種牡馬考察 イクイノックス

種牡馬考察 イクイノックス

今回の血統研究所は、種牡馬考察と銘うって、これから産駒がデビューする種牡馬の考察を行いたいと思います。まず、種牡馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる仮想配合(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、考察をしてみたいと思います。
 

では、今回は、イクイノックスです。

 

イクイノックス(キタサンブラック×シャトーブランシュ by キングヘイロー)牡・19生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:5 結:7 土:4 弱:1 影:1 集:6 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(39+1/60)点 クラス:3B+
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め

〇 短評

前面でクロスしたHalo4×4は中間断絶の為、主導は父の傾向を引き継ぎNorthern Dancerを伴うLyphard5・5×4。次いで、Sir Ivor6×5の系列クロスの影響も強く、主導としてはやや不明瞭な配合であると言える。反面、主導内、Hurry On.Ksar.Clarissimusを生かすなど、その充足率は良好。また、Sir Ivor-Sir Gaylord.Halo.Pocahontasのクロスにより、Princequillo.Sir Gallhad-Teddy.Blue Larkspur.Man o’War等の欧米系を主導と連動させた点に妙味がある配合で、ここがこの配合の能力の源泉だと言える。更に、血の集合を母の父キングヘイローに集めた為、仕上がった際は力強い競馬を見せられる可能性を秘める。加えてHyperionの強い父の傾向を良く引き継いでいるうえ、Turn-toのアシストもあり、決め手ある競馬を見せるタイプ。本質は、芝向きの中距離タイプ。ダート・重馬場はこなせる程度。早期の中距離対応が可能。

 
以上が、イクイノックスの血統評価となります。これが種牡馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思います。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、上げてみましょう。

・スピード系

Halo.Tun-to.Almahmoud.Pocahontas

 
・スタミナ系

Sir Ivor.Hyperion

 
・バランス系

Lyphard

 
これらを踏まえて、繁殖牝馬側に求める条件を考えてみたいと思います。

・自身は、Northern Dancerを伴い、Ksar.Hurry Onを生かしたLyphardを主導とした配合であり、そのアシストを、Haloの中間断絶や、Sir Ivorの系列クロスがアシストした形態で、母の父であるキングヘイローへの血の集合に良さがあり、バランスの悪さは残るものの、仕上がった際には鮮やかな競馬を見せる可能性を秘めた血統構成であった。

 
・自身の主導であったLyphardの継続は意外と難しく、その位置の関係からLyphardの仔であるダンシングブレーヴを4×4、ないし4×5とし、主導とすることは考えられるが、現代の国内の血統プールにおいて、この再現は意外と難しく、キングヘイローを強調する形になる為、その形態を作れたとしても、マイル~中距離タイプとなる可能性が高い。ダンシングブレーヴ4×4主導自体は非常に魅力的ではあるのだが。

 
・そこで、自身でも強い影響を持ったHaloの中間断絶を一歩進めて、サンデーサイレンス4×4を主導とする形態が考えられる。現代の国内の血統プールを踏まえると、より現実的な選択であると言える。

 
・また、できる事ならば、サンデーサイレンスを4×4程度で作成した場合において、Hail to Reasonの落失が回避できる訳ではないが、Hail to Reasonの系列クロスを主導とした種牡馬を、母の父に配するのは悪くない選択であると言える。

 
・その意味においては、母の父エピファネイアはニックスとまでは言えないものの、非常に相性の良い組み合わせであり、父と母の父までの3/4の血統構成までで、サンデーサイレンス4×4の系列クロスを主導とし、父母のスタミナ源となったPrincequillo系を、Sir Ivorこそ落失するものの、その父であるSir Gaylordを父と母の父までで、7・8・8×7とクロスさせ、Turn-toを通じて主導と連動させられる点は、見るべき部分である。

 
・ただし、サンデーサイレンスを主導とした場合において、イクイノックス内において必ず4代目にサンデーサイレンスが配される事から、Wishing Well内において弱点を派生させる可能性が非常に高く、この部分には留意が必要で、かなり難しくはありますが、母方においてStymie. Gulf Stream.Hillary等を配しその弱点の派生を防ぎたい所であります。

 

このような種牡馬としての特徴を持つ、イクイノックスですが、アトランダムな配合においては、サンデーサイレンスをクロスさせ、中距離の芝向きの産駒を輩出する可能性が高く、位置の関係から比較的主導が明瞭な産駒が生まれやすく、早期の中距離対応が可能なタイプを輩出する可能性が高い種牡馬であると言えるでしょう。ただし、自身の世代がかなり新しい為に、世代の古い牝馬との相性はあまり良いとは言えず、そうした意味においては、やや時代を先取りした種牡馬であり、繁殖牝馬のプールの更新が待たれる種牡馬であり、自身の現役世代と同様に、種牡馬としての本領発揮には、やや時間がかかる可能性がある点は示唆しておきたい事実であります。

 
最後に、これから種牡馬入りする為、まだ実際の産駒は誕生しておりませんが、こうした配合なら、という仮想配合を考えてみましたので、皆様の参考になれば幸いであります。

 
(イクイノックス×サークルオブライフ by エピファネイア)・生
有効世代数:代目

Ⅰ 主:9 結:6 土:4 弱:1 影:3 集:5 質:4 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(44/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:高め 成長型:早め

〇 短評

主導は、母の傾向を引き継ぎ、Halo-Hail to Reason-Royal Chargerと継続させたサンデーサイレンス4×4・5の系列クロス。その父であるHaloを5・5×5・6・6と血統の4ブロック全てに配し、明確に血統をリードしている。次いで、その父系であるNearctic-Nearcoと継続させた、Northern Dancer6・7・7・7・7×6・7・7・8・8・8の系列クロスで血統を構成。父の主導であったLyphardや、能力形成に大きく寄与したSir Ivorの落失は惜しまれるものの、LyphardクロスのキーホースであるCourt Martialをしっかりとクロスさせ、両者ともに、その父であるNorthern Dancer.Sir Gaylordを系列クロスにし、特にSir Gaylordクロスにより、全体で12連存在するPrincequilloを主導と直接連動させており、更に、サンデーサイレンスを4代目に配した際に問題になりやすい、母Wishing Well内においてStymieをクロス、その弱点の派生を防いだ点は見るべき部分である。また、土台構造をNearco18連で形成し、影響度バランスを(6-4-6-7)とし、祖父母4頭からバランスよく能力を補給しつつ、強調された母の母シーブリーズライフへと、ある程度の血の集合が見られる為、仕上がった際には鮮やかな競馬を見せる可能性を秘める。惜しむらくは、世代の新しい配合だけに致し方無い部分はあるが、7代目以降の連動性の弱さや、Burghclere内の軽微な弱点の派生や、母の母方Caerleonの世代がやや後退気味で、9代目Hail to Reasonが世代ズレをおこした点で、強調されている部分なだけに、やや安定感に欠ける可能性を秘める点は指摘しておきたい。とは言うものの、非常に明確な主導にリードされた血統構成であり、早期の中距離対応可能な血統構成であると言える。本質は、芝向きのマイル~中距離タイプで、ダートはこなせる程度だが、重馬場は比較的得意なタイプ。血統構成は父母を超え、無事な開花を望みたい一頭である。

 

最後になりましたが、これがイクイノックスの、種牡馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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