種牡馬考察 マクフィ

種牡馬考察 マクフィ

今回の血統研究所は、種牡馬考察と銘うって、今年度に産駒がデビューする種牡馬の考察を行いたいと思います。まず、種牡馬となったサラブレッドの血統構成を簡単に説明した上で、必要な血(これをキーホースと言います)がどういったものなのか、どういった配合が好ましいのか。更には、アトランダムな配合において想定される産駒の傾向を考察していきたいと思います。また、自身の目からみて血統構成上、面白いと思われる産駒(優秀な配合という訳ではありません)をピックアップし、簡易考察をしてみたいと思います。

 

では、今回は、マクフィです。

 

マクフィ(Dubawi×Dhelaal by Green Desert)牡・07生

有効世代数:9代目

 

Ⅰ 主:7 結:7 土:3 弱:2 影:3 集:7 質:4 再:4 SP:4 ST:4 特:0

合計:(45/60)点 クラス:1A

Ⅱ 日本適性:△ 成長力:◎

Ⅲ 距離適性

芝:S × M 〇 I ◎ C □ L ×

ダ:S △ M 〇 I △ C × L ×

芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□

Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

 

〇 短評

 

主導は、父の傾向から外れるが、Sir Ivor6×4の系列クロス。次いで、母の血統において呼び水の役割を果たした、Never Bend6×5・5の系列クロス。傾向から外れているものの、かなり明確な主導として機能しており、その内部の生かし方もかなり良好。また、前述のNever Bend及び、Northern Dancerの中間断絶が結合をしっかりとアシスト。競走馬の血統の屋台骨と言える、主導・結合については、及第点を与えられるしっかりした配合だと言える。特に、圧倒的に強調した母父である、Green Desertへの血の集合は見事と言えるレベルで、仕上がった際には圧倒的な破壊力を秘める血統構成だと言える。当馬自身は、8F戦の勝ち鞍しか持たないものの、本質的には10F前後に最も適性を持つだけのスタミナを秘めている、スピード・スタミナのバランスが良い好配合。惜しむらくは、影響の弱い部分ではあるものの、父母であるZomaradahに弱点を2ヶ所抱えた点で、そこまで致命的ではないものの、血の濃さも相まって、やや安定感に欠ける可能性は否定できない配合だと言える。本質的には、芝・ダート兼用のマイル~中距離タイプで、12F戦はやや展開の助けが必要なタイプだと言える。

 

以上が、マクフィの血統評価になります。これが種牡馬となった際にどのような産駒を輩出するかを、ここから考察していきたいと思います。まずは、当馬の血統を構成する際に必要な血(キーホース)とはどのようなものか、まず上げていきましょう。

 

・スピード系

Never Bend-Nasrullah-Nearco(Djebelのアシストがある場合バランス型とカウント)

 

・スタミナ系

Sir Ivor-Sir Gaylord(Princequillo系のアシストは必要).War Admiral-Man o’War

 

・バランス系

Northern Dancer

 

これらを踏まえて、繁殖牝馬側に求める条件を考えてみたいと思います。

 

・自身の主導となった、Sir Ivorを再度主導とする事は産駒の配合において、良い選択肢だと言える。ただし、国内の繁殖牝馬にSir Ivorを抱える血統がそこまで多くないのは、当馬にとって不利な点である。

・また、自身が持つNever Bendクロスを継続してRiverman.Mill Reefを主導とするのも一つの方向性である。ただし、RivermanがSir Ivorと同様に、国内の浸透が低い点および、Mill Reefを用いる場合は、その父Never Bendとの位置に注意が必要である。

・更に、目線を変えて、自身の血の結合をアシストしたNorthern Dancerであるが、その仔Danzigの母系の生かし方がかなり良いのに注目して、Danzigを主導とするのも一つの手であり、血統表の考察のみにおいては、これが一番現実的であるかもしれない。

・かなり米系の強い配合ではあるが、同様に欧州系であるDjbel等の影響も強い当馬の配合を考える際に、その両方をうまく生かさないと成長力に欠ける産駒を輩出する可能性があり、この部分には留意が必要で、主導の選定において、かなうならばRivermanが第一候補ではあるか。

・当馬の血統構成を考えるに、Pharos(=Fairway)14連、Teddy16連と自身の傾向と合致しているのは、当該配合として見るべき点であるが、種牡馬として見た際においては、Hyperionが8連しか無いのはマイナスだと言え、母方で、上手くバランスと取る必要があり、アトランダムな配合では、産駒の日本適性は総じて低くなりやすいと想定される。

・自身は、8F戦に好成績をのこしているが、かなりのスタミナを眠らせている配合で、産駒の傾向は中距離タイプが多くなる可能性が否定ある事を指摘しておきたい。少なくともスプリントタイプの種牡馬では無い。

 

このような種牡馬としての特徴を持つ、マクフィですが、アトランダムな配合においては、サンデーサイレンスフリーであり、Mr.Prospectorが産駒において5代目にくる事から、間口の広い種牡馬だと言えます。ただし、前面に配された血がMill Reef.Riverman.Roberto.ダンシングブレーヴ-Lypard.Danzig-Northern Dancerとメジャーな血が多く、主導が不明瞭な配合になる可能性が高く、産駒の基本タイプは、芝向きの配合が多くなると予測されるものの、前述の多種のクロスを作成した場合、シンプルさを失いやすく、自身スピードの引き出しの難しさも相まって、結果的にダートで勝ちきれない競馬を繰り返す、産駒輩出の可能性が高いと予測されます。これを回避するには、産駒の3代目程度にサンデーサイレンスを配し、そのスピードを有効活用しつつ、Hail to Reasonの結合を用いた上に、明確な主導勢力を作成する必要があると言え、比較的母の血統に頼りがちな種牡馬だとは言えるでしょうか。それでも代々重ねてきた血の質の高さは、国内の種牡馬とは一線を画すものであり、中距離以上で本領を発揮する名馬の輩出を切に望みたい種牡馬であると言え、期待するものであります。

 

注目の産駒

・サーソーラの18

主導は、Shirley Heights5×4の系列クロス。次いで、父の主導であったSir Ivorの父Sir Gaylord.Hail to Reason.Mr.Prospectror.Buckpasserの系列クロス。これに加え、Northern Dancerの中間断絶が結合をアシスト。各系統の連動がやや弱いのが惜しまれるが、Mr.Prospector.Norther Dancerがこれをよくアシストしている。全体的に質の高い血で全体を構成した血統構成で、スタミナ優位の血統構成。反面スピードはMr.Prospector.Never Bend頼みで、日本の馬場ではスピード不足の烙印を押される事もありえるだろう。本質は芝向きのステイヤータイプで、国内ではなかなか見られないタイプ。牝馬としては非常に重厚で、不利だと言えるが、是非とも能力の開花を望みたい、そんな古き良き時代の面影を残す、配合であると言えるだろう。

 

最後になりましたが、これがマクフィの、種牡馬としての考察となります。あくまでも紙面上の考察ですが、面白く見て頂ければこれに勝る嬉しさはありません。今後とも競馬総合サイトG-ZEROと、血統研究所を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

(taku.O)
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