閲覧者の皆様こんにちは。今回の血統研究所は、私的名馬選と銘打って、個人的に面白い配合だと思える名馬達を、成績にとらわれず、皆様に紹介をしていきたいと思います。
では、今回は、持込馬の先駆け、スーパーカーと呼ばれた、マルゼンスキーです。
マルゼンスキー(Nijinsky×シル by Buckpasser)牡・74生
有効世代数:9代目
Ⅰ 主:8 結:8 土:4 弱:3 影:2 集:6 質:4 再:5 SP:5 ST:3 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(48+1/60)点 クラス:1A+(2A)
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M ◎ I 〇 C △ L ×
ダ:S ◎ M 〇 I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:普通
〇 短評
主導は、父の傾向を引き継ぎMenow4×4の系列クロス。次いで、Bull Dog5×5で血統をリードしている。当馬の配合は父内Flaming Page、母内Buckpasserの相似性を利用しているのが大きく、他に強い影響力を持つMan o’War.Blue Larkspurといったクロスも、この部分を利用してできているクロスであり、ニックスと言える部分である。これらクロスはSt.Simon-Gallopin.Sainfon等で強力に結合し、そのスピード・スタミナをしっかりと主導へと補給しているのが見て取れる。また、父父であるNorthern Dancerが持つ米系であるSweep-Ben Brushをクロスさせ、母父内に配置。これも主導と連動させているのは驚嘆に値する。惜しむらくは母母Quillの影響度2から見て取れるようにスピード・スタミナを再現するSunreigh.White Eagleが世代ズレを起こした為に、能力参加が弱くこれといったスタミナ源もMan o’War程度であり(Bull Dogはその母Plucky Liegeの落失によりスタミナ源では無くスピード要素としての色合いが強くなっている。当馬のレースにおいての爆発的スピードを考えると痛し痒しといった所だろうが)、本質的に距離に壁があるタイプであったと考えられる。それでもスピード要素は当時の時代で考えられる最高に近いレベルであり、当時欧州系が強かった日本競馬においては(トウショウボーイの母ソシアルバターフライなどにその萌芽がみられるが)、異次元のスピードと映るような配合形態であった。本質は芝・ダート兼用のマイルタイプであり、重馬場もこなせるタイプで全天候型の配合だと言えるだろうか。時代を超えてなお、マルゼンスキーのスピードは様々な名馬の中で生きており、その輝きはいまだ色あせていないと言えるだろう。
競走馬としてこのような血統背景を持つマルゼンスキーですが、種牡馬としても成功し、ホリスキー(1A)、サクラチヨノオー(3B)、レオダーバン(1A)等の名馬を輩出しております。しかしながら、これらの配合馬はレオダーバンを除き、父の主導を引き継がずにNearco-Pharos系やMahmoud-Blenheim系へとスライドさせ、欧州系を主体に組み立てた配合であります(その意味では、バランスの悪さはあるものの、父に一番忠実な配合だった後継者は、レオダーバンだったと言えます。彼は、菊花賞を制しているものの、決してステイヤーでは無く、本質は中距離タイプでありました)。そこで、僭越ながら、父のもった爆発的スピードを再現するような配合を、考えてみました。愚考ではありますが、閲覧頂ければ幸いです。
(マルゼンスキー×ジョナゴールド by ジムフレンチ)-・-生
有効世代数:9代目
Ⅰ 主:8 結:7 土:3 弱:3 影:2 集:6 質:5 再:6 SP:4 ST:4 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(48+1/60)点 クラス:1A+(2A)
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:◎
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I ◎ C 〇 L □
ダ:S × M □ I 〇 C □ L △
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:晩成
〇 短評
主導は父の傾向を引き継ぎ、Tom Fool4×4の系列クロス。父のもう一つの主導であったBull Dogを傘下におさめ、再現度に大きく貢献しており、結果的に主導内の充足率も非常に高い主導となっている。次いで、Pharo.Hyperion.Man o’War.Papyrusの系列クロスの影響が強い。父であるマルゼンスキーも相似をうまく利用した配合となっているが、当馬もシルとジムフレンチの相似性を利用し、それによって生かされた前述の血をTom Fool内にまとめたのが最大の長所である。また、米系のBlue Larkspur.Man o’Warや、欧州系のPrince Rose.Papyrusも主導と連動。この血の結合力は多分にSt.Simon-Gallopinに頼る部分はあるものの、しっかりと連動しているのが見て取れる。このスピード・スタミナのアシストは強力で、主導の明瞭さ、結合力の強固さ、血の集合、主導内充足率のどれを見ても、名馬の血統構成である。本質は、芝・ダート・重馬場兼用の全天候型の中距離タイプ。
父であるマルゼンスキーは、芝・ダート問わずマイル前後で8戦8勝。全ての2着馬につけた差が61馬身というまさにスピードの申し子、スーパーカーという呼称にふさわしい名馬でありました。当時のルールでは持込馬がクラシックに出走できなかった為、裏街道を走る事になりましたが、その鮮烈な競馬は今も色あせていないと言えます。「日本ダービーに出させてほしい。枠順は大外枠でいい。他馬の邪魔も一切しない。賞金も要らない。この馬の能力を確かめるだけでいい」とまで言わせた名馬でした。残念ながら最強を証明する場であり、トウショウボーイ(1A)、テンポイント(2A)、グリーングラス(3B)が出走する予定だった有馬記念前に故障、その真価を見せる前にターフを去る事になりました。その後、種牡馬としての活躍が始まる訳ですが、父のスピードを再現する配合はなかなか見られる事が無く(これは当時の日本の繁殖牝馬プールが欧州系主体であった為の問題ですが)、僭越ながら父のスピード再現を第一義において、上記のような配合を考えさせて頂きました。今回の私的名馬選はこのあたりで筆を置きたいと思いますが、閲覧者の皆様が楽しく見て頂ければこれに勝る喜びはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。
(taku.O)
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