ゴールドアリュールの再現は良好。明確な主導を作る事が難しい父の産駒としては、比較的明確な主導を作り上げたのが最大の長所。本質はダート向きのマイル~中距離タイプ。芝や重馬場はこなせる程度。脚質は先行が基本だと考えられるが、細かい切れ味の血を活かしている為、差しもこなせるか。

最後になりましたが、これがコパノリッキーの、種牡馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

(taku.O)
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