種牡馬考察 ザファクター

種牡馬考察 ザファクター

今回の血統研究所は、種牡馬考察と銘うって、今年度に産駒がデビューする種牡馬の考察を行いたいと思います。まず、種牡馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる産駒(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。

では、今回は、ザファクターです。

ザファクター(War Front×Grerciousness by Miswaki)牡・08生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:5 土:2 弱:1 影:2 集:4 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:0
合計:(39/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
芝:S □ M 〇 I △ C × L ×
ダ:S 〇 M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め

〇 短評

前面でクロスしたMr.Prospectorは、ほぼ単一クロスの為、主導はNearctic4×4の系列クロス(父母内7代目Nearcticは世代ズレと判定)。次いで、Nasrullah.Fighting Fox.War Admiral.Hyperion.Menowの系列クロスで血統をリード。これらクロスと主導とは9代目に結合完了となるものの連動し、しっかりと能力参加している。また、PrincequilloクロスがHyperion.War Admiralと共にスタミナの核を形成。スピード・スタミナのバランスは良い配合となっている。全体の結合は血の濃さがある為、そこまで高評価できるものでも無いが、Nearcticが4代目からクロスをした点や、Mr.Prospectorが米系の結合をアシストする形態を作り上げている。結果的にかなりシンプルにまとまった配合となっている。惜しむらくは、弱点を抱えた点や、血の集合が甘い点であり、詰めの甘さを感じられる配合とも言える点だろうか。本質は芝・ダート兼用のスプリント~マイルタイプ。重馬場もこなせる全天候型。

以上が、ザファクターの血統評価になる。これが種牡馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思う。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、上げていきましょう。

・スピード系

Nearctic.Nasrullah.Menow.Mr Prospector.Fighting Fox(Plucky Liegeが生きた場合はバランス型)

・スタミナ系

Hyperion.Princeqillo.War Admiral

・バランス系

Native Dancer

これらを踏まえて、繁殖牝馬側に求める条件を考えてみたいと思う。

・主導は父の傾向を引き継ぐ為にNorthern Dancer.Icecapadeが理想的である為、母になる繁殖牝馬においてはこれらのクロスを持つ事が望ましい。ただし、父の傾向であるDanzigの生かし方が良い点を引き継ぐという意味においては、ダート向きになると予測されるが、Icecapadeの方が望ましい。

・また、Danzigの生かし方が良いからと言って、直接Danzigをクロスさせた場合、血がかなり濃くなる為にあまり推奨できるものでも無い。

・父のスタミナ源となったPrincequilloの再利用を考えたい。NearcticとはTreceryを共有し、ザファクター自身の、全体の血が古い為に簡単に結合を果たせるのは種牡馬として大きな利点である。

・米系であるMan o’War.Blue Larkspur等の連動は自身においてMr.Prospectorが担っているが、これを継続するだけで米系の血の連動ははかれるが、Raise a Native等を配し系列クロスを作成するのは、主導の明瞭性を妨げる為に、できれば避けたい。

・また、米系の結合に自身では眠ったままのBuckpasserを利用するのも一考の価値がある。むしろ位置の関係を考えればこちらの方が良いか。

・日本向きのスピードの引き出しとしてサンデーサイレンス系との相性は悪くは無い。母の母方次第だがアグネスタキオンやフジキセキとの組み合わせは、スピードの引き出しや結合力にかなりの良さが出る。

このような種牡馬としての特徴を持つ、ザファクターだが、アトランダムな配合においては、Northern Dancerの系列クロスとMr.Prospectorの単一クロスを利用した産駒が大多数となると予測される。したがって産駒の血統構成が基本的には父の傾向を引き継ぎ易く、勝ち上がり率は高い種牡馬だと予測される。また、Teddy系が強い配合であり、ダート向きの産駒を輩出する可能性が高いと言えるだろう。距離適性に関しては、これといったスタミナの核を作るのが難しい種牡馬である為に、標準的な産駒の主戦場はマイル前後だと考えて良い。

注目の産駒

・チャームポットの19(ザファクター×チャームポット by フジキセキ)牡・19生

クラス:3B 適性:芝・ダートマイル

主導はNorthern Dancer4×4の系列クロス。主導傘下のLady Angela.Almahmoud。次いでNasrullahの系列クロスで血統を構成。スピードにかなりの良さがある配合であるが、父のスタミナ源となったPrincequilloを再度クロス。主導と連動させている点は見るべき点である。また、In Realityの単一クロスでMan o’War.Bull Dog(=Sir Gallahad)を主導と連動。この部分は、ザファクターとフジキセキの相性の良い部分である。惜しむらくは、フジキセキが抱える欧州系の生かし方が弱い点で、結果的に弱点を派生してしまった点か。本質は、芝・ダート兼用のマイルタイプ。重馬場はこなせる程度。

最後になりましたが、これがザファクターの、種牡馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

(taku.O)
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