閲覧者の皆様こんにちは。今回の血統研究所は、私的名馬選と銘打って、個人的に面白い配合だと思える名馬達を、成績にとらわれず、皆様に紹介をしていきたいと思います。
では、今回は栗毛の撃墜王との異名を持ち、華のある鞍上と共に菊花賞をはじめとした中~長距離距離GⅠを4勝したマヤノトップガンです。
マヤノトップガン(ブライアンズタイム×アルプミープリーズ by Blushing Groom)牡・92生
有効世代数:9代目
Ⅰ 主:8 結:8 土:3 弱:3 影:3 集:4 質:3 再:5 SP:4 ST:4 特:0
合計:(45/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C ◎ L 〇
ダ:S × M □ I ◎ C 〇 L □
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:遅め
〇 短評
主導は、Nasrullah5×4の系列クロスで明確。続いて主導傘下のNearco.Mumutaz Begum。次にAlibaha-Hyperion.Sir Gallhad(=Bull Dog).Boudoirの影響が強い。これらクロスは土台構造を形成するSt.SimonやNearco-Pharos-Phalaris.Chaucer.Bleheim等を通じ主導と直接結合を果たしている。この連動性こそが、競走馬マヤノトップガンの能力の源泉であると言え、この強固さにより、逃げて良し、差して良しという器用な競馬の根源になったと言えるだろう。特に、追い込んだ時の弓をギリギリまで引き絞って突き抜けるような、上がりの競馬対応ができたのは、サンデーサイレンス産駒全盛期において大きな武器となったと言える。また、主導はスピード型のNasrullah-Nearcoだが、前面で作成されたAlibaha-Hyperion.Sir Gallhad(=Bull Dog).Boudoirは中距離及び長距離向きのスタミナ再現を行うクロスであり、かなりスタミナ優位の血統構成となった。本質は、芝・ダート兼用の、中~長距離タイプで、重はこなせる程度。日本競馬において、非常に珍しい高速ステイヤーとも言える血統構成である。
競走馬としてはこのような特徴を持つマヤノトップガンですが、種牡馬として自身を彷彿とさせるような名馬を輩出する事はかないませんでした。これは自身のNashua-Nasrullahの位置の悪さや、世代が一代進むことにより自身を再現するような配合が行われたとしても、特に米系の結合が果たされにくいという難しさがあったからだと考えております。その難しさをある程度克服したのがオーシャンエイプス(3B)でしたが、残念ながらその資質を発揮する前に競争生活を終えてしまいました。では、どのような配合が良かったのか。あくまでも紙面上の思索でしかありませんし、僭越ながらこれならば、というような配合を考察させていただきました。
(マヤノトップガン×タニノミリオネーヤ by サンデーサイレンス)-・-生
有効世代数:9代目
Ⅰ 主:7 結:7 土:3 弱:3 影:3 集:5 質:4 再:6 SP:4 ST:4 特:0
合計:(46/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C ◎ L □
ダ:S × M □ I 〇 C □ L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:遅め
〇 短評
前面でクロスしたHail to Reason4×4、Vagruely Noble4×5は、それぞれ単一クロス及び、中間断絶クロスの為、主導はNashua5×4の系列クロス。続いて主導傘下のNarullah.Mahmoud。次にPharamond.Alibahai.Bull Lea.Romanの影響が強い。これといった弱点も無く、影響度バランスも(9-9-5-11)と比較的良好で、血の集合も母母にある程度存在するのもプラス。また、前述のHail to Reasonの単一クロス、Vaguely Nobleの中間断絶クロスが4代目Nashuaでは限界がある欧米系の結合を完了させており、当馬の血統構成上、必要不可欠なクロスとなっている。また、父や母の再現度が非常に良好であり、底力がある配合だと言える。惜しむらくは、これらクロスにより前面が煩雑となり、安定身に欠ける可能性と開花に時間がかかると予測される点か。それでも完全開花した場合、父よりも長距離適性がやや劣るものの強い競馬を見せられるタイプ。本質は、芝・ダート兼用の中~長距離タイプ。重馬場はこなせるが得意とまではいかないか。
残念ながら、前述したようにマヤノトップガンはこれといった後継を残せず、その父ブライアンズタイム系と呼ばれる、名馬を続出させたブライアンズタイムの直系は、今やフリオーソに頼るのみで風前の灯であります。優勝劣敗がサラブレッドの世界だと言われれば、まさにその通りでありますし、そこに異論はありません。ありませんが、過去名馬の墓場とまで言われた、我が国競馬でしたが、現在そのような話は聞かれなくなりました。ただし、自前の父系をほぼ作れていない点を踏まえると、パートⅠ国入りをした今現在においても、誤解を恐れずに言うのであれば、生意気ではあるでしょうが、やはり懐の狭い名馬の墓場なのだと考えております。こうした海外でも通用するような血を国内で育て、そして海外での栄冠を勝ち取る。そのような未来を望んでやみません。今回の私的名馬選はこのあたりで終わりたいと思います。ご閲覧ありがとうございました。
(taku.O)
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