私的名馬選 Vol.12 エピファネイア

私的名馬選 Vol.12 エピファネイア

閲覧者の皆様こんにちは。今回の血統研究所は、私的名馬選と銘打って、個人的に面白い配合だと思える名馬達を、成績にとらわれず、皆様に紹介をしていきたいと思います。

では、今回は、GⅢ時代ではありますが、R-NIKKEI杯2歳S(ホープフルステークス前身)を制し、菊花賞、ジャパンカップをも制し、現在種牡馬としても活躍をしているエピファネイアについてです。

エピファネイア(シンボリクリスエス×シーザリオ by スペシャルウィーク)牡・10生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:8 結:6 土:3 弱:2 影:2 集:5 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(40/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I 〇 C □ L △
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め

〇 短評

主導は、Hail to Reason4・7×5・6の系列クロス。父母内は位置の関係で動き出しが遅いものの、血統の4ブロックに存在し全体を強力にリードしている。反面、結合力は全体としては悪くは無いものの、父方6代目Gold Bridgeが完全に離反した点は無視できず、ここが当馬の血統構成を考える上で限界点となるだろうか。しかしながら、世代ズレを抱えたバランスの悪い配合であった、父シンボリクリスエスの配合として、その補正に成功したのは大きなセールスポイントで、国内向きのスピードは、母の主導であるAlmahmoudこそ欠落するものの、総合的には非常に豊かな配合で、自在性のあるマイル~中距離タイプだと言えるだろう。

アトランダムな配合において想定される産駒の特徴は、自身がHail to Reasonの系列クロスを主導とした配合で、その継続はHalo~サンデーサイレンス及び、Roberto~ブライアンズタイムが浸透した国内においては比較的たやすい為、産駒は総じて開花が早いタイプが多いと考えられる。また、自身のスピード・スタミナを形成した血も、それら主導候補と相性が良く、自身の能力再現は比較的たやすい。主導によって大きく変わるが、芝向きもダート向きもだす可能性を秘める(Halo~サンデーサイレンス強調なら芝向きの、Roberto強調ならダート向きになる可能性が高い。ただし、Sadler’s Wells(Nijinsky)~Northern Dancerを強調した場合は、スピードに不安が残り開花も遅くなると想定される)。また、サンデーサイレンスクロスを用いた場合や、その部分を強調した場合のサンデーサイレンスの母方にほぼ弱点を生じる為、上位レベルの産駒を望むのであれば、この部分にも注意は必要である。

これが競走馬、そして種牡馬としてのエピファネイアとしての考察となります。初年度からデアリングタクト(3B)という、牝馬三冠馬を輩出したエピファネイアですが、エピファネイアのサンデーサイレンスクロスの有効性が、紙面上だけでなく、実際に証明された形となり、個人的にも嬉しく思います。また、サンデーサイレンスクロスの他にも、種牡馬としての可能性を秘めた彼の配合を、愚考ですが考えてみたいと思います。

(エピファネイア×テイエムヨカドー by テイエムオペラオー)-・-生
有効世代数:9代目

Ⅰ 主:7 結:8 土:3 弱:3 影:3 集:5 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:1(主導牡牝を通じたクロス)
合計:(45+1/60)点 クラス:1A+
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M △ I ◎ C 〇 L △
ダ:S × M □ I 〇 C □ L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低い 成長型:普通

〇 短評

主導は、Northern Dancerを伴うSadler’s Wells4×4。主導傘下のHail to Reason5・6・7・8×7の系列クロス。次いで、Sir Gaylord.Nashua(Bold Ruler)-Nasrullahで血統を構成。血統全体の結合力が強い配合で、6代目までに存在する全てのクロスが主導と連動するだけでなく、7代目のクロスまで全て連動するという念の入れようであり、隠し味的なGold Bridge.Tom Foolのスピードもしっかりと能力参加しており、Sadler’s Wells自身は重い主導ではあるが、Almahmoud. Nashua(Bold Ruler)-Nasrullahと共にスピードにかなりの良さを加えられた主導となったと言えるだろうか。また、スタミナ勢力も強靭でPrincequilloを取り込んだSir GaylordやWild Riskがその核を形成。テイエムオペラオー、スペシャルウィークやタマモクロスのスピード・スタミナも再現する等、質の高い血を存分に生かした配合となっている。やや日本適性に欠ける面は否めないが、完全開花した場合、父を一回り力強くした競馬を見せる可能性を秘めた好配合と言えるだろうか。本質は芝向きの中距離タイプで、距離適性の幅は父同様広いタイプ。ダートや重馬場はこなせる程度。

今回の私的名馬選は、種牡馬として活躍中でありますエピファネイアを取り上げてみました。サンデーサイレンスクロスを現状自身の血統構成のみで有効活用できる唯一の種牡馬でありますが、こうした本格派の配合も出せる可能性を秘めた種牡馬であると言えるでしょうか。今回の私的名馬選はこの辺りで筆を置きたいと思いますが、競馬ファン・血統ファンの皆様に、面白く閲覧頂ければこれに勝る喜びはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZERO及び、血統研究所をよろしくお願い申し上げます。

(taku.O)
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